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106 159※年フェリペ2世とエリザベス1世

突然、移転世界の世界的なニュースが飛び込んできました。イングランドとスペイン・ポルトガルが同盟関係になりました。フランスやオスマントルコはどうしてるんでしょう。

挿絵(By みてみん)

飛鳥Ⅲの航路(ロンドン~横浜)


1594年10月、なんと、あの犬猿の仲のフェリペ2世(67歳)がエリザベス1世(61歳)と結婚した。

時系列がおかしくなるので年号は伏せるが、新婚旅行は地中海〜スエズ運河〜インド〜フィリピン〜マカオ〜現代日本、帰りはインド〜マダガスカル〜喜望峰〜アフリカ西沿岸となった。4ヶ月に及ぶ長旅であるが地球一周と変わらない距離なので19世紀後半のジュール・ヴェルヌの(80日間世界一周)が大冒険だった事を考えると恐ろしく速い。


新しく出来たスエズ運河の竣工式も主賓で呼ばれている。ただし運河は3ヶ月前から3本マストの改造ガレオン帆船が行き交っている。

これはディーゼル機関のスクリューを外付けで取り付けたハイブリッド帆船である。駆動部がいささか重たいから積荷のバランスが重要である。さらには艦首付近に造水機が取り付けられている。燃料タンクは中央部船底であるが容量は少ない。全航程の10分の1程度である。


操舵室にはGPSと海底レーダーが取り付けられ座礁防止対策も万全である。

スエズ運河は、これらの装備が無いと通行許可が下りないため、高価な装備にも(かか)らず急速に普及した。


フェリペ夫妻の乗船する船は、日本造船界が13年ぶりに建造した飛鳥Ⅲである。飛鳥Ⅱに比べて全長180メートル、全幅28メートルと小ぶりであるが、喫水は6メートルと、新スエズ運河のギリギリの深さである。乗客500人、乗組員200名となっている。


フェリペ夫妻は当然、ロイヤルスイートかと思われたが、プロムナードデッキのセミシングルが3部屋となった。エリザベス1世が高い階を嫌がったのと、フェリペ2世とは別室が良いとの希望による。

何故か3部屋だが、フェリペ2世の付き人が1名同行したからである。


エリザベス1世:「なんというか、天国みたいな船ですね。綺羅(きら)びやかな装飾は無いですが清潔で手入れが行き届いています。」


添乗員:「お気に召して光栄です。我が国の最新鋭客船に御座います。」


エリザベス1世はロンドンから130キロ南西のサウザンプトンから乗船している。付き人は2人だが普通は添乗員扱いで別室となる。


エリザベス1世:「部屋を変えて頂けませんか?。付き人と3名で過ごせる部屋がいいです。」


添乗員:「かしこまりました。直ぐに手配します。あの、フェリペ2世との部屋からは、いかが致しましょう。」


添乗員がやんわりと聞く。


エリザベス1世「勿論、離れた部屋です。階も変えて下さい。」


添乗員:「かしこまりました。D3 ディートリプルを、用意いたします。3名でご利用のお客さまが快適に過ごせるお部屋です。海が見える窓を二つご用意いたしました。」


船尾に全体で四部屋しかない特別室が、即座に手配された。スイートと違って手狭であるが、船跡が見えて好評である。


エリザベス1世の付き人は20才の女性で、マーナ・クレメンツとカーナ・クレメンツと言う双子の姉妹である。

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飛鳥Ⅲはケルト海を南下してリスボンに至る。時速38キロだから2日の行程である。アルマダの海戦の時が帆船で80日かかっているから冗談みたいな速さである。

乗客は300人で、殆どが日本から来ている。ロンドン行きはシンガポールからマラッカ海峡を通ってマダガスカル、喜望峰、アフリカ西沿岸を通る航路である。厳しい検疫をしてマイニラから20名、インドのゴアから10人のスペインとポルトガル人が乗り込んだ。6日前にリスボンで降りたが、殆どは再び乗り込む事になる。家族とは束の間の再開であった。当然、涙を流して喜んだ。現代の海外出張の何倍も大変な事である。生きて会える方が珍しいかも知れない。


リスボンでフェリペ2世一行が乗り込む。仕方なく歓迎でエリザベス1世が出迎える。結婚してから初めての対面である。


エリザベス1世:「お久しぶりです。義理の兄上でカトリック教徒。」


フェリペ2世:「久しぶりだな。義理の妹でプロテスタント教徒。」


フェリペ2世とエリザベス1世は義兄弟である。エリザベス1世の姉のメアリーが27年前までフェリペ2世と短い4年間の婚姻をしていたからである。


エリザベス1世:「おかしな言い方ですね。義理の兄上、私は其方(そなた)(きさき)ですよ。」


フェリペ2世:「そういう事だな。義理の妹で妃よ。ところで、その(いか)めしい連中は何者だ。」


エリザベス1世:「在日米軍と申しまして、私を女王と敬愛しております。」


5人の在日米軍がエリザベス1世の護衛で同行している。蛮族が1万人襲ってきても撃退できる戦力で

ある。彼らはエリザベス1世に対面した時に感激で大粒の涙を流した。米国人と英国人はそういう関係である。それは2回の世界大戦が証明している。

 

地中海を4日間で駆け抜ける。寄港地はチェニジア、シチリア、ギリシャ辺りだが接岸出来る港が無い。それに小舟で降りても観光地がない。海賊がいるくらいである。

それより飛鳥Ⅲのプールで日向ぼっこしていた方がいい。地中海とはいえ4月だから肌寒いが船の時速40キロの海風は気持ち良い。

それと温泉プールにしてある。人数制限をして30人までとなっている。


エリザベス1世と、マーナ・クレメンツとカーナ・クレメンツがプールデッキに現れる。護衛の在日米軍と合わせて8人であるが恐ろしく注目を浴びている。美人特例でクレメンツ姉妹はオールヌードが許可されているからだ。日本人乗客300人でオールヌードが許可されている女性は15人しか居ないが、圧倒的な美貌のクレメンツ姉妹には抗すべきも無い。勿論、16世紀には女性差別だとか騒ぐ輩はいない。







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