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98 1594年1月30日 名護屋城攻城戦6

遅くなりましたが、ようやく名護屋城攻城戦の序盤戦が始まりました。

挿絵(By みてみん)

20式5.56mm小銃


1594年1月30日AM11時00分 進水式々場 式典終了・歓談時の続き。


大友義統(よしひろ)狼狽(ろうばい)していた。何故、自分がかくも大勢から責め立てられるのか理解出来なかった。

平壌城の戦いでの撤退が(まず)かったらしいが、小西行長は生還出来たではないか。仮に鳳山城に留まっていたら(みずか)らも家臣諸共(ともども)全滅だっただろう。判断が間違っていたとは思えない。


加藤清正:「今すぐ、切腹いたせ。切腹が嫌なら(それがし)が首を()ねてつかわす。」


島津義弘:「是非もなし、今すぐ腹を召されよ。」


嫡子の大友義乗(よしのり)狼狽(ろうばい)している。齢17歳だから仕方ないが戦国時代なら立派な成人である。


大友義統:「待たれよ皆の衆、これは何かの間違いにて御座る。(しば)し、暫し。」


大友義統が右手の指を3本立て斜め上に振る。見止(みとめ)た家臣が側近に呟く。たぶん(仕掛けろ)と言ったと思える。


数秒後、名護屋城の八咫烏が反応する。式典の陣所の東隣の大友氏の屯所から火炎反応が近付いている。ピピーという警告音が鳴って、警告灯が素早く点滅している。

式典の陣所の上空には偽装ドローンが3機配備されている。十文字の(わし)の形をしているが良く見ると奇妙である。


村上景子(きょうこ):「火炎反応接近、15秒後に射程圏内、火縄銃の可能性大、至急対処!」


織田信孝の洋式兜と栗林陸曹のヘルメットに指令が入る


織田信孝:「ブ・了解(ラジャー)


村上景子が溜息をつく。いい加減に時と状況を考えてほしい。


栗林詩乃(うたの)陸曹がバトルスーツケースから20式5.56mm小銃(HOWA5.56)を取り出して織田信孝に渡し自分も1丁構える。スコープは八咫烏連動式で有るが、局地戦仕様にて偽装ドローンからバトルスーツケースの連動システムにチェンジされる。若干のタイムロスが少なくなる。


スコープに多数の赤色光点が現れるが、側方より小銃を構えた自衛隊員が左右2名ずつ現れると赤色光点が1/6に減り5/6が黄色(おうしょく)光点に代わる。赤色光点が自分の受持ち分となる。

局地戦なのでトリガー連動はしていない。すべて自らの判断となる。なぜなら光点以外の敵も想定されるからだ。時は戦国時代である。


待ったなしで銃口から銃弾が発射される。ダッダッダッ、約1.2秒間隔の連射に調整してある。早過ぎても遅過ぎてもいけない。

陣所の後陣幕に横一線の銃弾の穴が穿(うが)たれる。陣幕はピクリとも揺れない。奇麗にミシン目の様な弾痕が刻まれる。銃弾の速度が速いからだ。


36秒後、弾倉が空になり6人が一斉にカートリッジを交換する。ジャッキーン、直ぐに構えるが射撃はしない。スコープに光点が無くなったのだ。すなわち火縄銃が全滅した事を示すが油断はならない。


左右の兵が2人ずつ背中合わせになり、ゆっくりと回る。目視による索敵をしている。と同時にスカウターを装着して八咫烏からの司令を待つ。

織田信孝が陣所の諸将達に恐怖を与え無いように配慮して銃口を下向きにする。


諸将は何が起こったか判らずに唖然としている。

その時、横一線に切り裂かれた陣幕の下半分が布の重みで地上に落ちる。


諸将の目が見開かれる。そこには180発の銃弾に撃ち抜かれた約100名の断末魔の大友兵が横たわっている。中には座り込んでこちらを怨めしく(うかが)い、自らの命を絶った物が何であるか知りたげにしているが、もはや(むくろ)となるしかない。


※スカウターの正式名称は光交点式(こうこうてんしき)目標示準機と言う。詳しくは(32話鞆幕府 5 鞆の浦 八咫烏)参照




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