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バウンティ・クロニクル~賞金狩りのVRMMO~  作者: アトラ


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深夜の密会

「さて、本題の事情聴取と行きましょうか」


 ウキワはニヤケながら近くの椅子に座る。そして、席に着けと手招きをした。それに呼応するように、俺とヒナウェーブは顔を見合わせて席に着く。


「はいまず、あんたに質問。最初から気になってたんだけどなんで猫の仮面なんか付けてるの?」


「あ、それ私も聞いたんだけど、なんか濁されたような……」


 ウキワとヒナウェーブのコンビネーションは俺の心を抉った。その質問は、想定外だったからである。洞窟を出て最初に顔を合わせた時、何も言って来なかったツケがここで回ってくるとは思わなかった。


「猫が好きだからだよ。単純だろ?」


 頭をフル回転させ、絞り出した答えが()()だった。


「ダウト。嘘つくの下手だねぇ」


 ウキワにあっさり嘘を見破られるも、俺は抵抗するという手段に出る。


「いや、事実な?」


「ああ、そうやって言い張るんだー」


 ウキワはそっけない態度をとる。このパターンは何百回、何千回と経験してきた。つまり、それは敗北を意味する。既に、俺の脳内はウキワに見透かされているのだ。


「俺が馬鹿だった、それだけだ」


「ほほーん……」


 本当は、ウキワにバレたくなかった故に仮面を装備しているわけだが、その旨を苦し紛れに濁したところ、どうにか汲み取ってくれたようだ。


「えっ……何が?」


 ヒナウェーブは、分かりやすく困惑していた。そうなるのも無理はない。俺とウキワで意思疎通していたのだから。


「特に理由は無いらしいよ。ヒナちゃん」


「ああ、そう?」


 ヒナウェーブもそうだが、ウキワも思考が読みずらい。今も、事実を伝えればいいのに何故か俺を庇ったしな。ウキワなりの何かがあるのだろう。


「そんなことより、私が聞きたいのは秘霊についてだよ」


「分かった。俺が説明する」


 本音は、ノーコメントで行きたいところだが、どうせヒナウェーブが全部言うだろうと解釈したおれは、情報を開示する。それに、最初から手がかりがあったようだしな。


「ふふーん。なるほどねぇ……」


「どうせそれも知ってたんだろ?」


「いや、そもそも秘霊って言うカテゴリーの存在自体知らなかった。多分、あんた達が初遭遇だよ」


「でも、最初お前と会った時、めちゃくちゃ知ってる素振りだったろ」


 すると、ウキワは髪を揺らし、片手で掻き分けながらこう述べた。


「バウンティ・クロニクルには、賞金ランキングってやつがあってねぇ……」


 それを聞いたヒナウェーブは、直ぐにウィンドウを開き、指を動かす。


「ほんとだ。私とルア君が同率一位になってる……」


 ヒナウェーブの言葉で俺も、ランキングを見る。


「え、てことはバウクロで初めて賞金を手に入れたのも俺たちって事か!」


 正直、予想外だった。バウクロには数々の賞金狩りが集まっているとも聞いている。そんな中、賞金を取ったという事実は、信じようにも信じきれない。


「まあ、秘霊の件は正直どうでもいいからそのくらいにしておいて、『ギルド対抗賞金トーナメント』について話し合おうか」


 ウキワは怪訝そうな顔でそう言った。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「――………にゃぁ゛あぁ…………ほわぁ……」


 時刻は深夜1時半。ログアウトし、凝り固まった体をほぐすと、それに共鳴するかの如くあくびがでる。


 それにしても、このゲーム異常に疲れる気がする。これまで数多くのVRゲームをプレイして来て、ある程度耐性のある俺が、倦怠感を覚えるのは初めてに等しい。


「水……飯……」


 家族が眠りにつき、静まり返った深夜。吸い込まれるかのように、階段を降り、冷蔵庫を漁る。そこから冷やしておいた500mlのお茶を取り出し、ごくごくと飲む。


「くぅー! やっぱ飲み物は水かお茶に限るなぁ」


 VRゲームには、エナドリバフというものが存在する。カフェインによる覚醒により、パフォーマンスが上がるとか。


 ちなみに、俺は飲まない。いや、飲めないと言った方が明確だろうか。エナジードリンクを飲むと必ず腹痛に魘されてしまうからである。そのため、俺にとってはデバフでしかないのだ。


 水分補給で潤ったところで、お次は菓子パンエリアをゴソゴソと漁り、イチゴジャムパンを手に取る。右手にはペットボトル、左手にパンを携え、再び自室へと戻った。


 そして、机にお茶を置いたあと、ベッドに座り、菓子パンを頬張りつつ、『ギルド対抗賞金トーナメント』について頭の中で軽く復習する。


 とはいえ、説明されたのはバイトの時と同じ内容で、詳しいことはまた明日集まって伝えるとか言ってたっけか。まあ、深夜で俺含めみんな眠そうだったしな。


「とりあえず、優先すべきは稼ぎってとこか……」


 ギルドには、ギルドバンクと呼ばれるシステムが存在する。


 簡単に言えば、ギルド専用の銀行口座みたいなもので、バウクロの共有通貨であるG(ゴールド)を預けたり、引き出したりすることが可能である。


 このシステムにより、多く貯蓄した上位4つのギルドが『賞金トーナメント』の出場権を得ることが出来る訳だが――問題は()()()()()だ。


 G(ゴールド)はアイテムを売ったり、クエストのクリア報酬などで入手出来る。あとは、ギルドに所属している輩をPK(プレイヤーキル)する事くらいか……。


PK(プレイヤーキル)ねぇ……」


 確か、キルされると所持金の半分が譲渡されるんだったか。けど、バンクに預けられてたら元も子もない。つまり、弱肉強食理論で弱そうなギルドを狙えば……いや、無理に狙う必要は無さそうだな。


 結局のところ、いい案は浮かばなかった。ともかく、明日の会議で意見を聞くとしよう。


 いつの間にか、イチゴジャムパンを食べ終えていたことに気づき、寝る前にやるべき事を終わらせた後、俺は鮫との戦いを噛み締めながら眠りについたのだった。


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