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とある夏の空想  作者: Caramel
2章
8/34

2.6

・・・は?


なんだこれは。


よく見ると奥には何かある。赤黒く染まったそれらは、おそらく無理やり裂かれたのであろう。断面はぐちゃぐちゃに潰れ、隙間から赤い液が滲んでいる。


辺りには錆臭い香りが漂う。



・・・おぇ。


僕は吐き出す。思わず手で覆うも隙間から胃液が垂れる。


何なんだ・・・叫んで人を呼ぶか・・・いや先に通報しなければ・・・携帯を・・・


その時。


それはにやりと笑った。




気が付けば駅前にいた。


あれは幻覚だったのだ、と思うが、口の中に残る酸味がそれを否定する。

ああ、僕はどうしようもない怖がりなんだ。

でも、普通の人なら逃げるよな?

と僕は無意味なことを考える。


しばらくした後落ち着いた僕は、通報しなければならないことを思い出す。

携帯を出し119に掛ける。

少しばかり緊張しつつも僕は死体の大体の場所を相手に伝える。

これで義務は果たした・・・もう手遅れだろうが。


しかし死体が笑ったように見えたのは僕の見間違いだろう。

冷静に考えて、あの状態で生きている訳が無い。死んでいるのに笑えるわけ無いじゃないか。


そう思い込もうとしても、あの笑みは目に焼き付いたままだった。




「祐介、君は死体に縁でもあるのかい?」

食堂でそんな事を言うな遼太郎、周りが見ているぞ。


「そうだね、でも毎日死体を見るなんておかしいと思わないか?」

いや、単純に不運が重なっただけだろう。有り得ない事ではない。


「限りなく0だけどね」

止めてくれ、そんな事を言っていると明日も見つけてしまうかもしれないだろ。


「しかし昨日も思ったんだけど、君は死体を見たというのにやけに落ち着いていないかい?」

何を言っている、僕は未だに気分が悪くなるぞ。


「その割には順応性が高くないかい?今日は何気にご飯を食べているし。少なくとも大学には来ないよね」

何故僕は唯一の友人にまで疑われてしまうのか・・・そんなに不審か・・・?


「まさか、君を疑ったりしないよ。ただ死体に慣れてるのかな?と思っただけさ」

それを疑っていると言うのだがな・・・まあいい、こんな話をしていてもつまらない。それに思い出してしまう。あの笑みを。


その後は昨日の野球について話しただけだ。遼太郎も僕にその話を振ることは無く、午後の講義が始まった。



あと一コマで最後の講義が終わるというとき、遼太郎が声を掛けてきた。

「祐介、昨日君に話しただろう。不思議な子の事を」

確かに聞かされたな、それがどうしたのさ。


「あそこにいるよ、彼女」

遼太郎が指さす先には、普通の女子大生が座っていた。

・・・本当に彼女なのだろうか。至って普通に見えるが。


「本当さ、しかし彼女が同じ講義を受けていたとは気付かなかったよ。まあ、まるで見えない誰かと話しているような事をする以外は至って普通だしね」

そんな女をよく気に入るな・・・僕には到底考えられない。


「なんだろう、急にビビッときたのさ。それ以来忘れられなくて」

そうかい。まあ所謂一目惚れっていうのがそんな物なのかもしれないな、と思っていると始業ベルが鳴った。


少なくて申し訳ありません・・・

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