陽キャのソナタ【4】
胸元の水晶が、かすかに脈打った。
それは警告じゃない。──呼応だ。
足元から、淡い黄金色の光が円を描くように広がっていく。体育館の床に反射する光は、まるで朝日が差し込んだみたいに柔らかい。
「……もう、腹くくるしかないか」
小さく呟いた瞬間、光が弾けた。
制服の輪郭がほどけ、風に溶ける。代わりに現れたのは、身体に沿うように形を取る、黄色の戦装束。へそにはいつも付けているピアスじゃなくて、トパーズの水晶があしらわれたピアスが付けられている。
胸元は軽やかに、動きやすさを優先したデザイン。腰から広がるスカートは黒を基調に、差し色のゴールドが鋭く走る。
脚を覆うブーツには、結び直したリボンのような装飾。
あの時よりも変身が豪華になっている。
――みるみる内に力が湧いてくるのが分かった。今、私はここから絶対に逃げない。
髪がふわりと浮き、橙色の光を帯びて結い上げられる。
耳元で、金属が澄んだ音を立てた。
手の中に、一本のステッキが現れる。トパーズ色の水晶を宿したそれは、楽器みたいに軽く、指に馴染んだ。
身体が宙に浮く。
怖さは、確かにある。
でも、それ以上に――妙な納得感があった。
逃げた過去も、選ばなかった未来も、全部抱えたままで、ここに立っている。
そんな思いを抱く様にして、ステッキを胸元に引き寄せ、真っすぐに怨念を見据えた。
「清らかなる心に寄り添う、プリズムガーディアン!」
一瞬、間を置く。
それは祈りじゃない。
誓いでもない。
宣言だ。
「クリスタル・トパーズ!ここに降臨!」
光が一気に収束し、床を蹴った衝撃が体育館に響く。
黄金の残光を背負い、リンは静かに着地した。
黒い影が、反応するようにうねり始めた。
「……やったるやん」




