3.6
翌日、朝。
大学へ向かうために家を出ようとすると電話が掛かってきた。
誰だろう、と思ったら昴だった。
「おはよう、村上君。朝早くからごめんね。」
しかし昴が電話するとは珍しい事だ。何かあったのか?
「とくにこれといった用事は無いんだけどね。祐介君、途中の駅で待ち合わせして一緒に行かない?」
どうやら彼女からのお誘いの電話らしい。
まあ昨日みたいに急にされても困る。
僕は了承し、電話を切った。
駅へ向かう間、今日も死体を見つける。
相変わらずニタリと気味の悪い笑みを浮かべながら、打ち捨てられていた。
どうやら今日の死体は頭頂部付近が欠損しているようだ。
かなりの脳味噌が流れ出ている。
今日はそこまで血が多くないにも関わらずかなりグロテスクだな、そう評価してその場から立ち去った。
昴とは乗換駅のコンコースで待ち合わせていた。
大学まではたった数駅だがそれでも彼女との貴重な時間だ。
「おはよう、村上君。」
約束の時間から5分程遅れて彼女が来た。
「少しだけ電車が遅れたの、待たしてごめんね。」
昴の責任問題では無いし、そもそも5分程度だ、そこまで気に病む必要はない。
「じゃあ行こうか!」
そう言うと彼女は僕の手を引っ張ってホームへと向かう。
周りの通勤するサラリーマン達の視線が痛い。
だが心地よくもあるのだ。
満員電車の中、当然ながら僕と彼女は密着する。
……なんか彼女に悪い気がしてきた。それに恥ずかしい。僕は少しだけ無理をして隙間を開けようとする。
「別に無理しなくていいんだよ、村上君」
……どうやら彼女に気付かれていたようだ。余計恥ずかしくなる。
こうして無事僕と昴は大学前駅に着いた。
僕は彼女に手を引っ張られつつ、駅前通りを大学へ歩く。
こんな甘ったるい時間も良いな、僕はそう感じていた。
故に、辛くも感じるのだった。
感想、批評お待ちしています。




