上杉景勝と森蘭丸
ハイブリッド森蘭丸登場。窮地の上杉景勝は生き残れるのか?
名門:上杉家
上杉景勝の命運は尽きかけようとしていた。長い謙信の跡目をめぐる上杉景虎との争い。さらには先日、後ろ盾の武田氏を失った。織田信忠 柴田勝家 徳川家康に包囲され、背かれた新発田にも攻められ、内憂外患、もはや滅亡は避けられない状況であった。
絶対防衛ラインの魚津城も落とされ、景勝は天神山城を枕に討ち死を覚悟していた。しかるに景勝と上杉家は史実では本能寺の変で九死に一生を得ており、後の世の歴史に多大な影響を及ぼしている。
安土城:織田信長
信長は征夷大将軍になっても、安土城にいる事が多い。実は「天下の儀も御与奪なさるべき」と二条城の織田信忠に仔細は任せきりである。
織田信長:「のう、蘭丸、柴田に越前一国を委ねて良いかのう。実は、儂はあの男を好かん。」
信長は(歴史書)を傍らに森蘭丸に尋ねる。
森蘭丸:「彼の国の史実では、お市様と祝言され天下を狙うも、秀吉殿に敗れて、お市様を手に掛け、自らも自害となっております。」
信長:「それよ、それじゃ!、本朝の史実では如何なる事になるや。」
森蘭丸:「判らぬとしか申し上げられませんが、歴史を網目と考えまするに、柴田殿には消えて貰った方が良いかと存じます。余り史実と異なると、歴史の修復が困難になります。」
信長:「蘭丸、ソチの言う事は、なかなかに理解しがたいが、我々も信忠も生きておるが、それで良いのか?」
蘭丸:「それが歴史の神の意思かと思われます。」
信長:「歴史の神、ますます判らんが、ソチが言うなら間違いはなかろう。」
蘭丸:「はぃ、思いまするに上様は(特異点)かと思われます。上様の御心に従えば宜しいかと存じます。」
森蘭丸の視線はパソコン画面から離れ、織田信長に移った。自分の口から自然に放たれ(歴史の神)とは、あるいは信長なのかもしれない。と思った。あるいは?、奇妙な思惑が蘭丸の脳裏を駆け巡る。
(歴史の網目)とは何なのだ?自らの言葉に自らが疑問を持たざるえない。
家系図というものが有る。貴人の家、一番判り易いのは天皇家である。日本国の有史以前から万世一系にて繋がる男系家長の系譜である。
しかるに、実際は親は2人いる。その前の世代で4人、その前で8人、10代を重ねると2の十乗=1024人になる。
1人の存在は網目の結び目の1つに過ぎない。1つの網目が切れたとて(歴史の網目)全体の変化は微々たるものでしかない。
森蘭丸は改造された安土城の最上階に信長と居る。5層7階の天守閣なので6階と7階の小さな2階建ての家が4層5階に乗っているようなものだ。
それは現代の一般的な3LDKと変わらない。下層と電子ロックで隔てられた玄関を開けると、そこは普通の21世紀の高断熱高気密住宅が有る。
水洗トイレ、ウオシュレット、エアコン、インターネット、BS4Kの映るテレビ、Wowow、NHK、DZON、もちろん視聴料は払っている。後で五月蝿い立花孝志とかに突っ込まれたくないからだ。蘭丸の優れた頭脳は先を見透かしている。