2.5
強烈な不快感で目を覚ます。
どうやら昨日の死体を思いだしてしまったらしい。体中から冷やりとした汗が滲んでいる。
「急に叫んでどうしたんだい、祐介。まだ5時半なのに君のせいで起きてしまったじゃないか」
仕方ないだろう。あんな光景を目の前にしたら叫ばずにはいられない。
「まあ何はともあれ、起きてしまったものは仕方がないよ。そういえば君の分の朝食は用意していないな」
まあいいさ、途中で何か食べるからさ。では一度家に戻ることにするか。
ほとんど自分専用と化した電車に揺られる。しかしこんな朝早くから出勤とは大変なものだ、としみじみ思う。
いつかは僕もあんな風になってしまうのだろうか。少しばかりセンチな気分になりつつ、僕は電車を降りた。
駅から自宅までは徒歩5分程だ。今は実家を離れ一人暮らしをしている。といってもたかだか十分と少し歩けば実家に着くのだが。
キレイに纏められた、というよりは生活感の無い部屋。
無駄な物を捨てたらいつの間にかこうなっていた。
そんなつまらない空間で僕は着替える。
良く言えばそれなりのセンス、悪く言えばつまらない服に着替え、駅へと折り返す。
少しばかり歩くと眠気が僕を少しずつ襲ってきた。
やはり早起きし過ぎたせいか。
幸か不幸か、駅まで歩くという行為は体に染みついている。眠りかけの体を強引に動かしていると突如視界が反転した。
何か看板の足にでも引っかかったのかなと起き上がってみると。
そこには。
赤い棒のようなナニカが転がっていた。
周りさえも赤く染めて。




