本能寺の変:異聞
話は遼東半島から戦国日本に帰ってきました。
1582年・天正10年、我々の歴史で知る限り織田信長は、その絶頂期を迎えていた。3月には宿敵である武田勝頼を天目山にて自害に追い込み、4月には太政大臣・関白・征夷大将軍のいずれかに任ずる構想すら持ち上がっていた。
そして運命の6月2日本能寺を迎える。
未明より明智光秀の1万3千の軍が本能寺を包囲する。
南蛮鉄で補強された破城槌が正門に狙いを定めた。
その時、なんと本能寺の門が内側より開く。
完全武装した信長が南蛮鋼の銀色の光を放つ。
織田信長:「是非も無し!」
斎藤利三:「なっ、なんと!上様にあらせられるか。」
織田信長:「いかにも、平朝臣織田上総介三郎信長である。そこなるは斎藤利三ではないか。これはいかなる所業か、しかと申せ。」
斎藤利三:「我が主、明智光秀の命によりお命を頂きにまいりました。」
織田信長:「なんと 光秀の所業か、ならば是非もなし。
ところで利三、そなた考え直さぬか。」
斎藤利三:「これはいかに上様の申し出とはいえ、主命にございますゆえ。」
織田信長:「主命?、余が主では無いのか?光秀は余の家臣ぞ。家臣の家臣は家臣ではないか。是非も無し。」
斎藤利三:「是非も無しと、申されても??ちと、お請けしかねます。」
織田信長:「そうか、ならば仕方ないな。さらばじゃ。」
信長がサッと手を上げると同時に門の周囲の敵兵が夥しい銃声と共に一斉に倒れる。生き残って立っているのは斎藤利三、ただ一人である。
信長の左右に3人づつ、計6名の自衛隊員が20式5.56mm自動小銃を放ったのだ。
自衛隊員A:(すっげぇ〜)
自衛隊員B:(カ・イ・カ・ン!)
勿論、口には出してない。打ち合わせ通りだが、自衛隊員が生身の人間に実弾を放つ事での精神的ダメージを危惧したが、その心配に及ばないようだ。現実離れした異世界の出来事と捉えている。
信長が本能寺の門より出て行く。危険ではあるが、戦国の魔王は物ともしない。
織田信長:「利三、是非もなかろう。」
斎藤利三:「はぁ、上様、誠に、なんと、恐れ多き事です。」
織田信長:「さも有りなん。利三!これでもか。」
斎藤利三:「ははぁ、上様の仰せの如く。」
いささか言葉のやり取りが不明だが、カリスマとは、そんな物である。
斎藤利三:「者共!上様に仇なす者をいざ討ち取らん。」
ようやく死体を掻き分けて斎藤利三の近習が恐る恐る近付く。
近習A:「して、敵は如何に?、先ほど殿は「敵は本能寺」と申されましたが。」
斎藤利三:「馬鹿・阿保・間抜けの糞たわけ!、そのような事は申しておらん!死にたいのか!、いゃ絶対に殺される!いや、敵は明智光秀なるぞ!!!」
斎藤利三配下の軍勢が踵を返す。何事かと思い隊列を乱す明智配下の軍勢に死にもの狂いの突撃を敢行する。
戦果:信長側死傷者ゼロ、信忠側死傷者150名、斎藤利三配下の兵を含む光秀側:死傷者2000名。
信忠は奮戦し討ち死に寸前で光秀軍が崩壊して死地を脱した。どうやら信長は信忠の事を忘れていたようだ。
自衛隊は大和田哲男の忠告で、最小限の歴史干渉を決め込
んでいたが、既に歴史の流れは大きく逸れてしまったようだ。