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異世界転移は分相応

現代日本国の技術が戦国日本に流れたら、ずいぶん便利になると思われるが、電子技術が入って来たら、開発途上国と先進国の政府開発援助の二の舞いである。

征夷大将軍:織田信長の手腕が試される。

1583年(天正11年)頃から、信長が口にする言葉がある。「分相応、身の丈にあった、時代考証」である。


織田信長:「のう、蘭丸、彼らの力をどう思う。」


森蘭丸:「自衛隊ですか、彼らの力は測り知れません。」


織田信長:「そうであろう。あのカービン銃とやらは、兵100人に値する。さらに暗視スコープ、そして八咫烏なる情報連携システム、敵の位置を人口衛星やドローンによって把握し誘導兵器によって安全な場所から殲滅できる。」


この頃すでに、織田信長の話には英語や専門用語が普通に出てくる。武器、金融、政治、歴史に至るまで一般人の現代人より遥かに詳しい。理解能力がずば抜けているのだ。

ただし、時々、軌道エレベーター、ワープ航法、核融合発電、などが出てくるのには困ったものだ。


織田信長:「蒸気機関車、蒸気船、ここらへんまでが分相応じゃのう。」


森蘭丸:「拙者も左様に心得ます。進みすぎた技術は魔術と

変わりません。我々の時代では再生産や維持管理は無理にございます。」


織田信長:「時計にしても然りじゃ、ゼンマイ時計なら本邦でも作れるがクオーツは無理だ。さらに厄介なのがスマホじゃ、全く無茶苦茶な技術じゃ、許せん。」


森蘭丸:「スマホは魔法ですね。東夷人には本邦への持ち込みは禁止しております。通話のみの携帯電話は許可しております。まぁ、それとて十分魔法ですが。」


※東夷人は現代日本、本邦は戦国時代の日本を言う。


森蘭丸:「時計ですが、ゼンマイ式掛け時計、ゼンマイ式腕時計のみ輸入許可を出しております。」


織田信長:「なるほどな、本邦では分相応じゃな。クォーツが入って来たら時計産業は育たぬからな。」


森蘭丸:「その通りで御座います。」


― ― ― ―


若狭街道(小浜港〜京都間)

太助:「ガッテン承知の、鬼子母神、任せてくんねぇ〜」

前の運搬者から魚を満載したリヤカーを受け取ると、太助が走り出す。20キロ、全行程の4分の1を一刻2時間で駆け抜ける。賃金は1工程60文、当時としては破格と言える。


それを1日4行程こなす男もいたが、早々と二〜三人

死んだので2行程に制限された。戦国時代なので人足が死んだとて困る事はないが、運搬中に死なれては荷物やリヤカーが損害を受ける。


リヤカー引きにはシューズと衣装が荷主から支給される。脱水症状になると困るのでポカリスエット500CCが3本渡される。


中継所はジャムチ(漢字で站赤)と呼ばれた。遠くモンゴル帝国の伝令制に由来するそうだ。太助は別名、一心太助と呼ばれていた。何でも上州一色村の出身なので一色太助だが、いつの間にか一心太助になっていた。余談である。


以前は泥濘んだ悪路を大八車で運んでいた。馬車も使われたが悪路には勝てない。雨が降ると速度も落ち道も掘り返されて使い物にならなくなっていた。


リヤカーは今では軽トラに変わったが、これがなかなか便利なモノである。まず、車道も歩道も通れる。直ぐに停まって商売が出来る。焼き芋屋などが重宝しているが、えてしてボッタクリも多いから注意を要する。


リヤカーは信長の言う「身の丈に合った」運搬車両である。ゴムタイヤとベアリングと鉄製の軸受けはスピードに乗れば荷駄の重さを全く感じない。

さらに構造が分かれば、戦国時代でも保守点検が出来る。まさしく「分相応」である。




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