鞆幕府 3 鞆の浦海軍 挿絵入
やはり戦国転移物は合戦が面白い。しかるに読み物ゆえ、ここらで女性が出てくる。村上水軍の当主の娘である。毛利元就の葉月里緒奈さんは良かったなぁ。
(前回のあらすじ)
地侍3000人と、僧兵1000人の兵力が鞆幕府を包囲する。
新公方:織田(神戸)信孝の守る軍勢は僅か560名、逃げ道もなく絶体絶命であるが、
新公方自ら騎馬にて無謀とも言える敵陣突破を謀る。
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(幕府鞆城の南側)
織田信孝の出撃は幕府の北門からであり、南側の包囲軍は今だに様子が判らない。
鞆の浦は村上水軍の居留地にて半農半漁の民を抱えながら海賊業を営んでいる。
水軍を指揮するのは村上景、因島村上水軍の当主の娘である。
村上景:「戦の趨勢は如何になっておる。」
水軍の兵士A:「ははぁ、我方の死傷者多数、さらに大将首を取られて陣形が崩れております。」
村上景:「して、我方とはどちらじゃ?」
水軍の兵士B:「勿論、本願寺と地侍様に御座います。」
村上景:「ふむ、しばし様子を見る。家屋敷が戦火に巻き込まれぬ様にしろ。坊主や地侍を一兵たりとも、我が港町に入れる事まかりならぬ。」
村上景は備後の本願寺の僧兵も地侍も大嫌いであった。
早い話がセクハラが酷い。
しかも景の容姿につけ込んで、「男か女か判らぬような顔立ちにて、男共に相手にされぬゆえ、儂が慰めてしんぜよう。」などと言いよる糞坊主が憎い。
それに引き換え、今度来た公方の麗しき事よ。やはり都の男子は違う。景は合戦の最中に拘らす、思い出してウットリしてしまった。齢、17歳の娘だから仕方ない。
つい先日の事で有る。その織田信孝が身分を隠して景を訪ねて来た。
織田信孝:「景殿、ちと釣りに参らぬか。」
景は、いきなりデートの誘いにドギマギしたが、相手は征夷大将軍の代行の公方である。無下にも出来ない。
仕方なく、景が自分の釣り竿を持って行こうとすると信孝が制して、景に言う。
織田信孝:「いゃいゃ、本日は我が自慢の竿を景殿に献上したく持参した。我が自慢の竿ゆえ景殿もお気に召すと存ずる。我が自慢の竿は東夷人より譲り受けし物であるゆえ、使い方が難しい故に、ちと指南がいるゆえ御足労願いたい。」
やたらと(我が竿)を繰り返すが、相手が凛々しき美男故にセクハラにならない。景の頬がほのかに色付く。
竿は、がまかつ がま磯 インテッサG-V
リールは、シマノ、ステラSW30000
竿とリールだけで総額40万円は下らない。当時の銭で8貫になるがボッタクられて20貫支払った。信孝としては20貫くらいで村上水軍の頭目をを釣れれば安い物である。
ルアーの投げ釣りは、景を驚かせ有頂天にさせたが、本筋から逸脱するので、ここまでとする。