ひかりのデート記念【1】
──あの光友隼人から久しぶりにラインが来たのは昨日の午後10時頃だった。
『明日から3日間、大阪なんだけど、急遽明日の予定がリスケになっちゃって。良かったらユニバかどっか遊びにいかない?』
──ユニバといえば映えの倉庫…てかそれ以上に楽しいでしかない場所。かわいいでしかない場所。
断らない理由が無い。
─自室の部屋の床は、私のウキウキした心を表すかの様にカラフルな服で埋め尽くされていた。
SNIDELのワンピース、ミラオーウェンの可愛らしいトップス、かと思えばバレンチノのクールなセンタープレス入りジーンズ……。
どれも可愛くて大好きな物のはずなのに、なぜかどれを取っても、いまいちピンと来ない。
ハァと大きなため息を付いてから、勉強机の上にシャツを何枚か乱雑に置くと、見かねたゴン太がベッドの上から声をかけてきた。
「そろそろ出ないと遅刻するんじゃない?」
「それは分かってるんだけどさ…服が決まんないのよ、服が。」
──リンの大学で、結構大きい怨念と戦ってから1ヶ月が経とうとしている。あれから、特に私達の周りに異変は起きていない。
エマは仕事とオシャレな生活に勤しんで、ミオは上司に無茶振りを振られながらも丁寧に仕事をこなして、専務に恋をし、リンはバイトに明け暮れながらヴァイオリンをたまに弾いている、らしい。
私も変わらずだった。
『ちゃんと起きて学校にいく!』と神に何度も誓っているのに、前日についつい目先の金に欲を出し、遅くまでキャバ嬢をしっかり勤めあげ、帰宅して爆睡。
必然的に母親が夜勤で家に居ない時は、大体遅刻かサボっているってワケで。
ゴン太は大人しくしていればいいのに、こっちの世界の楽しさをしってしまったのか、私達四人の中の誰かと常に一緒にいるし。
そんなこんなで、私の日常は毎日大変ながらもそれなりに面白い。
「カジュアルすぎる……?いや。でも、ユニバやからカジュアルでもいいんやけど」
鏡の前で腕を組んで唸っていると、ベッドの上から更に気の抜けた声が飛んできた。
「ひかりはさ、青がいいと思う」
「なんで青?」
「ひかりは青が一番しっくりくる」
「今日は却下。どーせ、私の変身衣装が青だからでしょ?クリスタルガールズを忘れる日は青は着たくないの!」
「即断?」
「即断よ、即断。当たり前!」
そんな会話を繰り広げている私達。カフェオレの入ったストローを思いきり吸い上げてから、私は濃い碧色をしたリーバイスのジーンズに、ユニクロの白Tシャツを合わせ、カーディガンを羽織った。
足元は、本来ならオニツカタイガーやシャネルでいきたいところだけど、無難にニューバランス。
「……逃げたね」
「うるさい」
「でも今までみたひかりの私服の中で一番似合ってる気がする」
「えー、一番お金かかってないのに?」
「うん。かわいいよ」
隼人と会う時は不思議と良い意味で力が抜ける。
……し、無理に着飾っても本物のお金持ちの前だと虚しくなるだけだ。それなら、年相応のカジュアルコーデの方が私も相手も楽だろう。
「ゴン太、ユニバでは出てこないでよ」
「分かってるよ!コンパクトをキーホルダーみたいにしてバッグにつけてよ。そしたら僕も水晶の中から景色見れるからさ」
「ハイハイ。それくらいならお安い御用。」




