第14話 卒業
2006年3月中旬
『卒業生一同起立!』
早かったなあ、小学校生活。
でも懐かしい友達とまた遊んで、彼女は2人もでき、勉強もそこそこ。
バレンタインデーには彼女2人からもチョコレートをもらえたしな。
現世ではたった1年だったが楽しい小学校生活だった。
「さみしいいよーー!」
美咲が泣いている。
渚も今度こそ本当に泣いている。
「中学も一緒なんだし寂しくないでしょ?」
3人とも受験には成功した。
前と同じ中学に通うことができる。
前世と違うのは、美咲も同じ中学に行くことになったということ。
2人と付き合っていることだ。
ちなみに聖奈ちゃんも前世通り受かったらしい。
よかった。
しかし、美咲ちゃんが受かったということは前世で通っていた誰かが1人落ちたということになる。
歴史というほどのものではないが、よくある歴史の修正力みたいなものはないみたいだ。
・・・まあ、あったら困るけどな。
俺は運命論者ではない。
そんなものあったら人が努力する意味なんかなくなるじゃないか。
俺は努力は嫌いだが、流石にそれはあんまりだとは思う。
まあ中学で仲の良かった友達や可愛い子が落ちてなければいいが。
それ以外はどうでもいい。
「春休み何しよっかー」
渚はさっきまで泣いていたくせにもう次のことを考えているらしい。
さっきの涙も演技じゃないだろうな?
「もう中学生になるし3人でどっか遊びに行きたいね!」
美咲が涙を拭いながら答える。
「そうだねー」
残念ながら4月になるまでは小学生扱いなので、まだ行動できる範囲は狭い。
投資の方は順調だ。ジッセント株は1株36円ほどに値上がりしていた。
まだまだ上がるはずだ。
りんごのマークの会社が来年2007年の6月にスマートフォンを発売するから、その1年くらい前。
つまり、今年2006年の夏あたりには今持っている株の半分くらいを売って、りんごのマークの株を買うか。
「じゃ、いこっか!」
春休みに入り、3人でデートをする。
今日は電車と地下鉄を乗り継ぎで30分ほどかけて、県最大の繁華街へむかう。
中学へ通うのにも同じ方向の電車を使うので練習として親たちも許してくれた。
「わー!すごい!楽しいね!」
初めて子供だけで乗る電車に美咲もはしゃいでいる。
美咲と渚は隣同士で座り、俺はボックス席の反対側に座っている。
美咲が先に座ると渚がすぐさまその隣を確保したのだ。
悔しい、俺がどちらかの隣に座りたかったのに。
まあ、小学生と競ってもしょうがないので、大人の対応でスルーする。
なぜか美味しそうなパンの香りがする乗り換え駅に着くと、建て替え中のため少し迷いながら地下鉄の駅へ向かう。
この駅の建て替えが終わるのは2011年だ。
その後の発展は凄まじいものがあるが、今はまだボロい駅舎を取り壊している段階である。
「これかわいいー!」
「見てこれ!美咲に絶対似合うよー」
繁華街へ着くとまず若者向けのお店が並ぶ施設へ行った。
女子というものは小さい頃から買い物が長いみたいだ。
「ちょっとトイレに行ってくるからこのお店で待っててね!」
と言って、アクセサリーを売っている店を探す。
「おっけー!早く帰ってきてね!」
急がないと。
しかし、このくらいの年代の女の子はどんな感じの物を欲しがるのかわからない。
お店を探しながら歩いていると、同じくらいの歳の女の子が集まっているお店があったので、ここに決めた。
店員さんに協力してもらいながら色違いのネックレスを2つ買った。
2つで1万くらいだがまあこれでいいだろう。
袋を鞄に隠し2人の元に戻る。
「お待たせ!」
「もー、おそーい!」
そう言いながら美咲は手を繋いでくる。
スイーツとご飯が食べ放題の店に向かい、ランチを食べる。
2人は小さい体のどこに消えているのか疑問が湧くほど甘いものを食べていた。
見てるだけでお腹いっぱいになりそうだ。
「次このポーズね!」
そのあとは巨大なゲームセンターに行き、プリクラをとったり、ゲームで遊んだりして過ごした後、電車に乗る。
デートは楽しかった、若い体だとそこまで疲れなくて済むのもいい。
「デート楽しかったね!はい、これあげる!2人とも好きだよ!」
「え、いつ買ったのー!?ありがとー!大事にするね!私も好き!」
別れ際に内緒で買ったプレゼントを渡すと、2人は嬉しそうに受け取ってくれた。
こういうのはこまめに好きと伝えたり、プレゼントをするのが大事だ。
これは、ハーレムを作るよりも維持する方が大変かもしれない。
春休みはこんな感じで過ぎていった。
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