ひかりのデート記念【3】
ハリドリにジョーズにスペースマウンテン、ある程度の人気アトラクションを来て早々に載りつくした私たちは、少し遅めの昼食を取るためにレストランへ入った。
人がごった返している雰囲気はない。ウエイターに案内されたのは、とても良い席だった。それもこれも、歩けば女性の視線が集まる超イケメン御曹司様のおかげだろう。
「ハァ、久しぶりに何も考えずに遊べてるよ」
「そう?」
「うん。明日から仕事の打ち合わせが溢れてるけど、無事に頑張れそう」
「なら良かった。あ、このコース頼んでいい?」
「お好きに」
待ち時間の時に、それなりに世間話はした。だけど核心には触れられていない。
そこで私はお水を一口飲んでから、あえて神妙な顔はせずに普通の声色で聞きたかった事を聞く。
「あのさ、隼人の苗字って光友?」
「…ん?突然なんで?そうだけど」
「……光友って、あの光友?」
「あのって、どの?でも多分想像通りの光友だよ」
そう言いながらつられる様にしてお水を飲んだ彼は、やはり『御曹司』であることは間違いなさそうだ。目の前に、そんなすごい人がいるなんて不思議な感覚…。今迄出会った誰よりも凄い。
「まあ、今は貴族なんていう概念も無いから、光友っていっても普通の人より少しお金がある程度だけどね。」
「いやいや」
「そういうひかりは?最近どうなの?」
「あ、話変えた」
「いや、変えてはないよ。気になってたから聞いただけ」
「……最近どうって主に何に対して?」
「なんか前言ってたでしょ」
「あー。」
前に会った時は二体目の怨念を浄化したあとだった。あの時は確かに自分の置かれた環境を受け入れたい気持ちと、怖さと、色んな感情が常に渦巻いていた。
だけど時の流れは凄い力を持っていて…。今ではお守りが熱くなる事も当たり前だし、不思議と怨念を浄化する作業にどこか義務感までも覚えている。
大人になってからプリキュアやおジャ魔女ドレミ、セーラームーンなんかを見ると「そんなに簡単に物事受け入れられるワケないやん」なんていう目線で見てしまいがちやけど、人間ってのは『簡単に順応できる生き物』なんだ、と確認させられた。
つまりああいうアニメはご都合主義の子供向けアニメなんかじゃなくて、『人間』というものを描いたアニメなんだと今になって思う。
「今はね、なんか楽しめてるよ。それなりに」
「なら良かった。」
「なんかあの時隼人に言われた言葉もそうやし、今もそうやけど隼人と居ると不思議と背伸びしなくていい気持ちになるんよね」
「どういう事?」
「いや、弱音とかさ。ウチの母親って前も言ったと思うけど、看護師で女手一つで私を育ててきてくれて、すごい強い人なんよ。」
「そういう背中を見て育ったから、私もあんまり弱音とか吐くタイプじゃなくて」
「だけど隼人と居ると背伸びしなくて済むの」
「……そりゃあ、ありがとう。ちなみに、それは俺もだよ。ひかりといると楽しい」
「今日だって、これが隼人じゃなかったらブランドで着飾って、武装してここにきてたと思う。でも隼人なら素直にニューバランス履けるし」
「ハハッ、それはありがたいね」
「不思議な力、持ってるよね隼人って」
「まるで他人の毒素を浄化するみたいなチカラ」
「………。」




