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第39話 その日




2008年9月15日



『・・・リーマン・シスターズが連邦破産法11条の適用を申請し・・・日本経済にも大きな影響を・・・』



つけていたテレビから、アナウンサーがニュース原稿を読む声が聞こえる。



世界中の多くの人にとっての悲劇。

・・・多くの人が家や職を失った。


ごく少数の人にとっての喜劇。

・・・この悲劇を起こした人たちはほとんど何の責任も取らずこの後も多額の報酬を得ている。


そして、チャンス。

・・・この悲劇を利用して儲けた、そして儲けようとしている人がいる。・・・俺みたいに。



リーマン・シスターズが前世通り破綻した。これを機に世界中で同時に株価が暴落し、経済に影響が出る。

企業が倒産し、お店が閉店し、就職しようにも求人はなくなり、リストラされる。

破綻直後、日本はまだ比較的に傷は浅かった。長引く不景気で、サブプライムローンに手を出しているところが少なかったからだ。しかし、世界的な不況でこれから日本にも影響が出てくる。



この悲劇で儲けた人はCDS(保険のようなもの。保険料を払い、債権等が破綻したときにお金を受け取ることができる)を買うか、企業などに対して空売りを行い莫大な額を稼いだ。中には数千億規模で稼いだ投資家もいる。


これから儲けようとする人は、これから暴落する株を底値で買い、経済が回復したときに売ることで稼ぐことができる。前者に比べたら儲けは微々たるものだし、経済の破綻に賭けるよりも成長に賭ける方が健全・・・だと個人的には思っている。


やれるならば前者になりたかった・・・が、今回は出来なかった。信用取引ができる年齢でもないし、CDSは個人で買うのは難しい。だからせめて後者になって金を稼ぐ。





「と言っても底値までもう少し待つ必要があるけどな」


「え?なにー?」


「いや、何でもないよ」

祝日の今日は渚の家で遊んでいる。


「浩介って株やってるんだよねー?大丈夫なのー?」


「大丈夫だよ、これが起きる前にちゃんと売ったから!」


「そうなんだー、まあよくわかんないけどー。それよりもさ、文化祭の準備はどう?できてる?」


「うん、必要な道具は揃ってるし、クラスTシャツももう届いてるみたいだし」


「みんなお揃いのTシャツ着るの楽しみー!どんな出来になってるんだろー」

文化祭も来週に迫り、準備の真っ最中だ。今年は校舎の外にテントを張り、屋台を出す。

文化祭の出店にも、教室で出すものや、家庭科室などで出すもの、外のテントで出すものなどいくつか種類がある。

教室で火を使うわけにはいかないので、ちゃんとした料理を提供するなら屋台しかない。


「昨日の試食会、楽しかったなー、ちゃんといい出来になってたよ!」

昨日はクラスの男子、女子それぞれで集まり、調理の練習と試食会をしていた。


「そうなんだ!楽しみだな〜、渚も作ったの?」


「いーや?私は一個だけしか作ってないよ〜」


「えぇぇ、そこは頑張ろうよ」


「だって美咲の食べた方が美味しいでしょー?私料理できないし〜」


「今まで美咲と一緒に料理したことないの?」


「ないなー、美咲が座ってていいよっていうから見てた〜!昨日は、聖奈がどうしても食べたいっていうからしょうがなく作ってみたの!」


「そっか〜、俺も渚の手料理食べてみたいな!」


「えー、めんどくさーい、考えとくねー」


「聖奈は良くて俺はダメなのか・・・」



「可愛い子のお願いは聞きたくなるでしょ?浩介もう身長も伸びて可愛くないもん」

俺の願いは聞かないけど、聖奈のお願いは聞くと・・・聖奈との関係はいいみたいだな。


「かっこいい?」


「んー、たぶん顔は普通!でも私にとってはカッコいいかも〜?それに、頼りになるし好きだよ!」


「そこは嘘でもいいからさあ・・・まあ、俺も好きだよ」

普通か〜まあ自分の顔はよく知っている。別にイケメンでもないし、ブサイクでもないはず。



文化祭当日、クラス全員同じTシャツを着て、たこ焼きを売る。

コスプレもいいが、制服のスカートにこういうシンプルなTシャツというのもなかなか趣があっていいものだ。他の女子たちも普段見ない格好で新鮮味があって良い。

屋台は校門に近い場所を確保できたので、かなり客が来ていて忙しい。お昼以降は全く列が途切れることなく、焼き続けている。

しかし、夏にたこ焼き器の前にいるのはかなり熱い。今後文化祭でたこ焼きを売るのはナシだな。



家に帰り、口座残高を確認する。約1億6500万円、これが今後の軍資金だ。どこに投資するか、考えないといけない。


もうそろそろだ・・・これから忙しくなる。


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