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大病院の怨念の正体【2】


「そんなあほな」


 リンが権蔵を指さし、思い切り笑うと、権蔵の顔がみるみる内に真っ赤になっていくのが分かった。まるでゆでだこの様だ。


「おい、リン!ワシを指さすな!というか人を指さすな!」


「だって、権蔵さんが取りつかれてるとか言うからやん!」


「アホッ、本気やぞワシは!ワシは神主で!何が良いか悪いかくらいは分かるわい」



 私は、出されたお茶を一口飲むと、ゴン太を撫でながら言葉を続ける。


「でも、それって怨念じゃないん?」


「いや、怨念ではないんや」


「じゃあ何?心当たりある?例えば、ふっるい人形をどうこうしたとか」



「貴方、あの人は?」


 そう温子さんが言うと、権蔵がウンウンと小さく二度頷いてから、うつむく。その様子はいつものデリカシーの無さがまるで消えて、どこかしょぼくれたただの老人の様にも思えた。


「ワシもそうかと思っとる」



「何よ、続き、話してよ」



「あのな…」


 と権蔵さんが言いかけた時だった──。


 病室のドアが開き、お母さんが紙袋を持って、現れる。ゴン太は直ぐに水晶の中に姿を隠し、その一瞬だけお母さんだけの時が止まっていたかの様にも思えた。


「アッ、ひかり。コレ、受付に来たのよ。権蔵さんアテに」


「えっ」


「何か知らないけど、私から権蔵さんに渡してくれって言う指名だったみたいで」


「……何それ?」


「見た感じ、バームクーヘンか何かやけ「ヒェェェエッ!頼む、美人のお姉さん!その紙袋は丸々処分してくれ!」


「ちよっ、権蔵さん、どないしたんよ!」


 真っ白の布団を、まるで鬼に怯える小さい子かの様に顔まで被って身を潜めた権蔵は情けない声を出すと、フウッと小さく息を吐いてから、布団を少しだけ下げて、目元だけを私たちの前に表す。


 先ほどまで、やれ五番がズレろだ、三番まくれだと言っていた威勢の無さはすっかりどこかに消えてしまっていた。


「え、何。ひかり、捨てんの?」


「いやっ、捨てるというか。って、私そんなん言われても…」


「先ずお母さんからしたらアンタがこの神主さんと仲良しなのもよぉ分からんし、全てがよぉ分からんで。どないしたらええのよ」


「……」


 そりゃそうだ。二十歳にもならない私が実の祖父よりも年齢のいっている神主さんの部屋へ見舞いに来ているのだから。しかも、他の女子も皆若いと来たらお母さんも何が何だか分からなくなってしまうだろう。


「そちら、一応貰っておきます」


「アッ…ハイ…。」


「アホか、温子!お前それにもし毒でも塗られてたら「アホはアンタよ、権蔵!しっかりしなさいよ。情けない。神主なら、幽霊くらいにびびってどないすんの」




「「幽霊!?」」



 わたしたちクリスタルガールズと…そしてお母さんの大きな声が静かな病室に響き渡った。



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