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初めて見る対人戦と七瀬の実力

 対人戦。高度な知性を持った人間同士が争うそれにはモンスターを相手にするよりも戦略の重要さが表に出る。また、高度な知性の代償として得てしまった「感情」に支配され、冷静な判断を失なってはいけない。

 パーティー戦であるが、一つのパーティーは最大5人で構成される。一応、ソロプレイヤーが不利にならないようにHPの調整が入るらしいので、ソロに拘っているプレイヤーでも安心して参加できる。もっとも、多方向から多種多様な攻撃を仕掛ける事が出来る複数人パーティーの方が有利ではあるのだが。だから、ソロプレイヤー同士で即席パーティーを組んでいる事例が多くみられる。


 そんな中で、マルベーシはソロを選んだ。生真面目な彼女はこの日に向けて特訓を繰り返していたのだが、彼女の厳しい鍛錬についていけるようなメンバーが現れなかったのである。彼女の容姿を以てしても人が寄り付かなかったという所からも彼女の徹底ぶり……というか理想の高さがうかがわれる。

 ちなみに、これはリオカから聞いた話である。リオカらは「リオカ・フラウ・ラビリンス()タマ()」の四人パーティーなので、あと一人を募集したいと思い、マルベーシに声をかけたそうだ。でもあっさり断られ、その理由を問うた所、今しがた述べたような経緯で自分はソロが向いていると伝えられたらしい。

 リオカは、「生真面目な所がお兄ちゃんに似てるなあ」と思ったそうだ。



「さて、俺はこれからどうしようかな?正直、戦ってるのを見ても楽しくないしなあ……」

 ぼーっと立ち尽くす俺はボソッとつぶやく。だったらゲートシティに帰ればいいじゃんというツッコミはよしてくれ。みんなイベント会場に行っている時に一人寂しくゲートシティを闊歩するのは悲しくなる。


「まあ、知り合いの応援でもするか。マルベーシの試合が第二会場のフィールドAであるみたいだな。ぜひ見てみたいな。ソロでパーティーに対抗できるのかな……?」

 ちょっと心配だが、是非頑張ってもらいたい。もしあいつが負けたとしたら、その時はワインでもおごってやろう。


……

………


「さあさあ、選手がそろいました!東軍『マルベーシ』V.S.西軍『フライト』『エリアル』『ビヴィアン』です。なんと『マルベーシ』選手は今大会では数少ないソロでの出場。ソロは基本的に不利ですが、ベースレベルは高いようです。さあ、どんな試合を見せてくれるのでしょうか?」

「それでは、3、2、1、ファイト!」


 審判の掛け声とともに試合が始まった。マルベーシはレイピアを腰から引き抜き、相手の出方をうかがっている。

 字面ではマルベーシの行動は怖気づいているように捉えられるかもしれない。しかし、会場で試合を見るプレイヤー全員がそんな風には思わなかった。

 彼女の瞳には敵を射抜かんばかりの力がこもっており、西軍の三名は蛇ににらまれた蛙が如く一歩も動けない。


「む? あちらから来ないのか? ならば、先制攻撃は私から」


 彼女のつぶやきが拡声器を通じて会場に響きわたる。三人は怖気づきながらも盾を構え、反撃の準備をする。


<マルベーシ:スキル『剣士の疾風』を発動>


<フライト:スキル『守り手の剣士』を発動>

<エリアル:スキル『剣士の疾風』を発動>

<ビヴィアン:スキル『奮い立つ魔導士』を発動>


<マルベーシ:スキル『裁きの剣』を発動・スキルコンボ成立・スキルコンボ成立・スキルコンボ成立・スキルコンボ成立・五段階スキルコンボ不成立>


 上記のように、観客は誰がどんなスキルを使ったのかが分かるようになっている。不正防止の為という目的もあるが、むしろ戦術が分かる方が盛り上がるという意図もあるのであろう。現に、会場はマルベーシの剣術に驚きを隠せないようで、大盛り上がりだ。


「すげーー!4段階スキルコンボじゃねーか。初めて見たかもーー!」


「動きが遅い敵に対しては3コンボくらいまで重ねられるが、対人では普通無理だな……。ましてや4段階まで出来るなんて……」


「まぐれか? まぐれでもスゲーけど」



<フライト:スキル『反撃』を発動・一段階スキルコンボ不成立>

<エリアル:スキル『裁きの剣』を発動・ミス>

<ビヴィアン:スキル『炎の監獄』を発動>


 無論、敵も反撃する。だがすぐに……


<マルベーシ:スキル『初心の剣』を発動・スキルコンボ成立・スキルコンボ成立・スキルコンボ成立・スキルコンボ成立・五段階スキルコンボ不成立>


<フライト:HPが全損>


<マルベーシ:スキル『裁きの剣』を発動・スキルコンボ成立・スキルコンボ成立・スキルコンボ成立・スキルコンボ成立・スキルコンボ成立・六段階スキルコンボ不成立>


<エリアル:HPが全損>


<マルベーシ:スキル『裁きの剣』を発動・スキルコンボ成立・スキルコンボ成立・スキルコンボ成立・スキルコンボ成立・スキルコンボ成立・六段階スキルコンボ不成立>


<ビヴィアン:HPが全損>


 という訳で、五段階スキルコンボを決めたマルベーシが圧倒的勝利を収めた。それはもう会場は大盛り上がりだった。


「嘘だろ……五段階目なんてあったのか……?」


「計算上、五段階目コンボは1/60秒の猶予がある。だから理論上可能と言われていたが……。スゲーな……」



 なんだかよく分からないけど、ともかく、マルベーシは凄い人だったようだ。おや?


「ふふふ。私の剣、役に立ってよかった……!」


 ふと近くの席に目を向けると一人だけ、驚きというよりも満足そうな笑顔をしているプレイヤーを発見した。あの子は……ひまわりさんじゃないか!マルベーシの知り合いなのだろうか?


 ちょっと話しかけてみるか。



いつも読んでいただきありがとうございます。


昨日は実家に用事があり投稿できませんでした。出来る限り「毎日一話投稿」というペースを崩さないように心がけていますが、今後こういう事も起こるかもしれません。どうか温かい目で見守って頂けると嬉しいです。


今後とも本作をよろしくお願いします。

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