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夏の夜のトンネルにて  作者: 嵐山椛
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前篇

 初投稿の作品です。まだまだ、下手で至りませんが、何かしらのご感想や、

アドバイスなどをいただけると、幸いです。


 待ち合わせ時間まであと五分。私は駅に向かって夕暮れより少し前の時間を急いでいる。ある人物と待ち合わせをしているからだ。


 駅に着くと、改札前で腕時計を眺めている青年を発見。


「ごめん!待った?」

「いや、俺も今来たところ」


 そう言って、いたずらっ子のような笑みを浮かべて答えたのは、私の彼氏である火浦和樹。どこにでもいる大学生代表のような恰好の、少し背が高めな地元大学の二年生。


「・・・とは言っても、一分遅刻だけどな」



 ニヤつきながら、私の頭を小突く。私も負けじと押し返す。


「で、今日は何処行くの?」

「ああ・・・歩きながら話すよ」


 なんだか和樹の答えは曖昧だった。


 そして私達は駅から続く道を線路沿いに歩み始めた。夏の夕暮れは、まだ蒸し暑いし、何より私自身が走ったため、汗がだくだくである。


「では改めて、今日どこに行くの?」

「へへっ、どこでしょう」

「もったいぶらないでよ」

「付いて来てからのお楽しみっていう事」


 和樹はどんなに問いただしてもニヤつくばかりだ。どういうことだろう。いつもデートに行く時は場所や目的を教えてくれるのだけど(実際の所デートはま今回を入れて三回目だけど)、今回は教える気がないらしい。


 なんだか怪しい・・・。


「そう言えばさ、この前の映画面白かったよな?」

「うん・・・・・・・え?」


 ふと現実に戻された。


「この前の映画だよ、ほら、確か題名は・・・・・」

「『コックと私とバナナの皮』の事?」

「そうそう、それそれ」


 こんな風におしゃべりな和樹はすぐにたわいも無い話を振ってくる。元々自分からは、あまり話を振れないので、助かる。和樹の長所だ。たまにうっとうしい事もあるけど。


  そのうち、はっきりと夕焼けになって来る辺りで急に道を左折した。


「あれ、線路沿いに行くんじゃないの?」

「いや、こっちの山の方に行く」

「まったく、何処に行くのやら・・・」


 実を言うと、少し楽しくなって来た。一体何処に連れてかれるのだろうと思う期待と不安。いたずらっ子に連れ添う姉のように、和樹といる時間を幸せだと思う自分。どの気持ちもつい最近まで感じていなかった。


「なんんだか新鮮・・・」

「前の彼氏とかって、こんな感じの連れ出し、とかしなかったのか?」

「うん、そこまで続かなかった・・・」

「そう言えば、彼氏とは一か月続いた事無いって言ってたもんな」

「うん・・・」


 私は彼氏とは一か月続いた事が無い。だから、そこまで濃密な関係になったことは一度も無かった。中には大した進展も無く、終わってしまったこともあった。そういう輩に比べると和樹は、積極的に私を連れ出してくれる、気恥ずかしいけど素敵な人物だ。


「あっ、こっちこっち」


 和樹はさらに山道の方へと向かっている。


「ねぇ、こっちには確かトンネルがあったような・・・」

「その通りって、あれ?何で知ってるんだ?」

 和樹は少しドキっとしたように首を傾げる。さらに怪しい。

「オカルトサークルが新聞に書いていたのよ。幽霊が出るトンネルだってね」

「え、マジかよ・・・」


 なんだか和樹はギクリとしている。


「もしかして、幽霊とか苦手なタイプ?」

「ちょ、いや、え、そ、そんなわけないだろう」


 どうやらビンゴらしい。カワイイ奴だな。


「えっでも顔から冷や汗が出てるけど」

「こ、これは暑いからだ」


 そう言うと和樹は少しむくれてしまった。

 ちょっとからかい過ぎたかな?


 もう山間がかなり暗くなって来た。坂道をどんどん登っていくと、例のトンネルが見えてきた。道の先にポッカリと暗い穴が開いている。中の電燈が少なく、そんな印象を受ける。


「へぇ、ここって本当に怪事件があったんだな」

 いつの間にか、和樹がスマートフォンでこのトンネルについて検索していたらしい。

「トンネルの名前は白橋トンネル。昔ここで白骨遺体が見つかったんだって」

「なんか物騒だね」


 私は少々怖くなってきていた。しかし、和樹はスマートフォンをポケットにしまうとトンネルに向かって歩き出した。


「まあ、俺達の目的はトンネルの向こう側にあるわけだし、行きますか」

 そう言うと、さらにずんずんと奥に進んで行ってしまう。

「あ、待って」


 私も和樹を追いかけてトンネルに入った。夏のトンネルだからか、それとも元々か解らないが、中はジメジメしている。


「こっちだよ」


 和樹はそう言うとずんずんと進みだした。気が付くと和樹は懐中電灯をつけていた。トンネル内に取り付けてある電燈は、とてつもなく暗いため、懐中電灯をつけなければほぼ暗闇でなにも見えない。そんな中を進むのだ。


「ねぇ、和樹。本当にこっちであってるの?」

 なんだか耐え切れなくなってきて、思わず聞いてみたが

「うん、こっちだよ」

 と答えるだけだった。


 トンネルは意外と奥が深い様子で、このまま進んで行ってどの位したら出口にたどり着くのか解らなかった。


「なんだか気味が悪いよ」

「大丈夫だよ、ほらこっち」


  和樹はこんなに暗いのに、何故か少し楽しそうに歩いている。一方の私はと言うと、結構用心しながら歩いた。特に和樹の動向に注意した。なんんだか変だ。


「和樹、・・・・和樹だよね?」

 聞いてみた。


「な、なんだそりゃ。俺は俺に決まってるだろ」


 そりゃ、そうだろ。和樹は和樹だ。他になんだって言うのよ。

 そう自分に言い聞かせながら、私は和樹とトンネルの奥に進んで行った。




 何だか微妙な所で、切れてたかも・・・。下手くそですが、後編も最後まで、

お付き合いいただけると、幸いです。

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