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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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Lv.99 職業:村人 兼 ●●

作者: 埜桔
掲載日:2026/06/09

聖剣に選ばれた。と、真っ直ぐに言ってのけた男は幼馴染で村唯一の同じ歳で


私の好きな人



「え?…おめでとう?」


疑問符がついてしまった


だって、本当は、

明日の村祭りで


あなたに伝えるつもりだったーーーー



「今夜、発つんだ。だから村祭りも行けない。」


「そっか…」


「来年は必ず一緒にいける」


自信満々である

来年の約束をすると鬼人が笑うのだとだれかが言ってた


「待ってるよ」


泣いてはいけない。鬼人の代わりに笑ってやろう


首にかけた母の形見を外し、うちのお母さんが見張ってるよ。なんて冗談を言いながら手渡して


「さよなら」


小さく呟いて、今まで彼がいた所をぼんやり見ながら涙した



勇者出発のすぐ後、勇者の生まれ育った村は魔王によって焼き尽くされ

後には亡骸と絶望だけが残った














「よくここまで来れたな、勇者。待ちくたびれたぞ。」


後ろ向きの玉座から魔王の手が見えた


もう、仲間も家族も友人もいない


いるのはひとり、勇者だけであった


対する魔王もただひとり


勇者が切って裂いて捥いで殴って殺して焼いて肉片一つ残さなかった



勇者にとって仲間なんてどうでも良くなった

歩けなくなった仲間がいればゆっくり治して追いかけてくれ。と微笑み安堵させた

死んだ仲間がいれば教会へ送り届けた


姫君からの激励と恋情のこもった手紙は軽く読んで火にくべた

返事は書かなかった


書く暇など作りたくなかった。ただ前へ進み魔族や魔物や魔王を滅ぼしたかった


魔族や魔物はもういないだろう。子供も全て滅ぼした。肉片もなくなるほどに焼いて焼いて焼き尽くした

魔王が勇者のいた村を滅ぼしたからだ


勇者にとって村の人達は家族であり、仲間であり、伴侶になり得る人もいた


彼女の母親の形見を鎧の下に感じながら玉座に座する魔王目掛けて血に染まった剣を振り下ろした













勇者が、見つかってしまった。

彼はやがてここへ来るのだろう。


ワタシを殺しに来るのだろう。


やるべきことはただ一つ。アレを亡き者にしなくては

そうして私は村を焼いた。



やがて部下から南の魔族が消えたとの報告を受けた。

その次は東で。北に行き、西も消えた。

あとは中央のここだけだ。

護衛のための戦力もすべて出した。

残ったもの、帰ってきたものはいなかった。

誰も、いなかった。



魔族の血がこびり付いて離れない剣が振り下ろされると



魔王はただ静かに。


受け入れ、絶命した。




「ぁ…」


魔王は



彼女、だった。



村を出た時から変わらない姿で

だくだくと


赤い

紅い

勇者と同じ

魔族と同じ

血を流していた。






Lv.99の村人 兼 魔王









北方の永久凍土に魔王は眠っている。という噂が出回り始めた。


その噂を聞いて向かった者皆体調を崩し、到達する前に変死するという。


また、数名が命からがら永久凍土にたどり着いたがそこには大きな番人が待ち構えていたと血に染まった手紙が家族の元へと着いたという話も上がっていた。



いつしか恐れだけが後世に残るようになった。





森のはずれ、永久凍土の入り口に1人の女性がいた。


ただ真っ直ぐに、永久凍土を目指していた。

何人かは彼女を止めたが聞く耳持たずであった。

このまま、ここで、おしまい。

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