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とある夏の空想  作者: Caramel
2章
9/34

2.7

帰り道、今日は珍しく一人で帰る。


裏切者の奴は早速彼女に声を掛けに行ってしまった。

しかし彼女は奴の誘いをよくOKしたな・・・。少しだけ彼女の貞操を心配してしまう。

まあそんな事を考えていても仕方がない。


駅前の喫茶店に入ろうとした時、いつもの癖で煙草を買うのを忘れている事を思い出す。

遼太郎が煙草が苦手だというのでいつもは吸っていないが、たまには吸いたくなるものだ。



少しばかり離れたところの煙草屋でhi-liteを二箱ばかり買う。

段々と煙草を取り巻く環境が変わっている。いつかは僕のような喫煙者は駆逐されてしまうのだろうか、とさほど面白くもない事を考えつつ、再び喫茶店に入る。


カウンターの端に座り、zippoで煙草に火をつける。

紫煙をくゆらしつつ、カバンから適当に一冊本を取り出す。

偶然にも思い出深い本を引き当てたようだ。

‘The catcher in the rye’ 、謎多き作家Salingerの本だ。

この本は初めて僕が買った英文で書かれた小説だ。


当時まだ僕は中学生だった。当然英語も満足に理解できるはずもなく、辞書を片手に必死で読んだものだ。

そんなこともあってか、今や普通に洋書も読むようになった。


久しぶりのページの感触に少しばかり感動しつつ、僕は読む。

紫の煙とぬるい珈琲とともに。



読み終わる頃には、もう日が暮れてしまっていた。

短い煙草を吸殻だらけの灰皿にねじ込み、金を払って店をでる。


いくら夏が近いとはいえ、まだ夜は冷える。

少しばかり寒く感じた僕は、黒いパーカーを深めに羽織る。


暗い夜の道を歩いていると、今日の早朝の事を思い出す。

千切れた脚とぐちゃりとした躰。にやりとした笑み。

全てが気持ち悪い。

気持ち悪いはずなのだが、何故かそこまで不快には思えなかった。


何故なのだろう・・・僕はサイコパスなのかな?

と冗談交じりに考えつつも、少し心配になる。

いや、心配というよりは怖く感じたのだ。



『もう一人の僕』を持ち


何故か死体に慣れてしまった


自分の事を。


著者は煙草は吸わないから安心してね。

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