ミニイベントの表彰
マルベーシの活躍を応援するのに必死で、ミニイベント……というか生産職向けのイベントの存在をすっかり忘れていた。順位、どうなったんだろう?
「ひまわりさん、最終的な順位、見ました?」
「見てないです……。今確認しようとしても伏せられてますね……。運動会の得点板みたい」
「あはは、確かに、確かに」
うん、なんとも懐かしい響きだなあ。途中までは得点が表示されているけど、閉会式前には伏せられる。そして、最終集計結果は閉会式で公開。そんな感じか。
最後に見た時、俺の「ブルーベリーワイン」が二位だった。順位変動が無ければ、俺も表彰されるかもしれないが、結果はいかに!
俺たちがそんな会話をしている間に、司会者はミニイベントの説明を行っていた。まあ、その存在を知らなかったプレイヤーが多数いるだろうからな。改めて説明して置かないと「なんだそれ?」「ミニイベントなんて聞いてないぞ?!」と思う人もいるだろう。
「さてさて、最も売れた商品は……これだあーー!」
<トップ:セイの「ブルーベリーワイン」>
「ワインです。最後の試合で一悶着あった商品ですね。それはともかく、これの勝因は何と言っても嗜好品としてちょっと高めの値段設定に出来た点でしょう。また、いわゆる別世界において、アルコールには税金がかかります。なので『アルコールはちょっと高い値段設定』というのが常識になっています。だからこそ、少々高額でも売れたのだと思います。ではセイさんは表彰台へどうぞ」
司会者の総評が始まると同時にステータス画面が勝手に開き、<重要メッセージです:表彰台への強制転移を受諾しますか(Yes/No)>というメッセージが届いたのでYesを押した。事前承諾を得るんだったら「強制転移」では無いのではという疑問を覚えたが、それはそれとして。
「セイさんですね。おめでとうございます」
と、綺麗な司会者のお姉さんから金メダルと小さなトロフィーを頂いた。ミニイベントなだけあって、トロフィーはアルカディアが貰ったそれよりも随分と小振りだが、それでもすごく嬉しい。
その後、インタビューされるといった事は無く、俺は元いた場所へと送還されてしまった。ありゃま、随分とあっさりしてますな。
そんな俺の気持ちを置いてけぼりにし、司会者は二位の発表に入った。
「それでは第二位の発表です」
「次によく売れた商品は……これだあーー!」
<二位:ドルフ=ドーバの「串焼き」※売り切れ>
「串焼きです。順調に売り上げを伸ばしていたものの、終盤で売り切れになってしまい惜しくも二位となってしまいました。大量廉価の作戦が裏目に出てしまったといった所でしょうか。それでも、塩気が多く旨い肉汁が溢れ出す串焼きはこの大会にぴったりだったと言えるでしょう。ではドルフさんは表彰台へどうぞ」
…
……
………
「それでは第三位の発表です」
「次によく売れた商品は……これだあーー!」
三位:ひまわりの「チャクラム」※売り切れ
「チャクラムです。始めこそ売り上げは順調では無かったものの、試合で使う人がちらほら現れ始め、珍しい武器という事で注目を集めたと言った感じでした。最終的には売り切れにまで至り、見事三位に輝きました。もっと多く作っていたなら一位に輝いていたのはこの商品だったかもしれません。ではひまわりさんは表彰台へどうぞ」
「おお、チャクラム。すごい追い上げたんだな。後で祝福しないとな……って一位の俺が言うと嫌味に聞こえるかな?」
と悩む俺だった。
◆
入賞は三位までで、それ以下は紹介だけされた。
四位:ローラン=エルシーの「クッキー」※売り切れ
五位:セイの「綿菓子」※売り切れ
うん、まあ予想通りだった。
◆
「さて、表彰された16パーティー+3名には記念に称号が贈られます」
「改めて、入賞者の皆。おめでとう!!」
「「これにて、第一回AWT武術大会を閉式いたします!!」」
ということで、長いようで短かった武術大会とその準備は幕を下ろしたのだった。
◆
「お兄ちゃん、おめでとう!」「セイさん、おめでとうございます!」
まず祝福してくれたのはリオカとフラウだった。特にリオカは自分の事のように喜んでいるのか、満面の笑顔である。
「ありがとう、二人とも。二人もお疲れ様。マイホームを整えたら真っ先に招待するよ。今は綿菓子くらいしか作れないけど、その時までには頑張って美味しい料理を提供できるように頑張るね!」
「セイ、おめでとう! アルカディアに負けてなかったら私も優勝だったのに……!」
「セイさん。おめでとうございます! うう~私のチャクラム負けちゃいましたーー!」
次にやってきたのはマルベーシとひまわりさん。
「マルベーシも準優勝おめでとう。数字上は二位だけれども、マルベーシはものすごく激しい競争を勝ち進んだんだから俺よりもずっと誇るべきだと思うぞ。実際トロフィーの大きさもびっくりするくらい違うし」
「あはは、確かにそうねーー! いっちゃ悪いけど、ミニイベントなだけあって、本当に小さなトロフィーね……。でも、セイのワインは地下水路の発見とかそう言った苦労が裏にあるんだから。セイも十分誇っていいと思うわよ!」
「ありがとさん」
「それにしても、ミニイベントなんてあったんだ……。私、試合前にひまわりさんを長時間拘束しちゃったのよね……。ほんと、すみませんでした」
「いえいえ! 私もチャクラムを作る予算が無かったんです! マルベーシさんから頂いたお金でチャクラム製作をしたので、むしろ感謝していますよ!」
「そう言って頂けると心が軽くなります」
「あはは、またのご利用、お待ちしています!」
マルベーシは負い目を感じていたようだが、それも解消され二人は笑っていた。良かった良かった。
「ひまわりさんのチャクラム。すごいね。一気に順位を上げたんですね!」
「ええ。そういえば、チャクラムを提案してくれたのってセイさんでしたよね?小川の前で相談に乗ってもらって」
「ああ……懐かしいですね! 長かったようで短かったですねえ。俺が役に立てるかどうかはともかく、これからも何かあれば俺に相談してください!」
「はい!」
「あ、そういえば、称号がもらえるんだっけ?」
「「あ、そういえば」」
「あはは、二人も忘れてたんだ。今から確認しようか」
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