鞆幕府 4 鞆の浦水軍 美しき頭目
幕府直轄艦隊と村上水軍の話をしたかったが、また横槍が入った。どうやら転移先の住人が勝手に話を盛り上げようとしている。こっちは辟易してしまった。
↑大河ドラマ毛利元就の葉月里緒菜さん
(前回のあらすじ)
A:織田信孝を中心とする幕府軍と自衛隊
B:渋川氏などの地侍と備後本願寺の僧兵の包囲軍
C:因島村上水軍の当主:村上景親の娘・村上景を頭目とする海賊業を営む水軍と鞆の浦の半農半漁の民
BBBAAABBB
BBAAAAABB
BBBBBBBBB
CCCCCCCCC
海
今こんな感じです。A幕府軍に押し出されてBがCと対峙してます。(絵が書けなくて御免なさい。)
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景と村上水軍の海賊30人と、渋川党が小道を挟んで対峙している。距離は3メートルも無い。
渋川党兵卒A:「早く道を開けよ。」
渋川党は攻城戦からの野戦が不利と見て、市街戦の下知を下した。無論、港町は火の海になる。
村上景:「いや、ここは通させん。」
渋川党兵卒A:「なんと裏切ったか。そこを退け小娘!退かねば慰み者に致すぞ。」
兵卒の余計な一言で景の怒りが頂点に達した。
村上景:「裏切ってはおらぬ。我ら海の民は自由に生きる。主等にかしずく道理はない。」
景が手を上げると弓兵が矢をつがえ、槍兵が槍を突き出す。
渋川党兵卒A:「手向かうかぁ。ならば致し方ない。押し通すまでじゃ。ただし、村上の小娘は生きて捕らえよ。」
どうやら渋川党兵卒Aは景に御執心と思える。
渋川党の兵が徒党を組んで村上勢に突入しようとしたその刹那、先頭の兵が倒れる。いゃ、正確には鞆城から見える位置に背中を見せた兵のみが倒れた。後方に続く兵がいる前の兵は、取り敢えず助かった。
渋川党兵卒A:「何事にあるか!」
最初の一撃で助かった渋川党兵卒Aが慌てふためく。20人ばかりが倒れている。皆、胴を鎧ごと撃ち抜かれており即死に近い。
次の一撃が渋川党を襲う。またしても20人が倒れる。
渋川党兵卒A:「何だ!何処から撃っておる。」
村上景が唖然とした形相で指を刺す。
村上景:「あれなる城壁より放たれました。」
僅かな火炎を目撃した景がわざわざ敵対する渋川党兵卒に教えてやる。景も余りの事に動転しており、さらには自分達にも銃口が向けられている恐怖で、ある意味、渋川党と同族意識が芽生えたかもしれない。
3波で60人、4波で80人、5波で合計100人が死亡する。
そして死者は渋川党のみで村上勢には1人の怪我人さえいない。銃弾が外れないので跳弾もない。
渋川党兵卒A:「景殿、お別れで御座います。」
兵卒Aが死に際の苦しい息から景に最後の訴えをする。
景が兵卒Aの手を握ると兵卒Aはニッコリと笑いながら息を引き取る。
どうにも女心は判らないが兵卒Aに愛情を感じた訳でもない。例え自分にその気が無くとも好きにさせねばならない美少女の独占欲?かもしれない。奇っ怪この上もない。
いわゆる魔性の女かもしれない。織田信孝も無事では済まないかもしれない。
話を戻すが、南側の渋川党の戦死者は70名、僧侶は30名、村上勢は怪我人1名、ビックリして転んで溝に落ちて捻挫した。災害時に良く有るパターンである。