渤海海戦
紫禁城では緊張が走っている。
3日前に天津沖の渤海に巨大な船団が出現した。無論、当時のイスパニアの木造船とは全く違う。
鋼鉄でできたその船団に向け、港の台場からカルバリン砲が火を噴いた。
このカルバリン砲、射程距離が500m と言われるが、砲弾を小さくすれば、さらに到達距離は伸びる。インドでは 6km飛んだという話もある。
台場から300m先の巡洋艦にカルバリン砲が轟音と共に放たれた。秒速500mの18ポンド=8キロの鉄の塊が巡洋艦に向かい飛翔する。即座に自動迎撃システムが作動した。
瞬時に巡洋艦より放たれた迎撃ミサイルが、砲弾と交錯し炸裂する。しかし迎撃の小さな鉄片は鉄の塊の軌道を僅かに変えただけで、砲弾は巡洋艦の操舵室を直撃した。どうやら迎撃システムが裏目に出たようだ。
「うわぁ~、敵弾が直撃しました。操舵士負傷!!」
凄まじい轟音と共に操舵系が破壊され、飛び散った破片が乗組員を傷つけた。
空母に乗船中の在日米軍副司令官:ジョージ・ラウル4世
「何事だ!報告せよ。」
海兵隊通信使:「どうやら敵の砲弾が巡洋艦を直撃したようです。複数の兵士が負傷しました。」
ジョージ・ラウル4世:「何だと!迎撃システムは作動しなかったのか?」
海兵隊通信使:「どうやら、その迎撃システムが災いしたようです。散弾によって軌道が変わってしまいました。システムは対ミサイル仕様でしたが、砲弾ですので予想外の事態です。」
ジョージ・ラウル4世:「砲弾だと!、おのれ、野蛮人め!すぐさま反撃しろ。」
巡洋艦のMk 45 5インチ砲が連射する。一分間に16発の発射間隔で明国の台場に打ち込まれると続けざまに砲台が吹き飛ぶ。10発撃てば10個のガトリング砲が爆発する。さらには周囲の火薬に引火し黒色火薬の白煙と粉塵で包まれる。「わぁー、助けてくれ〜」兵士の阿鼻叫喚が爆音と共に聞こえる。
双方の死傷者は明国側、死者26名、重軽傷者72名、米軍側、重軽傷7名という事になった。なお、明国側からの発砲の経緯は関係者が死亡しているため不明である。