1.新学期です、クイズです。(解答編)
きっと妖精、とは漢字の偏のことだ。
木の妖精、言葉の妖精、水の妖精、糸の妖精、金の妖精はそのまま、木偏、言偏、さんずい、糸偏、金偏でいいのだろう。
そしてパートナーのほう。パートナーは、『つくり』だ。
ちょっと漢字がややこしい……辞書使お。
うーん、コウは公、ウラは甫、リンは侖、セキは責、ソウは喿、オノレは己かな。こうじゃなかったら、話が合わない。
えっとぉ、それで、後は表を書こうか。
私は、大学ノートを開く。
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公 甫 侖 責 喿 己
木 松 × 棆 × 橾 杞
言 訟 誧 論 × 譟 記
禾 × × × 積 × ×
氵 × 浦 × 漬 × ×
糸 × × 綸 績 繰 紀
金 鈆 鋪 錀 × × ×
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要するに、パートナ(つくり)が上、妖精(部首)が左端になる表を書く。
そして、×が付いているところは、漢字が出来ないところ。
意外と、漢字って色々あるんだね。
で、一番気が合わない。つまり、一番できる漢字が少ない『偏』は、『禾』になる。つまり正解は禾。
なんだか、色々と応用できそうな問題だな。
「これ、自信作なのよぉ。誰か解ける人がいたら、解いてみなさい!」
自信作、と言うほどでもないと思うけど。
まあ、目立ちたくないし、先生のプライドを傷つけないためにも黙っておく。
と、思っていたけど。
「先生!」
突然、美海が立ち上がった。
「由紀にゃ……じゃなくて、樋井さんは、こんなの得意です! 絶対わかってます!」
余計なこと言うなー。
美海は得意そうに、私にウインクをした。
「そう? じゃあ、樋井さん、書いてみてぇ」
先生にチョークを渡される。もはや拒否の余地はないようだ。
「はぁ……分かりました」
私は小さくため息をついた。
黒板にさっきと同じ図を書いて、さっき頭の中で考えたのと同じことを言う。
「……ですから、一番気が合わない、イコール一番できる漢字が少ない偏、と言うことで、正解は禾になります」
「すごいすごい樋井さん~、なんでわかったのぉ?」
「たまたまです」
「そう? 先生嬉しいなぁ~」
「ちょっと待ってください、先生」
男子の声にしては少し高い、だけど、冷ややかなその声は、先生と私を黙らせるには十分だった。
「おかしいですよ。こじつけです。第一論理的に考えたら……」
はぁ、と私はため息を禁じ得なかった。
この問題がこじつけっぽいと言うのは、私も思ったけど……こういうのって、学校の成績がいいからって解ける問題じゃない。
まあ、クラスに一人ぐらいは、いるんだこういう人……たぶん。
口先だけなら無視してたら害はないし。
名前は……青木裕次縁か。変わった名前だし、覚えとこ。
「……ふん。だからこんなクイズとかは嫌いなんですよ。そこの頭がトチ狂った女は、推理というものを知らないようですね。樋井、と言うのですか。確か、成績は中の中でしたよね。ボクみたいな上の上には、遠く及ばないですよ。クイズが出来るからと言って、調子に乗ってんじゃないですよ」
あー、頭がトチ狂ったと言われると、ちょっとムカつくかも。
「何よ! 由紀にゃんはトチ狂ってなんかない。あんたに由紀にゃんの何が分かるの? あんたみたいなガリ勉の何百倍も、由紀にゃんは頭がいいんだから!」
クラス中に響く大声でそう言ったのは、美海だ。
「それはうちも同意見」
瑠璃も、めんどくさそうにそう言う。
「学校の勉強が、全部じゃない」
クラスの中は、かつてないくらいに静まり返っていた。
どうしよう、雰囲気悪くしちゃった……
てか、この先生本当に敏腕なの?
大丈夫なの?
この前のことは本当にすみませんでした。
以後こんなことが無いように、出来るだけ書き溜めてから投稿します。