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戦国三都物語:永楽通宝で日本統一 6 豊臣秀吉

徳川家康に続いて豊臣秀吉の話です。

前回続き:1586年(天正14年)2月の安土城


― ― ― ―


織田信長:「さて来年度の予算で豊臣秀吉の力はどの程度になるか?」


森蘭丸:「国税と守護職交付金と国人等交付金の配分ですが、国税分30%、守護15%、国人等45%、寺社10%に御座います。」


織田信長:「それで家臣団の力は削減できるのか?」


森蘭丸:「前年比30%ですが、秀吉殿が自分の金を家臣団に配ったら前年比40%になります。ですがそれは有りません。逆に秀吉殿が家臣から金を集めようとします。その場合は前年比で20%になります。」


織田信長:「なんと、配分を家康と5%変えるだけで、そのような事態になるのか?」


森蘭丸:「はい、秀吉殿は播磨一国を所領としておりますが、諸将や兵の数が多すぎます。交付金では支え切れません。既に諸将には秀吉殿の蓄えた金銀より支払いがなされています。無論、秀吉殿はそれを良しとはしません。」


織田信長:「なるほどなぁ、家康と違って古くから仕えし家臣団がいないから離れるのも早いのか。不憫じゃのう。」


森蘭丸:「成り上がり者ゆえ仕方ありません。豊臣に名前を変えても臣下が豊かなる猿大将と世間の者が申しております。」


織田信長:「猿大将か、、ところで世間の者とは誰ぞ。」


森蘭丸:「私一人です。今、思いつきました。それにしても信長様、何ゆえ、あの者を重く召し抱えなさったのでしょう。私には納得がいきません。」

 

森蘭丸は史実を知って、秀吉の暴虐さに怒りを露わにしている。


織田信長:「蘭丸!言葉を慎め。それは異世界の話ぞ。信孝もお市も本邦では存命なるぞ。秀吉はいまだ忠臣であるではないか。」


森蘭丸:「失礼いたしました。」


織田信長の叱責にうなだれる森蘭丸であった。彼も割とデリケートである。


― ― ― ―


本日の話はタイトル通り豊臣秀吉である。


豊臣秀吉:「来年度の交付金の仔細(しさい)が来たがどうにもならんのう。」


石田三成:「もはや、遺憾ともし難き事かと。」


豊臣秀吉:「我が家臣は耕す土地も無く働きもせず、(いくさ)ばかりしておる。戦が無ければ遊び呆けておる。」


石田三成は(それは殿とて同じ事に御座います。しかも自ら率先しておられる。)と思ったが口にはしなかった。


石田三成:「播磨においては、もはや信長殿の天下は揺るぎなきもの、しかも銭が全て(すべて)なれば我が郎党の居場所は無き物かと存じます。」


豊臣秀吉:「(いくさ)が無ければ、戦を作れば良い。鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス。」


石田三成(近頃、殿は唐突に妙な事を言われる。)


石田三成:「そういえば殿、京都総合診療所から先日の人間ドッグの診断書が来てます。なんか赤い字だらけです。」


豊臣秀吉:「捨て置け、面倒くさい。殿(織田信長)も酔狂やのう。露と落ち 露と消えにし我が身かな 浪速のことは 夢のまた夢、人間死ぬ時は死ぬわ。それにあの胃カメラ、二度とやりとうない。」


石田三成(やはり殿はおかしい。これは長くないな。)


― ― ― ―


再び3日後の安土城


森蘭丸:「そういえば秀吉殿から、お国替えの陳情書が届いております。」


織田信長:「んっ、お国替え?四国あたりか?播磨から出て行けば好都合じゃ。」


森蘭丸:「筑前と肥前に御座います。」


織田信長:「なんと、あ奴、大きく出たな。肥前は長崎、筑前は博多、南蛮貿易の要衝なるぞ。」


森蘭丸:「それでは長崎は特区として直轄地としましょう。肥後は広過ぎますゆえ、唐津と玄海に致しましょう。さらに壱岐と対馬の借地を申し出ております。」


織田信長:「なんと!玄海と言えば何がある?」


森蘭丸:「名護屋に城を築きたいとの申し出に御座います。」


織田信長:「なんと!話はそこまで進んでおるのか、ならば致し方ない。」


森蘭丸:「話と申しても?それは誰とで御座いましょう?」


森蘭丸は訝しがった。言った本人の信長も判らなかった。口から唐突に言葉が発せられた。


織田信長:「誰って誰なんだ?」


― ― ― ―


(再び播磨の秀吉)


石田三成:「主上(織田信長)より御下知がまいりました。先日の国替えを許すとの事です。」


豊臣秀吉:「なんと、それは誠なるか。」


石田三成:「はい、しかと相違御座いません。それともう一通、書状が来ております。上様から直接です。」


豊臣秀吉:「なんと上様からとな。」


秀吉は震えながら書状を読んだ。秀吉の目から涙が溢れてきた。書状の内容は、「身体をいとえ」「家族や親類縁者を大事にしろ」「民をいとえ」「利休を敬え」「死んだ竹中半兵衛を思い出せ」など仔細に及んだ。そして最後に「石田三成治部小輔に気を許すな」との事であった。


豊臣秀吉:「殿はいったい何を知っておられるのじゃ?」


※秀吉は異世界での自らの所業を未だ知らなかった。なぜなら平仮名しか読めなかったからである。



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