解決案(仮)
武術大会当日にキャットフードが売れるか怪しくなってしまった。いや、売れない可能性があることに俺が今気が付いたわけだが。頑張って、新しい商品を用意したい。
もちろん、キャットフードを無人販売所で販売できなくなる訳ではない。一人、5種類の商品を出店可能だそうなので、「キャットフード」も「新しい商品」も両方売りに出すつもりだ。
まあ、キャットフードも売るかどうかはさておき、取り敢えず人気になりそうな新商品を作り出したい。やっぱりスナック菓子とかが人気になるだろうか?武術大会で盛り上がってるわけだから、焼きそば店とかあったら良さげかもな。他には綿あめとか? 綿あめくらい、他に作ってる人がいるかな……? でも、「ブルーベリー味の綿菓子」「リンゴ味の綿菓子」のように他と差異を付けるという手もある。それから……ビールもいいね! 父さんが家にいた頃は、「日曜日=茶の間でビール飲みながら野球観戦する親父」という法則が成り立っていた。懐かしい思い出だ。
ちなみに俺は、匂いだけで酔ってしまう程アルコールに弱かったので、休日は自室に籠ってPCを触っていた。香も似たような感じだ。その結果、俺はプログラミング、香はCGやデジタルイラストを描くという趣味を見つけられたのかもしれない。
当時は「親父のせいでテレビ見れない!」と腹立たしく感じていたが、今となっては彼のおかげで俺たちはゲームクリエイターとして活動できているのだと思う。父さん、ありがとう!
昔を懐かしみながら、ステータス画面を開いて今までのアイデアをメモ帳にまとめる。スナック菓子・焼きそば・綿あめ・綿あめ(フルーツ味)・ビールっと。
うーん、焼きそば(のソース)もビールもどちらも発酵食品。この世界には存在し得ない物。この二つは没かな。
スナック菓子はどうだろう?うーん、俺には作り方が分からないなあ。そもそも、素人の俺が付け焼刃で作ったとしても、買い求めたくなるレベルの物が出来上がるとは思えない。
その点、綿あめは良さげだ。機械さえあれば誰だって作ることが出来る。ついでに言うと、リオカは甘いものが大好きだ。綿あめを作って試食会を開いたら喜んでくれること間違いなしだ。いいねいいね。綿あめが最有力候補という事で。あれ、俺ってシスコン? いやいや、俺はただ家族愛を大切にしているだけだ。
綿あめを作る機械は……ひまわりさんに作ってもらうか。生産職ライバルである彼女に頼むのはちょっとどうかと思うが、致し方ない。彼女が忙しくないのであれば作ってもらおう。
という訳で、簡単に設計図を作るか。
…
……
………
「よし、こんな雰囲気でオーケーだろう」
設計図(といっても、非常に簡単なものだ)が完成。ひまわりさんと話を付けよう。
幸い、彼女に聞くと、今日は平日だがログインしているそう。しかも、ちょうど金欠らしく、モンスター狩りに行くべきか悩んでいたところだそうだ。俺が前払いしてくれるなら、ぜひ請け負うと言ってくれた。詳しい話を聞きたいそうで、鍛冶ギルドで待ち合わせという事に。
◆
「こんにちは。すみません、お忙しいでしょうに」
「いえいえ、私も金欠に悩まされてまして。ああ、セイさんが言ってた『武術大会での無人販売所』。私もチャクラムを販売しようと思っているんです」
「そうなんですね! 俺が作って欲しいと思っている『綿あめ製造機』も無人販売所で綿あめを売るためですので……、『敵に塩を送るような真似はしたくない!』と思う感じでしたら、俺のことは気にせずバッサリ断って頂いてもいいですよ。というか、俺は断られると思ってたですし」
「そこまで気にしなくてもいいですよ。それに、モンスター狩りに行かなくて済むのは、すごくありがたいですし」
「そう言ってもらえるとすごく気が楽になります。ありがとうございます。あ、それでしたら……」
「え、あ、50万ゴールド? 料金ですか? そんな大掛かりな物を作るつもりなんですか?」
「いや、このくらいのサイズ感で頼みたいです」
「このサイズでしたら材料費×2したとしても、1万ゴールド以内になりますよ?」
「ですよね。だからお釣りとして49万ゴールドを大会後に、つまりチャクラムの販売で得た利益を手にしてから、返して頂けると」
「え? ええ? それって、私は49万ゴールドの負債を負うという事ですよね?」
「まあ、そうなりますが……。いやいや待てよ。俺はあくまで綿あめ製造機を君から買う為に先払いで50万ゴールド払ったわけだ。君がお釣りをいくら払うかは君の自由。それに……」
「?」
「チャクラムについて教えたのは俺。販売所イベントに誘ったのも俺。ここまで来たら、チャクラム販売になんというか愛着(?)が湧いています」
「いや、そうはいっても……」
「どうせ、ゲーム内通貨なんだし、気にしなくていいよ。リアルマネーの貸し借りが関わってくるなら、躊躇するけどね。あ、ごめんなさい。いつの間にかタメ口になってました」
「あ、口調は今の感じでいいですよ。うーん……でもなあ。うーん」
「口調の件については了解。ひまわりさんも俺にはタメ口で接してくれるとありがたいな。ともかく、50万ゴールドの件に関しては気にするな」
「うーーん、正直申し訳なさ過ぎるけど……そこまで言ってくれるなら断り続けるのもそれはそれで失礼よね。分かりました!ありがたく、お借りします」
「おう」
「ともかく、すぐにでも作り上げちゃいますね!」
いつも読んでいただきありがとうございます。今後とも本作をよろしくお願いします!
誤字報告すごく助かっています。本当にありがとうございます。




