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愛と執着は紙一重【5】


 それぞれが思うがままに言葉を発し、そしてそれぞれが好き勝手な時間に帰っていった女子会。クリスタルガールズの面白いところは、うわべの女子友やママ友の様な関係性では見当たらない様な…。


 どこかクールさと、他人の為に命を張れる男前さの両極端な性質が同居している所だと思う。


 そんな事を思いながら、私は下げられてゆく器を眺め、そして暖かいお茶の入った湯呑を右手に持った。


「どうしたん、エマ。何かボーッとして」


「そりゃそうだろ、海里。まだ付き合って間もないのにイキナリ野郎4人の集まる飯会に誘われて、誰が楽しそうに出来るんだよ」


「エマ美人やからな。紹介したかってん」


「え、顔?」


「アッ、いや、そうじゃなくて。美人やし気立ても良いし、って事です…」


 ショボンとしながら子犬の様な瞳で、徐々に小さくなる声でそんな事を言う私の彼氏『千海里』


 フフッと小さく笑ってみせたけど、内心はそれどころじゃなかった。



 ──まさか、クリスタルガールズ四人の絆がここにきても繋がるなんて。というのが、この会に参加して直ぐに浮かんだ、率直な自分の感想だった。


 真ん中でまるでアイドルの様な笑みで私を出迎えたのは、ヒカリの恋している相手『光友隼人(みつともはやと)』私たちが予想していた通り、あの光友財閥の一人息子だ。


 そして、その横で静かに、だけどどこかカリスマ的なオーラを放ちながら他三人の会話を楽しそうに聞いているのが、体育館ぶりの出会いになる『赤井蓮(あかいれん)』……説明不要な程の大人気アイドルグループのセンターで、どうやら実家は超有名なあの楽器製造メーカー❝アズハ❞の創業者家系らしい。


 そして、私の彼氏、京都の裏千家の御家元を継ぐ海里の隣で、楽しそうにしているのが、二次元にしか興味の無かったミオをゾッコンにさせた、噂の専務。『海帝家茂(かいていいえもち)


 ──ミオの働く海帝商社だけでなく、海帝商船等数多くの事業を手掛ける海帝グループのご子息。これもまた三人に負けず劣らずの男前だ。この中で隼人と競うくらいスーツがよく似合う。



 私たち四人が何気なく会話して、何気なく過去を思い出す時にいつも話題に出ていたあの四人が…ここに来て繋がるなんて。しかも全員が幼稚舎からの親友なんて。



「まるで安物の恋愛漫画ね」


「ヘッ?」


「あっ、ごめん。……つい思ってた事が出て」


「エッ、俺らの事?」


「いや、全然違う。あのぉ~えっと…。あ、そうそう。友達からちょっと重めの恋愛相談されててね。それが頭の中でぐるぐると。」


「あ、なるほどね。焦るわ、俺らの恋愛が安物の恋愛漫画って言われたかと思った」


「ハハッ、いやエマちゃん。海里はあんまり人を好きにならないから。だから今のコイツの恋愛モードに入ってる姿なんて俺ら、ほぼ初めて見た様なモンだよ。だから信用してあげてね」



 家茂専務がそう言いながら、ビールをぐびっと飲み干す。


 そしてそれを見た赤井蓮が、隣に座る光友隼人に声をかけた。



「隼人、せっかくこっちまで来たなら、あそこ寄らなくて良いの?」


「あそこ?」


「うん。お前の気になる子が居てる場所」


「ああ、ヒカリの店ね」


「……ッ!」



 いうべきか──いわないべきか。


 私はまだ正直な所、決めかねている。



「エマちゃん行ってみる?キャバクラみたいなクラブなんだけど。そこでの海里の姿見たら、良い意味で安心できると思うよ。こいつ、本当エマちゃんしか興味ないから」


 百パーセントの優しさでそんな事を言ってくれた赤井蓮に対し、渾身の笑みを浮かべる私。


「どうする?それか二人でどっか行く?」


「ナッ、オメエ、抜け駆けは無えだろ」


「だって、俺らそんな頻繁に会えるわけちゃうしな」


「まあそれもそうだけど…」



「いいよ、海里。行こうよ、そのお店」


「実は──私の友達も働いてるのよ」



「エッ、何でそんなの店の名前も言ってないのに分かんの?」


 家茂専務がとぼけた顔でそんな事を聞く。


「実は……私の親友に、隼人さんの話をよくしてる子が居て。その子の名前が『ヒカリ』って言うんです。水商売してるし、ほぼ間違いなく、あたりだなって」


「すみません、まだ私も確信が持てなかったので今の今まで黙ってました」



「ええ、まさかのヒカリの友達?」


「……ハイ」



 まだまだ盛り上がりそうなこのご飯会。


 私はもう残りほど少ない湯呑を持ち上げては、飲むのを止めて、静かに机の上に置いた。



 これは果たして本当に偶然なんだろうか。それとも、私たちが持つ水晶の力が引き起こした必然なんだろうか──。そんな事、誰も知る由の無い事には違いないけど。



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