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GW中の出来事(問題編)

 今日は五月三日。

 ゴールデンウィークだ。


 だが、ゴールデンウィークだといっても、どこかに出かけているわけではない。

 なにせ私の父はサービス業。ゴールデンウィークでも仕事がある。

 それと姉にも原因があるのだが、それはまあいい。


 じゃあ誰かと遊ぼうか、と思っても美海は広島の祖母の家に言っているらしい。瑠璃はなぜか音信不通。

 と、いうわけで私は今、家でひたすら本を読んでいる。


「ふぅ……」

 本日七冊目の本を脇に置いて、私は軽く伸びをした。

 これで、一昨日図書館から借りた本はすべて読み切ってしまった。

 外に出るのも面倒臭い。が、読む本もない。

 仕方ない、本屋でも行くか……


 私は寝転がった体勢から起き上がって、寝間着から着替える。

 長い髪は適当に櫛でとかし、バッグに財布と携帯電話を入れた。


「忘れ物はないなっ、と」

 私はそう確認すると、自分の部屋を出た。

 本屋まで、ちょっこー!


「由紀」

「お姉ちゃん?」

 とっとっと。姉の部屋の前を通ると、声が聞こえた。

「どこ行くの。本屋?」

「うん」

「ならこれの続き買って来て。今最新刊が出てるから、駅前なら絶対売ってる」

 姉の部屋のドアが少しだけ開き、女の子が微笑んでいるの表紙のライトノベルと、千円札が落とされた。

「八百三十円だから、お釣りはあげる」 

「はいはい」

 姉の命令に従うのも、妹の仕事、っと。

 私はそのライトノベルと千円札をバッグに入れて、今度こそ家を出た。


 自転車に乗って、目指すは駅前の大型書店。

 田舎でもないけど都会でもないこの町は、割と何でもそろっている。

 ブランド物の服でもほしければ電車を使わなければいけないが、日常生活には困らない。


 信号に引っ掛からずに、大きな交差点まで来た。

鼻歌を歌いながら、横断歩道を渡る。


「うわっ」

 横断歩道を渡った先、パチンコ屋の前で金髪とスキンヘッド、サングラス、茶髪ロンゲに誰かが絡まれている。

 治安が良いこの町では珍しい光景だ。

 肘で小突いたり、肩をゆすったり、今にも大事になりそうだ。


 周りの大人は、気の毒そうな顔をするが何もしない。


「はぁ……」

 とりあえず、警察でも通報するか。

 私は六年生になって買ってもらったばかりの、黒い携帯電話を取り出した。


「ん?」

 というか、今、絡まれていた子に見覚えがある気がする……

 私は少し近づてみた。


「って、瑠璃!」

「……由紀」


 絡まれていた子はショートカットに釣り目の長身美少女、そして私の友達、瑠璃だった。


「てめぇ、誰だ!」

 不良その1、金髪が私に気づいた。

 ……どうしよう。

「このクソガキの知り合いか? あぁ」

 不良その2、スキンヘッドもこちらを向く。


「えーっと、知り合いというか、その……」

「友達」

 私がうまく誤魔化そうとすると、瑠璃がボソッと言った。

 ……タイミング悪いっ!


「コイツも始末するか?」

「いや、ボスから言われてる訳じゃないし、この背の高い女だけにしておこう。ああ、こっちは確実に始末するぞ、危険分子だ」

 不良その3サングラスと不良その4茶髪ロンゲも、こっちを向く。


 どうやら、今の話をまとめると、瑠璃が何かしたらしい。

 ……良識ある大人が来ることを信じて、時間を稼ごう。


「すみません、皆さん、よくわからないけど、何があったんですか?」


 私は小さく手をあげて尋ねる。

 不良その1~不良その4が一斉にこっちを見る。怖いよぉ。


「だったら話してやろうじゃないかよぉ」

 その1……金髪がそう言った。

「すみません、お願いします」

「ああ、わかったよ」


                      ☆

「俺らは、夜霜(やしも)会……てめぇらにも分かり易い言葉で言うと、まあ、ヤクザだな。知っての通り、俺らには親分がいる。で、その親分が白川和義って言うんだが……聞いたことねぇか?」

 私は小さく首を振る。

 絶対に関わりたくない人間だ。


「ああ、これが写真だ。見たことないか?」

 そう言って金髪が差し出してきたのは、坊主頭の目が鋭い人の写真だ。

 親分オーラ全開、だ。

「見たことないですね」

「そうか」

 金髪はそういうと、写真を戻した。


「それはともかく、その親分がそこで倒れてたんだよ」

「そこで倒れたてたぁ?」 

 危ない、思わず地の口調が出た。

 しかし金髪は気にする様子もなく話を進める。


「ああ。そこで大の字になっていた。頭から血を流してな」

「こけたんじゃないですか?」

 金髪が指差した方向は今、道路工事中だ。

 何かに転んだのかもしれない。


「ああ、俺らだって普通はそう思うさ。だけどな、親分の横にコイツが立ってたんだよ」

 金髪は瑠璃を指差す。


「たまたまそこにいたんじゃ? というか、細身の瑠璃でこの親分を倒せるとは思えないんですけど」

「んなこと言ってもコイツ、汗まみれですごい顔してたんだぞ。というか、コイツの顔どこかで見たことあると思ったら、去年の全国空手大会準優勝のヤツだ。新聞に小さく載ってたぞ」

「ああ、そういえばそうでしたね……」

 さて、どういうことか。


「で、瑠璃はこの人に見覚えが無いの?」

「無い」

 私は金髪の持っていた写真を見て言う。

 うーん、瑠璃は嘘をつかないけど、聞かれなかったら何も言わないからな……


「しばらっくれるなよ。まあ、ともかく、偶然そこで親分が倒れてるのを発見した俺らが近づいたら、親分が『あの女が……』とか言ってたから、コイツを追いかけてきて捕まえた、ってことだ」

 うん、今の話だけ聞くとどう考えても勘違いの可能性が高いよね。

 だって誰も瑠璃がその親分さんを倒しているところを見ているわけじゃないし、そもそも瑠璃がそんなことをするはずない。


 とはいっても瑠璃はこのままでは何も言わないし、なんとか誤解を解かないと……


「瑠璃、本当にこの人の事は何も知らないのね」

 瑠璃はこくりとうなずく。


「えーっと……金髪さん?」

 よく考えたら金髪の名前を聞いて無いことに気が付いた。 

 心の中でずっと不良1と呼んでいたが。よく考えたらヤクザか。


「あぁ? 舐めてんのか? 姫川だ、姫川!」

 怒られてしまった。姫川ねぇ、どこかで聞いた気がするけど。

「そうですか。すみません。それじゃあ姫川さん、今日、親分さんが何をするつもりだったか知っています?」

「っ……」

 きんぱ……姫川さんが、舌打ちをしそうな顔になる。


「しゃあないな、今から言う事は絶対にだれにも言うなよ。親分はな、ゴールデンウィークだから、恋人に会いに行くつもりだったんだよ。ただな、あの親分の恋人って言うからついつい気になって、仲間と尾行してたんだよ……」

 スキンへッド、サングラス、茶髪ロンゲも頷く。

「そ、そうなんですか……」 

 なんか意外だ……


「じゃあ、偶然見つけたというのも」

「ああ、嘘じゃないぞ! この辺は初めてだし、道が入り組んでるから迷って、十五分くらい見失ってたんだよ!」

「ふーん」

 なかなか姫川さんの慌てっぷりが面白い。


「ちょっと瑠璃」

 瑠璃を手招きした。

「何」

「あの人、本当に見たこと無いの?」

「無い」

 断言された。それなら仕方ない。


 多分、瑠璃は倒れている白川さんを介抱しようとしていたのだろう。

 でも、白川さんと気づかなかった、そういうところじゃないかな?


 そう言う事にしたら、なんとなく分かった気がするけど、これで納得してくれるかなぁ?

 まあ、なんとか説得するか……

えー、これはつまり、瑠璃はどうして親分さんを見ていないと勘違いしたのか、そこが問題です。


パソコン使えないので、明日いろいろ弄ります。

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