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一方そのころ ~ひまわり編~

 私はAWTで鍛冶職人をしているひまわり。現実世界では機械工学の勉強をしている。より詳しく言うと機構学を専門としている。この道に進むことになったきっかけは小学生の頃、家の近くで開かれた「からくり人形展」に行ったことである。


 ゼンマイの動力だけで動いているにも関わらず、二足歩行はおろか、もっとすごい物では弓を射ったりする。これには心の底から感銘を受けた。お料理や手芸のような物に興味を示さなかった私にとって、「からくり人形の鑑賞」が人生初の趣味となったのであった。


 それが春休みの出来事。あれ、冬休みだっけかな? まあ、細かいことはさておき。ともかく、「からくり人形の鑑賞」という趣味を持ってから暫く経った時、夏休みが訪れた。私が通っていた小学校では夏休みに「自由工作」という課題が課された。各々が自由に小物を作成してきて、夏休み明けにある発表会で展示されるのだ。


 一番メジャーだったのが貯金箱。次にメジャーだったのは人形だったと思う。実際、私もその年の夏休みまでは貯金箱を作ってた覚えがある。だけどこの年は違った。オリジナルのカラクリ人形を作りたいと思ったのだ。見るだけではなく、作ってみたい。そんな衝動がこの時生まれた訳だ。


 小学生だった私は、木片をのこぎりで切ることさえままならない。かといってコンターマシンのような専門器具も持っていない。だから、試作を重ねて完成を目指すという事が出来なかった。どうすればよいだろうか……?


 結局、自分では答えが出せなかった。そこで、父親に相談したら革新的なアイデアを教えてもらった。それが、CADを使った物理シミュレーションである。コンピューター内でなら何度でもやり直しが出来る。微調整だってお手軽に出来る。そして、完璧な設計図を作成後、3Dプリンターで書き出すという訳だ。3Dプリンターという文明の利器を使うのは不本意だったがこればっかりは仕方がない。


 ともかく、私は父のアドバイスを真摯に受け止め、CADの勉強を始めたのだった。自分で言うのもなんだが、私は空間把握能力にかなり長けていたようで、2~3週間でCADをある程度使いこなせるようになったのであった。


 後から聞いた話だが、父の本心は「これからの時代、コンピューターをある程度扱えないといけないと思う。これをきっかけにコンピューターにちょっとでも興味を持ってくれたらなあ……!」という事だったらしい。本当に使いこなすとは夢にも思ってなかったそうで。父は私を「うちの会社の部下よりも優秀だぞ……」と褒めたのだった。



 その後、無事からくり人形を完成させた私は学校に提出。展示会ではクラスのみんなから「スゲーー!!」と言って貰えた。私の努力は実ったのであった。



 展示会にて。みんながからくり人形で遊んでいるうちに、悪ふざけする(やから)も現れて……。ワーワーギャーギャー騒いだ挙句、私の作品は地面へと落とされた。

 バキ!

 あっさり壊れた。

 そんな……私の努力の結晶が……。

 涙が……溢れて……。


「うわーーーん! 私の貯金箱があ!!」


 あれ、私の声じゃない。

 隣を見ると、クラスメイトが大声を上げて泣いていた。私のカラクリ人形の隣に鎮座してあった可愛い猫の貯金箱を作った子である。その子の貯金箱も無残な姿となって地に伏していた。私の作品と一緒に落下したのであろう。

 その子のおかげで(と言うと失礼かもしれないが)私は冷静になる事が出来た。周囲を見ると騒動の発端となった男子生徒がオタオタとしている。そして、その子を非難の目でみるクラスメイト達が目に入る。騒ぎを聞きつけてスタスタと歩いてくる先生も目に入る。

 うん。ここで私も泣き始めたら、さらに騒動を面倒にしてしまうわね。"大人"な私は冷静に「まあ、騒ぎたくなるくらい気に入ってくれたってことだし」とか言っておいた。みんなから非難を受ける男子生徒は神を崇めるような目で私を見てきた。そんな期待を込めた目をするな。怒ってない訳じゃないんだぞ。


 余談だが、後日その男子生徒が私のことを好きになったとかいう噂が広まった。おいおい、冗談じゃないわよ。私、悪ふざけするような精神年齢が低くて無駄に明るいキャラは大嫌いなのよ。彼に助け船を出したのは彼への同情心に過ぎない。

 告白された。もちろんフッた。



「う、うーん。朝? じゃなくて深夜ね。そっか、夢かあ。なんだかすごく懐かしい夢を見たわねーー」


 前日、私はセイに頼まれた綿菓子製造機の製作を心から楽しんでいた。歯車のかみ合い。リンク機構の設計。すごく楽しい。

 そして、今日の朝。徹夜でデザインしようやく完成した設計図を基に『鍛冶』を行う。上手く動くかなあ。上手く動くといいなあ。そわそわしっ放しだった。

 組みあがったそれにスライムオイルという名の潤滑油を垂らし、ハンドルを回す。ギュインギュインという音を奏でながら砂糖加熱部が高速回転。その他の機能も正常に動いている。あとは実際に使ってもらうだけ。

 午後からセイと合流し、実際に綿菓子を作ってもらった。美味しかった。その後、私はログアウトして、寝床に走って行って……。気が付けば今という訳ね。


 生活リズムが狂ってしまったけど、まあ何とかなるでしょう。明日からも、AWTを楽しむわよ!


いつも読んでいただきありがとうございます!!

今後ともよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] オートマタとか作りそう 錬金術士はゴーレム、ホムンクルス、オートタとか使いそう
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