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台風のよる、君ひそやかに、魔女高らかに  作者: にしのくみすた
第3章

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魔女っ子ピコニャー登場の舞っ!(後編)

 タワーへ着くと、中央展望室(コントロールルーム)には緑組のメンバーが揃っていた。

 そこでモチコも知っている顔を見つける。


「あ! モチコちゃん! おはよう! ようこそ!」

「おはよう、ちーちゃん。今日はよろしくね」

「うん! 楽しみだねー!」


 元気いっぱいのチャンチャルが、全力で歓迎してくれた。

 モチコは周りにいたほかの赤組と緑組の人たちにも挨拶をする。


 と、チャンチャルが誰かの腕を引っぱって連れてきた。


「モチコちゃん! モチコちゃん!」

「ん? ちーちゃん、どうしたの?」

「紹介します! 私の相方、ピコさんです!」


 そう言って手で示されたほうを見た途端。

 その人が突然、モチコの視界から消えた。


「えっ?」


 どうやらその場でしゃがみ込んだらしい、と気づいた直後。

 そこから一転、勢いよくピョーンと飛び上がって、モチコの目の前に現れた。

 驚いたモチコの肩が、ビクッと跳ねる。


「平和のためなら悪を蹴散らせっ!」

「じゃん!」


 ピコさんがセリフのようなものを叫び、右手で指さしポーズをキメた。

 それと同時に、横にいるチャンチャルが合いの手を入れる。


「楽しいことなら猫におまかせっ!」

「じゃん!」


 今度は左手で指さしポーズ。

 またチャンチャルの効果音が入った。

 どうやらこういうシステムらしい。

 

「空飛ぶヒロイン、魔女っ子ピコニャー! 参上っ!」

「じゃじゃーん!!」


 最後は両手両足を広げてXポーズをキメる。

 ピコニャーと名乗ったピコさんは、キリッとキメ顔だ。

 なんなら隣にいるチャンチャルも同じ顔になってるし。


 ふたりとも、完璧にやり切っていた。

 中途半端な出来だったらコメントに困ったかもしれないが、相当な練習を積んだと思われる動きは洗練されていて、素直に感心する。

 まさに『魔女っ子ピコニャー登場の舞っ!』だった。


「わっ、すごい! かっこいいです」


 モチコは称賛の言葉とともにパチパチと拍手をした。


「ふっふっふ、モチコちゃんっ、話は聞いてるよ。今日はよろしくねっ」

「あっ、はい。よろしくお願いします」

「私のことはピコニャーと呼んでくれたまえっ!」


 ピコさんは黄色い瞳をキラリンと輝かせながら、笑顔でそう言った。

 ピコニャーというのはニックネームだ。

 本名はピコットという。


 セミロングの茶色い髪の後ろに、瞳と同じカナリア色のリボンを留めている。

 そのカナリア色が、胸につけている緑色のスカーフとマッチしていて、見ていると元気をもらえる色合いだ。


「じゃあいこっか! モチコちゃんは、ピコさんのホウキの後ろに乗ってね!」


 チャンチャルにそう言われて、モチコはピコットのホウキに二人乗りすることになった。



 さっそく屋上展望台(フライトデッキ)へ行き、ピコットのホウキの後ろに乗せてもらう。

 ミライア以外のホウキに乗るのは初めてで、なんだか落ち着かない。


 乗った後に腕をどうしていいか分からず、胸の前でお祈りのポーズみたいにしていた。

 するとピコットが、


「しっかり抱きついてね。わたしのお腹のところで手を組むといいよっ」


 と言ってくれたので、そのとおりにする。


 その様子を、横にいたチャンチャルが好奇心にあふれる猫のような翠色の瞳で、じっと見守っていた。


 すぐにピコットのホウキは空に浮かび上がった。

 モチコを乗せているとは思えないほど、軽やかでスムーズに上昇していく。


 先輩以外のホウキに上手く乗れるのか心配だったが、杞憂だった。


 ピコットのホウキはとても動きが安定している。

 それ以前に、ミライアのスピードの半分も出ていないので、全然余裕だった。

 もちろんピコットが遅い訳ではなく、ミライアが速すぎるのだ。


「モチコちゃんっ、乗り心地は問題ないかなっ?」

「はい、ピコットさん。とっても乗りやすいです」


 モチコがそう答えると、すぐ左横を並んで飛んでいるチャンチャルが言う。


「でしょ! ピコさんのホウキの乗りやすさは世界一だよ!」


 なぜかちーちゃんが、ふふん、と得意気な顔をしているのがちょっと可愛かった。

 緑組の元気コンビはさっきからずっと楽しそうだ。


「白おかっぱ、ぼやっとしてホウキから落ちるんじゃないわよ」


 マルシャとアリサ隊長も後から飛んできて追いついた。

 空の上に4人プラス1人が勢ぞろいする。


 全員が並んだところで、アリサ隊長が口を開いた。


「では始めよう。午後からは、赤が安全飛行限界(フライトライン)まで見回り。緑は通信圏内で船舶の誘導。シグナル発令時と緊急時には私から指示を出す」


 アリサ隊長のキビキビとした指示に、残りのメンバーがみな「了解」と返事をする。

 その返事を聞いたあと、隊長が今度はモチコの方を見て言った。


「今日は新人のモチコが見学で参加する。ぜひ各自の飛び方を見せてあげて欲しい」

「よぉし。白おかっぱにカッコいい飛び方を見せてあげるわぁぁぁ」


 隊長の声かけに、マルシャは気合い十分という感じだ。

 チャンチャルはにしし、と歯を見せて笑い、ピコットは振り返ってモチコにサムズアップしてみせた。


 モチコはピコットのホウキの後ろで、頭だけぺこりとお辞儀をする。


「みなさん今日はよろしくお願いします」


 モチコの挨拶が済むと、アリサ隊長が姿勢を整えて言った。


「ではいこうか。みな、良きフライトを」

「良きフライトを」


 全員が声をそろえて、いつもの挨拶をする。

 人数が多いと、それだけで挨拶にも特別感があった。


 モチコはこぶしをぎゅっと握って気合いを入れた。

 わくわくする心を抑えるのが大変だ。


 いよいよ見学会が始まる。

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