3.3
やはり彼女は僕と同じ能力を持っていたのか。
しかし何故このタイミングで急に……?
『もう後数か月もしない内に私は消えてしまうからだよ。』
……どういうことだ。
「ちょっと待って、どういう事よ。私そんな話聞いてないわよ。」
どうやら彼女は聞いていなかったらしい。まあ生まれた時から一緒にいる存在には中々言えなかったのだろう。
『具体的に私は何も言わない。いや言えないの。』
一体何が理由で……?分からん。
『ごめんなさい、それも言えないの。』
これじゃどうしようもないじゃないか……一体どうして欲しいんだ。
『私の存在を覚えていて欲しい。それだけで十分なの。』
それだけで何か変わるのか?想像もつかない。
『私があと少しで消えてしまう事。そして私があなたに会いたがった事。最後にこの場所で私と君が会ったこと。この三つを覚えてくれるだけで十分だよ。』
……やはり意味が分からない。
『今は分からないかもしれない。でもこれからいつかこの情報が必ず必要になるの。だから覚えておいて欲しい。』
……分かった、覚えておこう。
「ちょっと私を置いて話を進めないでよ。私になら言えるよね、もう一人の私」
『あなたにも何も言えないわ。それにあなたには無意味な情報だわ。』
……まあ当たり前ではある。それなら直接僕に言う必要もない。
『じゃあさようなら、村上君。……私を忘れないでね』
そう言うと少しだけ悲しそうに微笑みながら、元の部屋へと戻っていった。
まだ聞きたいことがある、そう思い扉を開ける。
しかしやはりと言うべきか、もうそこに彼女はいなかった。
昴は僕をマンションの前まで送ってくれた。
「今日は急に呼んで悪かったね、村上君。」
まあいつでも暇だからいいのだが。
「それでも悪いよ……今日は本当にありがとう。じゃあまた明日ね。」
そう言うと彼女はマンションの中へと戻っていった。
……さて、家に帰るか。
僕は歩き出す。
ふと、しばらく『もう一人の僕』と会ってないことを思い出した。
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'見習い技師ミリアの英雄譚'
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