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薬草採取

読んでいただきありがとうございます。


今後ともよろしくお願いします。

 錬金術師については、ネット上の掲示板を見ても情報が無いらしい。というのも、先ほどの迷路探索の時に七瀬から掲示板について話を聞いた。彼女は事前にじっくり調べた上でゲーム攻略をするタイプだそうで、わざわざβテスターが書き込んだ掲示板情報をノートにまとめているそうだ。

 ここまでくれば「遊んでいるのか勉強しているのか分からないな!」ってツッコみそうになったが、彼女はいたって真剣な眼差しだったので、無粋な発言になるかもと思い何も言わないでおいた。そんな情報通の彼女から聞いた話だと、どの掲示板でも錬金術師は散々な言われようであり、誰一人として錬金術師の攻略情報を載せていないそうだ。それに、掲示板の情報はかなり偏見で満ち満ちており、完全に鵜呑みにするのは良くないと七瀬自身が語っていた。


 そもそも、俺は攻略情報をネットで検索するのは嫌だ。ゲーム内をしっかり楽しみたいというのが俺のゲームに対する取り組み方であり、それ故、情報収集もゲーム内で行う方が「異世界への旅」を味わえると俺は思うのである。



 という訳で、錬金術師の情報もゲーム内で調べたい。その為には……ギルド本部へレッツゴー。



 錬金ギルドは俺が最初に入った時と変わらず、誰一人としてプレイヤーがいなかった。本当に不遇職扱いなんだなあ……。相変わらず、受付ではローズさんが頬杖をついていた。


「あら、セイ。こんにちは。どうかした?」


「こんにちは。それにしても、ここは人が居ないなあ」


「なによ、仕事が無くてだらけている私をからかいに来たの?」


「いや、そういう意味じゃあない!! 人が居ない方が、秘密の場所っぽくて俺は好きなんだ。先ほどの発言で気を悪くさせてしまったのならすまない」


「まあ、言わんとしていることは分かるわ。剣士ギルドで働く知り合いとちょっと話したけど、びっくりするくらい大変らしいよ。人がぎゅうぎゅう詰めになって蒸し暑い空間が出来上がっていたんだって。そんな雰囲気になるくらいなら、錬金術師は不遇職って言われている方がいいのかもしれないわね……。でもまあ、ずっと閑古鳥なのはやっぱり寂しいわ」


「それはそうだな。俺も少しは同職の人としゃべりたいよ。それはともかく、少し相談に乗ってくれないか?」


「いいわよ。どうせ暇だし」


「助かる。実はさっき、東町を散策していたんだが、花屋さんを見つけてな。そこで『植物図鑑』っていうスキルについて聞いた事でスキルが解放されたんだ」


「なるほど」


「それで、このスキルを取るべきか悩んでいるんだ。ローズに相談したら何かわかるかなあと思ってな。どうすべきだと思う?」


「そうね……私個人的にはそのスキルは便利だと思うわ。そのスキルを持っている人でないと、ヒールウィードなんかの採取が出来ないらしいの。『植物図鑑』持ちの友達がそう言っていたから間違いないわ」


「なるほどな。じゃあ、うまくいけばHP回復薬なんかの材料を無料で入手できるようになるかもしれないんだな!!」


「そういうこと。でも、実際の使い心地については私には分からないわ。自分で試してみて」


「分かった。情報ありがとう。すごく助かるよ。そういえば、メタい発言になるかもしれないが、こういうことをプレイヤーに教えていいのか?」


「そりゃあ、良いに決まってるじゃない。もしかして、私達が何でも知らされていると思ってる?」


「え、そうじゃあないのか?」


「そんなわけないじゃない~!! 私達はこの世界で暮らしているというだけで、あくまでプレイヤーの一人よ」


「そ、そっか。なるほどな。ある意味、βテスターのような立ち位置と考えたらいいのかな?」


「そうね。どちらかというと、αテスターと言った方が合ってるかもしれないわ。だから、あなた達がNPCと呼んでいる人々もこの世界(ゲーム)を楽しんでいるのよ」


「理解した。NPCから情報を聞き出す行為が違反行為とか言われたら困るなあと思って聞いてみたんだが、それなら安心だな。また色々アドバイスしてくれ」


「ええ。私にわかる範囲でね。そうだ、もしよかったら『植物図鑑』の使い心地を教えてくれないかしら?私もそのスキルに興味あるから」


「分かった。それじゃあ早速、取得してみるか」


<ボーナスポイントを1消費してサブスキル『植物図鑑』を獲得しますか? (Yes)/(No)>


 無論Yesをクリックする。すると、俺の獲得可能スキルに表示されていた『植物図鑑』の項目が消えて、代わりに獲得済みスキル一覧の項目に『鑑定』『錬金』に加えて『植物図鑑』が表示された。


「取得できたよ。早速ヒールウィードだっけ?を探してくるよ」


「行ってらっしゃい。気を付けてね。あ、そうだ。ナイフとか持ってる? 持ってないんだったら買っていかない? 100ゴールドで売っているわよ」


「あ、はい。じゃあ、買っていくよ」


「毎度あり~」


 ローズさんは商売上手だな!



 さあ、やってきました。今俺がいるのは「西の草原」。弱い魔物しか出ない地域だ。

 あちこちでプレイヤーがモンスターを仕留めている。剣を振るったり魔法を放ったりしている。


 ちなみに、モンスターの横取りなどが発生しないように、モンスターに一番最初に攻撃を始めたパーティー以外の攻撃が当たらないらしい。すなわち、レベル上げを行いたいのであれば、他の誰よりも早くにモンスターを攻撃する必要がある。だから、モンスターは現れるや否や攻撃を受け、倒されてしまう。


 さて、俺はと言うとレベル上げを行いたくても行えない。というのも俺は今、武器も防具も装備していない丸腰状態だからだ。正直に言うと、雑魚と言われるスライムやホーンラビット(角が生えた兎)さえも一人で狩ることが出来ない。


 そんな状態でセーフティーエリアの外、すなわちモンスターが生息するエリア、に行って大丈夫なのか? もちろん、全く大丈夫ではない。モンスターに攻撃されれば俺はすぐに死に戻るだろう。



 しかーーし! 今は多くの人が獲物を取り合っている状態だ。モンスターが俺を見つけ攻撃を仕掛けるより先に、他のパーティーがそいつを狩ってくれる。

 ゲーム開始直後だからこそできるごり押しだな。


 多数のプレイヤーが「どこかにモンスターが居ないか」と目を光らせている(かたわ)らで、俺は薬草を探し求める。


 草原に生える全ての草が鑑定対象ではなく鑑定可能な草木は限られているようだ。確かに、雑草一本一本を鑑定するのは時間がかかってしょうがない。鑑定対象の草をひたすら鑑定し続けた結果、俺が見つけたのは以下のような植物だ。


1)ヒールウィード

2)ヤマノイモ

3)エノコログサ

4)ブタクサ

5)タンポポ

6)ススキ

7)シソ(赤・青)

8)シロツメクサ

9)スズメノカタビラ


 このように、半分以上が役に立たない雑草だった。しかも、現実世界とは異なり、これらの植物は見た目で区別できないのだ。だから、「ヒールウィードか?!」と思って鑑定してもほとんどが雑草だった。


 取り敢えず、ヒールウィードと使い道がありそうなヤマノイモ、シソも収穫していくか。




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[一言] ( ̄□ ̄;)!!ヤマノイモ 壁]_・)トロロ?トロロ?←わくわくらしい タンポポはたべたり煎じたり出来るのよ~
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