2.15
午前の講義が終わり、昼休憩に入る。
つい先ほど死体を見たばかりというのに、僕は昼食を拒むことをしない。
ああ、苦しい。
自己嫌悪に陥りながら食べようとすると、
「村上君、こんにちは。」
彼女に声を掛けられた。
遼太郎よりも先に声を掛けてくるとは珍しい。
そう思いつつ簡単な返答をする。
また、彼女との会話が始まる。
まるでずっと前から友人であるような他愛もない会話。
それをして過ごす時間は僕にとって心地よいものだった。
故に、僕は見逃してしまった。
とても簡単なことを。
「じゃあ次、私実験だから早めに行くね。」
彼女はそう言って去っていった。
少しばかり寂しい気分になりつつも食堂を出ようとする。
すると、
「やあ、祐介。」
遼太郎に声を掛けられた。
もしかしてだが、こいつ、聞いていたのか?
「君に話しかけようとしたらすでに山崎さんと話していたからさ、間に割り込めるような雰囲気でも無かったからね。」
そうか・・・それは悪いことをしたな。
「別にいいのさ、祐介。でもさ、一つ質問があるんだ。」
なんだ?ろくな質問である気がしないぞ。
「彼女と何かあったの?付き合ったとかさ?」
・・・はぁ?
そんな訳ないだろう。まだ友人ですらないというのに。
「でも周りから見るとまさにそれにしか見えなかったよ。」
そんな事は断じてない。
とまあ、遼太郎とも何時ものように話しつつ食堂を出た。
感想、批評お待ちしています。




