94 1594年1月3日 名護屋城攻城戦2
戦闘シーンは無いですが。名護屋城の攻城戦はすでに始まっています。情報収集の段階で
次回は事前準備と調略になる予定です。なお現代日本の様子を冒頭に入れておきます。
(84話 1592年10月19日 佳志子様とN2HK)
より関東の情勢が随分ご無沙汰してしまった。
1594年(西暦2037年)1月1日 の現代日本である。日本は平和な正月を過ごしていた。
異変と言えば去年の12月頃より朝鮮半島由来者の老衰死が増え始めていたが、まだサンプルが少ない。
1593年12月の露梁海戦後、秀吉軍は朝鮮半島より撤退したらしいが国民の大多数は興味が無い。
1595年にゴジラの最新作(戦国ゴジラ)が公開されると話題になっているが予告編ばかりが流れている。
むしろ2024年(1580年)に封切りされた李舜臣が主人公の映画がリバイバルされてブームになっている。
済州島に避難した李舜臣を呼ぼうとマスコミが動き出し、医師の笛吹優子が特使で派遣される。
1594年(西暦2037年)1月3日
笛吹優子:「救国の英雄・李舜臣様、ご機嫌は如何ですか。」
李舜臣:「笛吹優子殿、その節はお世話になった。お陰様で命拾い致した。」
笛吹優子:「それじゃ、脈を拝見いたします。・・・・・あれ???」
李舜臣:「如何致した。」
笛吹優子:「脈を拝見致しますと、長くて後5年の命ですね。1598年12月16日が命日です。」
李舜臣:「なんと、東夷国の医術では脈だけでそこまで判るのか。」
笛吹優子:「という訳なので、これより東夷国に行って精密検査を致しましょう。救国の英雄・李舜臣様。」
李舜臣:「馬鹿を言うでない。これから国を立て直さねばならぬのに、異国へ行けるか。」
笛吹優子:「報酬は古古米10トン(新米なら300万円)に御座います。救国の英雄・李舜臣様。」
李舜臣:「わかった。直ぐに支度を致す。ところで笛吹優子殿は何歳になられる。」
笛吹優子:「57歳ですが、、なぜそんな事を聞かれます。救国の英雄・李舜臣様(48歳)」
笛吹優子は(どっと、かっこ、かっことじ)と記号読みして答える。近頃の日本語はインターネットの普及から変わってきている。正確にはドットでなく(全角中点)である。さらにはアラシックスティを誤魔化す気もない。そうゆう事が次第に面倒臭くなってくるお年頃である。ただし美貌は40代前半のままである。美人は歳を取らないが、近くで見るとそうでもない。
-----
( 94 1594年1月3日 名護屋城攻城戦2 )に話を戻さねばならない。
織田信孝・鞆幕府中将:「のう、可奈殿、この一覧表じゃが・・・」
佳奈:「はい、東夷国の最新のコンピューターにて解析しております。」
織田信孝:「各大名の借入額を色分けならぬか。コンピュータならチョチョイだろ。」
可奈:「はい、お待ちください。えーと、「ホームタブ」「フォント」「塗りつぶしの色」、、
えーと、多いのを標準の色の赤ですか?セルだけでいいですか?」
茶々:「妾に寄こせ。」
茶々は赤鉛筆と定規でササっと線を引く。絶対にこっちの方が早い。しかもフリクション色鉛筆だから間違えても直せる。大体において各大名は20人しかいない。最新のコンピューターが必要かは些か疑問である。
茶々:「可奈、このA4縦の表を作るのに何時間かかった。」
可奈:「昨日から正月休み返上で頑張りました。10時間くらいです。」
茶々:「まぁ、各種資料からデーターを抽出せねばならんから仕方ないか。」
可奈:「はい、有難うございます。」
可奈は各大名の借入れ調書を転記しただけである。データーベースソフトを使おうと思ったが、操作方法が難しいから断念した。
茶々:「ところで麻奈は如何致しておる。そろそろ正月休みも終わりだぞ。これから物凄く忙しくなるがどうしておる。」
可奈:「唐津の鰻屋の竹屋でバイトしてます。なんでも時給が倍になったと喜んでいます。」
ここで可奈の時給が倍になった理由が知りたいが、少し我慢して名護屋城6階での話を続ける
織田信孝:「なるほど色分けして判ったぞ。金を借りてない大名がいる。」
茶々:「今頃判ったか。大友氏だろ。所領も広いし、大友 義統は齢36歳、平壌城の戦いで失態が有ったあようじゃな。」
織田信孝:「ふむふむ、これは使い物になりませんから、使えますな。」
茶々:「さにあろう。妾もそう思っておった。これは使えるぞ。」
二人の会話だけでは、大友義統が( 使える )かどうかが、全く判らない。
可奈:「それならExcelのソート機能を使って借入金順に並べ替えれば簡単です。えーと、」
可奈が色々調べてから返事をする。少し遅い。
茶々:「可奈、先程の件であるが、(条件付き書式を使って特定の文字列のセルに色を付ける)方法がネットに載っておる。
(エクセル 条件 色分け)で検索すると出てくるからサブ画面で手順を確認しながら作業を進めて、ノートに手順をメモるようにしなさい。ただし、職場は学校でないから程々にする事じゃ。」
茶々は物分りの良い上司である。
織田信孝:「可奈殿、名護屋城周辺の各大名の配置図に、戦力と借入金先の金額を色分けして、さらに領国の石高を記載し、それをグラフに出来ないかな?」
可奈が泣きそうになる。どうやら織田信孝は悪い上司のようだ。無茶振りが過ぎる。
側で物事の一部始終を聞いていた村上景子が、分厚い資料を自衛隊の栗林陸曹に渡す。資料はPDFに電子された物をプリントアウトした物だが、チェックは赤鉛筆によってなされる。
Acrobat Readerの注釈機能は使わない。
栗林詩乃陸曹が凄まじい速さで「八咫烏」にデータを打ち込む。仮想空間に戦場がシュミレートされていく。栗林陸曹は乳房は筋肉だが脳ミソまで筋肉ではない。
村上景子と栗林陸曹が、織田信孝と可奈が試行錯誤で頑張っているのを、ガッカリさせない様に気を配っているのか、面倒くさいから無視してるかは不明である。ただし、現場の人員が自ら考える事は大事であるから放っておく事にした。
よくパソコンの操作を教えるのに横から手を出すのは良くない。じっくりと本人にやらせるべきである。
村上景子の天才的軍事センスはAIを遥かに凌駕しているが、現場との連携が悪ければ何もならない。
連携は訓練によるしかない。時間がかかるが省けない工程である。
同時刻、備後の鞆幕府では大量の軍事機器が海上輸送コンテナに積み込まれている。
鞆幕府の機動部隊戦力の70%出動である。
― ― ― ―
(さらに同時刻:唐津の鰻店・竹屋)
店長:「今度入った、麻奈という女の子はよく働くなあ。しかし、時給が40文(2000円)、ちょっと高くないか?」
支配人:「いつも余った弁当を買い取ってくれるから助かりますし、なんか大口の顧客を抱えていますから時給を倍にしても全然高くないです。」
店長:「ところで、あのユニホームだが、少し露出度が高くないか?」
支配人:「お言葉を返すようですが露出度はかなり高めです。少しでは有りません。」
さらに支配人が続ける。
支配人:「なんでも(くノ一)の常備服で、敵の目を惑わす術だそうです。」
店長:「ほう、くノ一か、それは心強い。近頃、急に殺伐とした侍が増えたからな。」
支配人:「なんでも術の名は(裸にエプロン)と申すそうです。」
― ― ― ―
なかなか戦闘シーンにならないと苦情がきそうだが、戦闘が始まった時には勝敗は80%は決している。
それまでの戦略、事前準備、調略が大事である。関が原では調略・情報戦で西軍は開戦前に負けていたと言われるが史実は定かでない。