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予想外の結果  作者: 高月水都


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2/5

アフター

「ガーネットさん。夕飯ですよ?」

 アイオライトが仕事中の私に声を掛けてくる。


「ありがとう。今日は何?」

「じゃがいもで作るスープの作り方を教わったので作ってみました」

 アイオライトは出会った時はがりがりで痩せ細って小柄だったが、今では立派な体格になって私よりも頭一つ分背が高くなっていた。


 実際の年齢は不明だけど、たぶん……おそらく15,6歳くらいだろう。声変わりも始まってきたようだし。


 食卓で二人で向かい合わせで食事をする。

「美味しい!!」

 アイオライトの料理の腕はどんどん上がっていく。


「そっか。よかった」

 嬉しそうに微笑むアイオライト。


「ねえ、アイオライト」

 美味しい食事を楽しみながらずっと気になっていた話題を口にする。


「そろそろ学園に入学……」

「しない」

 年齢的にも資金的にも、後々学園に入った方が将来的には有利だと何度も言ったのだが、断っているのだ。


「またその話~。あのね。わざわざ高い学費を払って学園に入らなくてもガーネットさんの教えてくれた【魂の記憶】の知識の方が役に立つのに」

 確かに、私の前世の記憶を再現した技術とか……私の前世の記憶で話をした料理まで再現してくれたのだ。この世界にはないものだ。


「で、でも、あくまで【魂の記憶】の知識で現実とかなり隔離ありし、そう言う常識を身に着けるのにも学園に……」

「だから、いやだよ」

 にっこり笑って断ってくる。


「アイオライト……」

「学園に入ったら資金は完全にガーネットさんが援助するつもりでしょう」

「う、うん。そうだけど、それが年長者の……」

「それが嫌なの!」

 きっぱりと断言される。


「年長者とか保護者じゃなくて、俺はガーネットさんの伴侶になりたいんだ」

 まっすぐな眼差しを向けてくる。


「気付いてなかった?」

 真剣な表情は子供のそれではなく大人の………【雄】の目をしていた。


「……そ、それは」

「知っていたよね」

 断言されて躊躇いつつも頷いた。




 ……いつからだろう。

 スキンシップのつもりで、抱き付いて恥ずかしがっている様にどこか何か違和感を感じた頃だっただろうか。

 それとも、見上げないと視線が合わなくなった時か。

 わたしが困っている時にさりげなく手を貸してくれる様に、鼓動が高まった。


 前世の【推し】は水魔法を中心で使用していたが、アイオライトは炎系の魔法を中心で使い、赤よりも高温の青い炎を使用している。


 それだけではない。

 

 幼少期の頃に虐待をされていて食事をまともに取れなかったという環境から細身という【推し】の外見と異なり、アイオライトは筋肉が付きにくい体質だったけど、細身ってこともなく、料理が好きなだけあって、好きなだけ料理をして、好きなだけ食べれる環境なので食事がまともに取れないという【推し】の設定と大きく異なっている。


 何よりも髪型が、【推し】はおかっぱのように肩で切り揃えていたが、アイオライトは私が髪を気に入っているからという理由で腰まで伸ばして一つに束ねている。


 以前、邪魔じゃないかと尋ねたら邪魔ではないし、髪の毛は鬘として需要があるのでもしもの時は売れますよと言われたほどだ。


 したたかに育っている。


 最初は推しと同じ髪の色だと思ったけど、今では【推し】と同じ名前なだけの青年だ。


「ねえ、やっぱり……俺は貴方の好きな人と違うから無理。ですか……?」

 不安げな声。


「そんなことないっ!!」

 即答だった。


「た、確かに最初は【推し】そっくりな髪の色だから気になったけど、【推し】は料理はしないで食べれればいいという感じで食に無頓着だったし、人間不信患って、冷たい感じで……あっ、それもよかったけど、それで、ヒロインに出会ってどんどん心を開いていく様が好きで……。で、でも、アイオライトは私が困っている時に助けてくれる。前世で言うハイスペック彼氏そのもので……」

 うん。素敵なのだ。だから困る。


「ガーネットさん?」

「………………私の様な先祖返りのハーフエルフの【魂の記憶】の影響でこの世界の常識を知らない。歳の離れたおばさんに相応しくないよ…………」

 恋愛対象(そういうの)に向かないだろう。


 目から涙が零れそうになる。

 言ってて自分がショックを受けている。


「………………」

 困らせているのだろう。アイオライトはそっと席を立つ。呆れさせてしまったとますます悔やむと。


「――関係ないよ」

 食事を終えて席を立ったのではなく、慰めるようにアイオライトは私の後ろに立って抱きしめてくる。


「死に掛けていた俺を助けてくれたのはガーネットさん。名前をくれて、たくさん愛情と知識をくれたのも。生きていいと常に伝えてくれたのはガーネットさんだよ。嫌いにならない理由はないし。特別な好きを抱くのは当然だよ」

「で、でも、それって……ヒナの刷り込み……」

 間違っていると告げようとしたが、そっと口に指を着けられて口を封じられる。


「当人が満足しているからいいんだよ。――と言うことで、学園には入らない」

 いきなり話を戻されて、そう言えば学園に入るか入らないかという話だったと思いだす。


「アイオライト」

「学園に入るお金があるのなら結婚式で使いたいよ。それから新しい家族が出来た時のために取っておきたいし」

「アイオライトっ!!」

「俺ね………。家族が欲しいんだ。たくさん。たくさん。愛の溢れた……」

『僕ね。家族が欲しいんだ。愛情に溢れた。僕を好きだと言ってくれる家族が……』

 アイオライトの言葉が【推し】と似ていた。全くの偶然だろうけど、そう言われて断れるわけがない。


 私にとってアイオライトは特別なんだから。


「仕方ないわね………」

「ありがとう。ガーネットさん」

 お礼を述べてくるアイオライトに仕方ないなと苦笑いをする。


 無駄になったなと学園のパンフレットを手にする。

「それにしても、偶然ってすごいな……」

 実は入学する学園の候補は二つあった。


 その一つが、前世の記憶にあった【推し】の通っていた学園と同じ名前だったのだ。



推しの設定はクールなややヤンデレ分があるキャラであった。

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押しに推し倒される所だったのか……
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