90 1593年12月7日 打ち出の小槌
とうとう90話になりました。100話までは頑張りますので応援よろしく。
1593年12月7日 午後6時半
唐津ステーキハウス蜂
茶々:「えっ、とぅ、取り敢えず生4つに、黒毛和牛上塩タン5皿。」
店員A:「えっ、生4つに牛タン5皿ですか?」
茶々:「そうじゃ、何ぞ不都合でもあるか?」
ステーキハウス蜂は業態を変えて、焼き肉店になっていた。やはりナイフとフォークは戦国時代の日本には合わないようだ。
今日は、茶々と森蘭丸、麻奈と可奈の4名である。
秀吉は名護屋城で秀頼の世話をさせられている。
麻奈・可奈:「宜しいんですか?、秀吉さんを呼ばなくて?、秀頼ちゃんは乳母にまかせておけば良いのでは?」
綺麗にハモりながら麻奈・可奈が言う。見事なものだ。二卵性双生児ながら、まるで分身の術を使ってるようだ。戦国時代に一卵性か二卵性か判るかと聞かれても困るから聞かないで欲しい。
茶々:「良いのじゃ。たまにはオシメを変えたり哺乳瓶で乳を飲ませないと父性愛が育たぬ。」
森蘭丸:「左様な物で御座いますか?」
茶々:「左様な物じゃ、そなたもサッサと子を作れば良い。楽しいぞ。」
森蘭丸は茶々と子作りするチャンスは山程有ったし、超据え膳状態だったが事に至らなかった。
男女の関係は最初の出会いで決まる。すなわち最初に遣り損なったら、なかなかズッポシハマらない。
生ビールと牛タンが運ばれて来た。
茶々:「それでは乾杯いたそう。皆の物、今日の業務ご苦労で有った。これから20日間は忙しいが、直ぐに正月じゃ、頑張ってくれ。」
麻奈・可奈:「ところで牛タンが5皿ですが、1皿多く無いですか?」
茶々:「妾が2皿食すだけじゃ。何か不都合でもあるか?取るでないぞ。」
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麻奈・可奈:「それにしても、各大名の借り入れ額、凄いですね。加藤清正5万貫(25億)、小西行長6万貫(30億)、島津義久3万貫(15億)、えっ、毛利輝元20万貫(100億)ってマジ!」
メモを読む麻奈・可奈の声のハーモニーがビブラートしてからシャウトしている。
森蘭丸:「毛利輝元殿は、九州の戦時特例徴税でないから、そんなモンです。」
森蘭丸:「国税と守護職交付金と国人等交付金の配分は通常、国税分30%、守護20%、国人等40%、寺社10%ですが、戦時特例で国税分20%、守護30%にしてますが焼け石に水ですね。」
森蘭丸は事も無げに暗記してる数字を、サラサラと言う。優秀な高級官僚は、保身は上手いが無責任であるのは何時の時代も同じだ。
茶々:「えーとぉ、生レバ、センマイ刺し、牛ユッケを二皿づつね。」
麻奈・可奈:「大丈夫ですか?、生ばっかり、私達は嫌ですよ。普通の肉にして下さいよ。」
茶々:「大丈夫、ここの和牛はA5ランクだし、現代日本から仕入れた抗生物質がタップリ入った配合飼料使ってるから、バイキンや虫なんていないよ。
それじゃ、黒毛和牛の霜降り上ロースに、上カルビを3皿ずつ、それとミノ2皿とホルモン2皿、お願い。それと生ビールおかわり。」
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※現代日本から仕入れた人糞肥料を使って栽培した配合飼料の間違いだが、食事の場で人糞もしくはウ◯コと言いにくいから、茶々が咄嗟に言い換えた。
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麻奈・可奈:「全部、集計したら、200万貫(1000億)になるけど、お金無いよ。秀吉様だって借金だらけなのに。」
森蘭丸:「秀吉様の借金入れたら300万貫(1500億)になりますね。」
現代日本とは物価水準や経済規模が違うから300万貫は一兆円くらいの借入である。貯蓄高が莫大な現代日本とは違い、戦国時代は預け入れ貯金という概念すらない。紙幣が流通する前は銅銭で貯め込んでいたから、明からいくら銅銭を仕入れても足りなかった。
麻奈・可奈:「そんな大金、何処から借りての?」
森蘭丸:「豊臣商事を通じて、豊臣秀次様より150万貫、明国の万暦帝から150万貫ですよ。」
麻奈・可奈:「えっー、ミンミンミーンの万暦帝!、それって敵国じゃない!!」
良くここまで異口同音にハモれるモンだと関心する。
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(同時刻:旅順要塞の特別室)
中国と日本の時差が1時間だから、日本の午後7時半は中国の6時半。
現代では中国は北京時間に統一されているが、戦国時代はどうだったか?は話の筋と関係ないので省略する。
万暦帝:「それで、秀吉からの返済はどうなっている。」
張敬修:「返済は焦げ付いております。」
張敬修は1582年に死んだ張居正の長男で1583年に自殺しているが、移転世界では健在にて、万暦帝直属の張居正特務班の長にて当時41歳である。
万暦帝:「貸付額は如何ほどじゃ?」
張敬修:「秀吉側の通貨にて200万貫(1000億円)に御座います。」
何故か50万貫(250億円)違うが、在日米軍、織田信長、のルートにて迂回融資しているからそうなる。さらには利子が別口50万貫有るから、秀吉は250万貫返済しなければならない。
ただし無担保では無い。担保は琉球王国である。琉球は建国時から明国に冊封・朝貢していたが、1609年に島津が占領するから、先を見越して日本の領地だとして担保にしたのである。琉球王国にとっては薩摩より明国が全然いいからアッサリ同意した。
万暦帝:「それで、返してくれるのかな?儂の私財だぞ。明国の金なら焦げ付いても支障ないが。」
張敬修:「全額、即時に返済するとの連絡が先程、秀吉から、信長と在日米軍を通じて有りました。」
万暦帝:「何!それは誠か?、いつ返してくれるのじゃ?」
張敬修:「ははぁ、追加融資を400万貫してくれたら、250万貫は即時返済するとの事です。」
万暦帝:「・・・さようか・・・おっ、おのれ!!秀吉!!」
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というような経過で秀吉は100万貫(500億円)を手にする。しかも万国共通通貨の銀である。
ちなみに50万貫足りないようだが、最初に利子や保証料や一回目の返済を引かれるから仕方ないし、
今回は信長や在日米軍が絡んでいる。
だいたい敵国に金を貸す万暦帝も悪いが、彼なりの事情がある。流石に銀立てでの新たに200万貫(1000億円)、総計で400万貫(2000億円)の融資は厳しいが、敵国への貸付が焦げ付いて公なれば万暦帝とてタダではすまない。