表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バウンティ・クロニクル~賞金狩りのVRMMO~  作者: アトラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/57

兄弟対決

 ウキワが言うには、秘宝というカテゴリーのクエストはG(ゴールド)も経験値も美味いらしい。


 そのクエストに向かうべく、次のエリアを攻略しようと次のエリアのゲートに足を運んでいた時だった。


「お、奇遇だねぇ……」


 一人の見知らぬ男が突如として目の前に現れ、声をかけてきた。


 比較的高身長なアバターに黒の革ジャンとジーパン。ファンタジー感のない私服すぎる装いは逆に違和感しか感じない。そんな男は、ウキワに高圧的な態度で蔑む。


「この人誰……?」


「私の兄だよ」


「えっ? 兄弟いたんだ……」


「俺も今初めて聞いたわ」


【ルシラス】という男はウキワの()とのことらしい。確かにイケメンだし、顔立ちが似てるとは思ったが、本当にそうだとは思わなかった。


「ウキワ、そこにいる後ろの二人を渡せ」


 その言葉に俺とヒナウェーブは顔を見合わせる。


「無理。元々私が目を付けてたんだから」


「じゃあ俺と1V1をして、お前が勝ったら、俺らのギルドが保有しているG(ゴールド)を全部くれてやると言ったらどうだ?」


「金額によっては普通に断るけど。それに、証拠がないじゃない」


「ふん、これが証拠だ」


 ルシラスはウィンドウを操作し、ゲーム内で撮影されたスクリーンショットをウキワに送った。


「320万G(ゴールド)ねぇ……で私が負けたら、この二人を渡せと」


「流石は俺の妹だな。飲み込みが早くて助かる」


「分かった、承諾する。けど……もし私が負けたとして、この子達のギルドの解約金は払ってくれるの?」


「ああ、当たり前だろ?」


「ふーん」


 そんなわけで急遽、俺とヒナウェーブを賭けた兄弟対決が決まったのだった。


 その決闘をする場所は【ダラワ】にある訓練場。ここでは1V1はもちろん、様々なパターンで練習を積むことができるらしい。何やら、ホログラフィックの人型AIと対人戦が出来たり……とか聞いたこともある。


 俺も更なる高みを目指して、空いた時間に今度練習しに来ようと思う。それくらい、練習するにはもってこいといった設備が充実していた。


 今回は50レベル統一で三本先取の1V1。リスポーン地点はその場に設定される。デスペナルティは、ここでは発生しないようなシステムになっているそうだ。


「兄弟対決ねぇ……」


俺は腿に肘を立てて頬ずえをつきながら呟いた。


「ルアくんはどっちが勝つと思う?」


「んー、相手の動きを見ないとよく分からんだろうなあ」


 俺とヒナウェーブは観戦席でコソコソと話す。ルシラスの立ち姿から見て、強そうな雰囲気はあるがどうだろうか。


 個人的にはウキワがこのバウンティ・クロニクルというフィールドでどんな戦い方をするのか興味があった。将来的にウキワと対戦するにあたって、この戦いは良い判断材料になりそうだったからだ。


 ウキワは両手に鎌を携え、対するルシラスは漆黒に染まった剣を見せつける。


 その瞬間、一戦目がスタートした。


 先に動いたのはルシラス。


 ウキワは動じず、その場で佇んでいる。


日蝕(エクリプスヴェール)


 肉薄しながらルシラスがそう唱えると、漆黒の剣が闇のオーラに包まれる。そして、ウキワの顔面目掛けて振り下ろす。


 ウキワは、その攻撃を二本の鎌で受け止めると、火花のようにポリゴンが散った。


 ルシラスは一旦距離を離し、再度接近。そして、魔剣を振り続ける。その攻撃はウキワに弾かれ、いとも簡単に交わされていた。ウキワはスキルを使わず、個人技だけで勝負しているのだ。


「……ヴォイドステップ」


 これでは埒が明かないと判断したのか、ルシラスは新たなスキルを唱える。すると、ルシアスの体が瞬間的にウキワの死角に移動した。辛うじて目で追えはするが、体は反応出来ない程の速さであった。


「……残念こっちだ」


「――なッ!」


 バフで強化されているであろう漆黒の剣は、ウキワの脇腹を掠める。


「ふん、俺の勝ちだな」


 ルシラスの瞬間移動による猛攻により、ウキワのHPを一瞬で全損させた。


「あいつ……まじで何してんだ?」


「スキル、一回も使わなかったね……」


 俺とヒナウェーブが観戦席で困惑する中、すぐ二戦目が始まった。


 またしても、先に動いたのはルシラス。そして、一戦目と同じように日蝕(エクリプスヴェール)を使用した。やっぱり、剣にバフを付与するスキルなのは間違いなさそうだ。


冥界鏡めいかいきょう設置」


 ウキワが初めてスキルを宣言すると、ウキワの目の前に鏡が現れる。そのまま吸い込まれるように潜ると、繋がっていた先はルシラスの背後だった。


闇刃追尾あんじんついび


 ウキワが背後から鎌を首に伸ばした瞬間、ルシラスは新しいスキルを使用した。


「……は、どこから……」


 ウキワの腹部にルシラスの魔剣が貫通し、ポリゴンの穴が空く。


闇刃爆破あんじんばくは


 響くは轟音。両者は爆発によって灰色の煙に包まれる。数秒経ち、その煙が風により流されていくと、ウキワのHPは無くなっていた。ルシラスは、二戦目もノーダメージで制したのだ。


「ウキワが鏡を設置した瞬間、剣を真上に投げてスキルで追尾か……なるほど」


「ねぇ関心してる場合? あと一本取られたら終わりなんだよ?」


 焦っているのがよく分かるヒナウェーブの言葉に、俺は動じなかった。それはなぜか。ウキワは、最初から本気を出していないからである。


「なぁウェブ、あいつの性格って知ってるか?」


「んーまあ、大体は……」


 今のヒナウェーブはウキワの外面しか知らない。ウキワの中に秘められた怪物を見たことがないのだろう。


「あいつの性格は終わってる。平気で人を欺き、自分のために動く。そんな奴だ」


「そ、そう……かもね? 」


「ウェブ。お前は、まだあいつの本当の恐ろしさを知らないんだよ。狂気に満ち溢れた真の姿をな」


 俺は、ウキワを視界から外さなかった。それにもかかわらず、ヒナウェーブの





「やっと本気を出したかと思えばこれか………」


 ルシラスは退屈そうに呟く。それに対して、ウキワは俯きながら微笑を浮かべると……


「あはははははははははははは!」


 ウキワは、悪魔の様な笑い声を天に向かって解き放つ。アバターが紫色に染まっているせいか、俺には紫色のオーラが出ているように見えた。


「本気なわけないでしょ。こっから徹底的に叩きのめすための準備をしてただけ。これは私だけの舞台なのよ」


「お前、そんなに変わっちまったのか」


 俺はそのルシラスの言葉に、ちょっとした違和感を覚えた。



お読み頂き、ありがとうございます。

よろしければ、ブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ