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2018年4月 お題「嘘」その1
人生に飽きて面白半分にコールドスリープ実験に参加したら、酷い人体実験で20人の参加者で目覚めたのが二人だけだった。
廃墟の街で目覚めた俺は、先に目覚めていたという彼女に、今が23世紀だということと、人類は伝染病の大流行により既に滅亡したことを聞かされた。
私たち二人は人類の希望よ。
力強く言い続ける彼女がいなかったら俺はとっくに死んでいた。
二人で人類復興へ繋がる技術を調べる中で、俺も希望を取り戻していったのだ。
でも彼女は嘘をついていた。
人類の希望は俺たち二人じゃなかった。
一人だった。
彼女はアンドロイドで、稼働限界が迫っていた。
最後の日に彼女は言った。
「私が嘘をつけるように作られていて本当に良かった」




