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109 1594年6月10日 ガワール油田割譲

ガワール油田が日本の物になりますが使い道で悩んでいます。

挿絵(By みてみん)

テチス海


日本とオスマン帝国との間で、奇妙な交渉がされている。ペルシャ湾西岸の日本への割譲である。

広大な領土を持つオスマン帝国にとって、ペルシャ湾は重要だが、アラビア半島の東の砂漠地帯が重要とは思えない。

交渉相手はオスマン帝国12代皇帝はムラト3世である。


ムラト3世:「あんな所を何に使うんですか?」


日本国外交官:「太陽光発電です。年中晴天なので効率が良いのです。」


ムラト3世:「それで見返りは何ですか?」


日本国外交官:「夜でも明るいLED照明と太陽光発電&充電セットが500台です。イスタンブールが不夜城になります。その他、近代化に必要な物資の供給は惜しみません。」


ムラト3世:「ほう、それは凄い。ただしペルシャ湾の海岸線は国防上必要です。海岸から5キロは我が国のままで構いませんか?」


日本国外交官:「勿論構いませんが、港から内陸に通じる進入路を確保して頂きたい。」


ムラト3世:「それは当然ですね。善処しましょう。あんな砂漠が貴方達の役に立つなら好きにして下さい。」


というような経緯で史上最大のガワール油田を含む中東の油田地帯を確保出来たのである。


ペルシャ湾沿岸に、何故この様な巨大油田が(作られた)かは不明であるが、恐ろしい年月と、とてつもない偶然が作用している。

約2億年前から約1億8000万年前のテチス海 に降り積もっ微生物が石油となり、地殻の褶曲(しゅうきょく)によって集められた地球の遺産である。地球になにか巨大な意思が有れば目的が有ったかもしれない。

日本国が転移前に観測されたテイアと結び付けるのは穿(うが)った考えかも知れない。

― ― ― ― ―


1594年6月12日

ジブラルタル海峡を巨大タンカーや輸送船が行き交う。国際連合旗を掲げているが、旗は南米大陸がやたらと大きく、さらには未発見のオーストラリア大陸がある。北極海が真中なのは愛嬌だと許して貰いたい。

航路は思い切りオスマン帝国の領地沿岸を通る。2日前に12代皇帝・ムラト3世に許可を貰った。ムラト3世は来年死ぬから全部の責任を負わせればいい。

これ見よがしにアルジェリア、チュニジアなどのアフリカ北部を通ってエジプトのポートサイドに接岸する。スエズ運河の地中海側の出口であり、大急ぎで埠頭を整備した。

エジプト人は不思議な民族である。あれだけの巨石文明を作りながらも、たかだか300メートルのタンカーを接岸出来る港がないのには困ったものである。もっとも最大60メートルのガレオン船の時代だから仕方ないかも知れない。

呆気(あっけ)に取られるエジプト人を尻目に、重機が次々と陸揚げされる。更に仮設コンテナハウスも降ろされる。紅海側工区と違ってギャラリーが多い。

― ― ― ―


地中海側工区で困った問題が起こっていた。誰かが冷凍ローストンカツを持ち込んで食っていたのを、羨ましそうに見ていた現地労働者に食わしたのが間違いだった。イスラム教のムスリムが豚肉と知って大騒ぎになるかと思いきや、ガッツリハマった。焼豚とんこつラーメン、シャウエッセンソーセージ、蓬莱豚まん、ロースハムにベーコンエッグ。


ムスリム1:「カツ丼美味しいです。・・・(ハフハフ)・・・温かい食べ物って最高。」箸を上手に使って食っている。


ムスリム2:「このジンギスカンも、もの凄く美味しいです。手掴みだと冷めてて美味しくないけど、温かいうちに・・・(ハフハフ)・・・メッチャ美味い。」


ムスリム3:「この(豚)カレーライスって、白米ってモッチリしてコシャリ(エジプトのソウルフード)より・・・(パクパク)・・・全然美味い。」


ムスリム4:「この生ビール!たまんね〜・・(グビグビ)・・・んっ、酒じゃないだろ。船乗りは皆んな飲んでるぞ。」


遠洋航海だとビールが水代わりだったから仕方ない。


すなわち問題はハラル(食べていいもの)どころの話で無く、なんでも飲み食いするエジプト人が増えてしまったのでオスマン帝国とエジプトの仲が悪くなった事である。

工事現場の食堂のハラルコーナーは誰も注文しなくなったので閉鎖された。

さらに意外だったのが水洗トイレである。最初は軽水洗にしようかと思ったがリサイクルが面倒臭いし肥料もナイル川の氾濫が有るから要らないだろうと考えて浄化槽をつけたからエジプト人は大喜びである。

福利厚生で付けたシャワーも好評で日本人用の風呂もアッサリ占領された。

こんな理由でエジプト人労働者がスエズ運河工事に殺到して来た。死人だらけの史実の難工事とは大間違いで、まるでお祭り騒ぎである。


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