愛と執着は紙一重【3】
「だからさ、また今度みんなも海里に会ってみてよ」
「ぜひ!会いた過ぎる!!」
「まあ…会ってはみたいかな、確かに。」
「久しぶりにお顔を見たいですね~言われれば」
自分で言った矢先、自分で少し恥ずかしくなる。こんな風に誰かに自分の恋話をした事なんて今迄一度も無い。クリスタルガールズに出会って、私も過去のモヤが消え、年相応の自分に成れてきたのかもしれない。
それもこれも全て、いつも明るく太陽の様なリン・気遣いと共感のミオ・そして人一倍優しくて真っすぐなひかりのお陰だ。……勿論、温子さんと権蔵さんも、家庭のぬくもりを知らなかった私に安らぎやらを与えてくれた大事な存在。あ、ゴン太もね。
そう思うと目の前に座る皆を見る私の瞳が、自分で言うのも何だがとても暖かい瞳に変わっていくのが分かった。
「てかさ、リンは男に興味無いの分かるし、ミオも専務に夢中なの分かるけど…ひかりは?」
「確かに光友の話聞きたいよね」
「……隼人とはラインで言った通り、脈ありなのか何なのかってところかな」
「まあ、あのラインが全て本間ならかなりの脈ありやろ」
「私もそう思う」
「……だけど最近、それとは別の話なんやけど──ちょっと気が重くなる事があって」
ひかりは目の前の和菓子を一口で平らげるとそう言いながら、少しだけ遠い目をする。心配そうな瞳の温子さんに気付くと無理やり笑顔を作って見せるけど…その笑顔にいつもの覇気がないのは丸わかりだ。
「何よ、話しぃや」
「リン、引かへんって約束する?」
「何をいまさら。別に引くも何も無いやん。この関係性に」
「……。」
ゴン太はひかりの、いつもと違う様子に気付いたのか起き上がると、いつもの様にちゃぶ台の上に乗り、私たちの会話へと仲間入りする準備を始める。
「あのな、私のバイトみんな知ってるやろ?」
「そこそこ有名キャバクラでのバイトな」
「いや、そこそこちゃうから!」
「まあまあ。それがどうしたの?」
ミオはひかりのグラスにお茶を継ぎ足すと、そう尋ねた。
「私、もうすぐで誕生日やねん。12月24日。で、クリスマスイブやし誕生日やし、色々バイトとはいえプレッシャーがあるやんか。」
「売り上げの?」
「エマ、その通り。ほぼレギュラーで入る時もあるし、お客さんもそこそこ付いてるから、お店からも12月は絶対にナンバーに入れって言われるし、仲良くしてもらってる先輩にも期待されるし…」
「でも隼人には…勿論、頼めない。それは好きやから、ね」
「おお、ここで」
「うん。私、何気に、というか割とガチで隼人の事が好きなんやと思う。だから光友の御曹司って分かっても、無理なお願いはよぉ出来へんかった」
「…。」
「そんな時に、フリーで来たお医者さんに気に入られてさ。その人の求める自分ってのが何となく直ぐに分かったから演じてたら──「ちょっと待った、回りくどい。」
リンが半分呆れ顔でそんな事を言うと、ミオがリンの肩を優しいながらも数度、叩いた。
…リンはこれで良いのだ。悪気なんて更々無い。だからこそ他人の本音を引き出せる強さを持つ。
「要はどういう事よ?」
「要は──ガチガチの色恋で引っ張ろうと思って、好きだ何だ言ってたら、相手も本気になっちゃって少し怖いってコト」
「あちゃー…」
私が小さくそう呟くと、ひかりがチワワの様な目でこちらを見る。
「ストーカー被害とかは有るの?」
「ミオ、それは無い。まだ、ね。でも近い物は感じる。例えば出勤する日は必ずオープンラストで居座るとか、私の看護学校を何故か知ってるとか」
「え、近い物というかほぼ『それ』じゃない?」
「まだ、その境界線が分かんなくて。だって、ストーカーって言えば家までくるようなのを想い浮かべるじゃん?でも、家とかには来ないし」
「いや、それ遅かれ早かれ来る様になるよ。モテにモテまくった私が断言するから間違いない」
「エマに言われると──ええ、やっぱりそうなのかなァ…」




