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荒野の植物

 俺は今、リオカらと共にゲートシティの西にある森を歩いている。目的は言うまでも無く面白い植物を発見・採取したいからである。実際、蔦性植物であるカラフル豆という面白い豆を見つけた俺たちはその後も新発見を夢見て歩いていた。


 しかしながら……。


「だめだなあ……鑑定可能な場所がほとんどないよ……。この辺に植わってる木は特に名前のないオブジェクトってことかなあ?」


「もしくは熟練度が足りていないかですな」


「そうだな。でもさ、ブルーベリーは最初から『鑑定可能』だったんだぜ? 『採取』は熟練度アップが必要だったけどね。それを基に考えると、やっぱりこの辺の木も鑑定くらいはさせてくれてもいいんじゃないかなあ……」


「うーん、確かにそうですよね……?」


 と二人で頭を悩ませていると

「例えば、『植物図鑑』の熟練度以外の要素が足りていないとかないかな?」

 とリオカが言った。


「どういうこと? 熟練度以外のパラメータがあるのか?」


「えっと、一部のスキルにはあるの。例えば『召喚術』ってスキルは熟練度の他に今までに召喚可能にしたモンスターの好感度も重要な要素なの」


「え、そうなの?」


「うん。まず当然のことながら、召喚術の熟練度を上げることによっていくつかのサブスキルが解放されるわ。召喚獣回復とかね」


「ふむふむ」


「一方、モンスターの好感度を上げることで解放されるスキルがある……らしいわ。私達が直接確認したわけじゃないけど」


「ほう。二人がまだ達成していないことをやり遂げた猛者(・・)が居るのか」


「猛者って言うか……その人はとにかく動物が好きで好きでね。ずーっと自分の召喚獣と遊んでるの。スライムをぷよぷよしてみたり、角ウサギをモフモフしてみたり、猫じゃらしを使って猫キャットと遊んだり。熟練度アップやレベルアップそっちのけで動物との触れ合いを楽しんでいるわ。お兄ちゃんの店にも何度も足を運んでいるはずよ」


「ふむふむ。なるほどなるほど。そうやって召喚獣との愛をはぐくめばスキルが解放されたと」


「ええ。その名もサブスキル『召喚獣鑑定』。何が出来るのかはよく分かっていないわ」


「そうなの? なんで? せっかく解放されたのにまだそのスキルを取得してないの?」


「ボーナスポイントが足りてないそうなの。今、ベースレベルアップに励んでいるらしいから、今週中には効果を教えてもらえるわ」


「ふーむ。まあ、そのスキルだが、おそらく召喚獣の好感度や召喚獣の好物を知ることが出来るスキルだろうな、名前から察するに」


「私もそう思ってるわ」


「ともかくだ。リオカが言いたいのは『植物図鑑』の熟練度を上げるだけでなく、鑑定した植物の種類の多さなんかも重要かもしれないってことだな?」


「うん。そういうこと」


「それなら、荒野の方に行ってみますか? 西エリアの中でも強めの敵が出ますけど、その代わり低木や草本が生えていますよ」


「そうだな。そうしてもらおうかな。じゃあ、フラウ。案内よろしくです」


「任されました!」「それじゃあ、お兄ちゃん! 私たちを見失っちゃだめよ~。」



 さて、そういう経緯で荒野にやって来た訳だが、フラウの予想通り、見たことが無い植物を発見できた。取り敢えず列挙しよう。


**********

カネナル木:乾燥に強い低木。実際にゴールドを得られるわけではない。


アマロエ:乾燥に強い低木。観葉植物。葉は分厚く内部は甘い。


マシカクサボテン:立方体型のサボテン。実は美味しい……らしい。

**********

 まあ、ぶっちゃけるとカネナル木は観葉植物の花月(カネノナルキ)だろう。そして、アマロエは甘いアロエ。マシカクサボテンはサンカクサボテンが元になってるんだと思う。



 名前は似ているとは言え、色や形が現実にあるそれとは違う。という訳で、改めて詳しく見ていこう。


 カネナル木は金色の葉っぱを付ける植物である。葉っぱは分厚くて水分を貯め込んでいることがうかがえる。おそらく、貴重な水を貯めることが出来る作りなのだろう。ちなみに、地球に生えてる元ネタは緑色の葉っぱ。正直お金には見えない。でも、カネナル木の葉っぱは綺麗な金色なので、その様は本当にお金がなっているように見える。リオカらも「この植物キラキラしてるなあ」と思っていたそうで、俺が摘んだそれをまじまじと見つめていた。


「欲しいのか?」


「いや! 別に!」「そ、そんなことないですよ! 綺麗だなあ…って思ってただけです!」


「……また見つかったらプレゼントするね」


「……ありがと」「すみません、気を使わせちゃって」



 次にアマロエ。地球に生えている野生のアロエは苦いけれども、この「アマロエ」はその名の通りすごく甘い。アロエとサトウキビの掛け合わせとでも言ったらよかろうか。もしかすると、(この世界で)市販されている砂糖はこの搾り汁を利用しているのかもしれない。


「ジー」「ジーです」


「食べてみたいのか?」


「コクコク」「コクコク……なのです」


「向こうにも生えてるし、これは二人にプレゼントするよ」


「ありがと」「ありがとうございます」


「どれ、俺も一口……」


「「「あっま!」」」



 最後にマシカクサボテン。元ネタのサンカクサボテンは確か甘い実をつける植物だ。その実は別名「ドラゴンフルーツ」と呼ばれていた……気がする。さてこのサボテンだが、「サイコロかよ!」と言いたくなるような見た目だ。人工物であるかの如く綺麗な立方体なのである。早速実を頂き……たいところだが、残念ながら実のっていなかった。よく見ると、鑑定結果も「実は美味しい……らしい」と含みのある表現になっている。もしかすると、特殊な環境下でないと実を付けないのかもしれない。


「すごい綺麗な立方体だな。天然の物のはずなのに、人工物に見えてしまうよ」


「そうですね……。それにしても、どんな実が成るんでしょう? もしかしたら、ケーキみたいな味だったりして! 『天然物の癖になんでこんなにおいしいの?!』みたいな!」


「それは面白そうだね!」


「……あの、フラウちゃん? お兄ちゃん? ここってゲームの世界なんだからあるもの全部人工物なのでは……?」


「リオカよ。それを言っちゃ駄目だ」「リオカ……。それを言ったら台無しじゃないの……」


「え? ええ?! 私、お兄ちゃんの代わりにツッコミ入れたのに?! なんで怒られてるの?!」


 とまあ、こんな感じで、俺たちは楽しく探検したのだった。




いつも読んでいただきありがとうございます!


サボテンと言えば、果実だけでなくその葉が食用である場合もあります。

執筆中、どんな味なのか気になるなあと思っていました。いつか食べてみたいと思います。


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― 新着の感想 ―
[一言] サボテンステーキとか、出来たりして(笑)
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