3.2
講義が終わり家に帰ろうとすると、正門で昴に声を掛けられた。
「突然ごめんね、村上君。少しだけ相談したい事があるんだ」
別に全く問題ないが……急にどうしたのだろうか。
「外じゃ相談できないことだから、この後私の家に来てほしいんだけど……だめかな?」
……なんだろうこの急展開。まるでラノベのご都合主義だな。
そんな下らないことを考えつつも二つ返事で答える。
こうして僕は初めて彼女の家に行くことになった。
彼女の家は駅に隣接するマンションにあった。
……いかにも家賃が高そうな家である。
そんな事を考えつつ、彼女の家にお邪魔した。
中はいかにも女の子の一人暮らしであるような感じになっていた。
少しばかり甘い匂いがする。
特有の居づらさを我慢し、彼女に相談の内容を聞く。
「実はね、村上君に会って欲しい人がいるんだ。」
まあ二人きりな訳ないか……少し落ち込む。
しかし一体誰なのだろうか。
「こっちに来て、私」
彼女が突然意味不明な事を言う。
......一体どういう事だ?
すると隣の部屋へと繋がる扉が開く。
その瞬間僕は驚愕した。
そこにいたのは。
紛れもなく山崎昴本人であったからである。
彼女が二人いるとは一体どういう事だ?まさか……?
混乱していると声を掛けられる。
『やっぱりあなたには私が見えるのね……初めまして、村上君』
……お前は誰だ。
『私はもう一人の昴よ。よろしくね』
そう言って彼女はニタリと笑った。
いきなりの急展開回です。
感想、批評お待ちしています。




