武術大会イベントの告知
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今後ともよろしくお願いします!
ある日のこと。いつも通り、俺はキャットフードの販売を行っていた。営業初日と違って、客足はまばら。だが、リオカとフラウの手伝いが無い分、相変わらず忙しい。
お客様の中には「この餌を使うようになってから、私の猫キャットが懐きやすくなったの~。本当にありがとうね~」などと言ってくれる方もいる。実際には回復薬として買っているのだろうけど、敢えて粋な言い方をしてくれているのだろう。そんな挨拶には「そう言っていただけると嬉しいです。猫と人間の心を繋ぐことが自分の役目だと考えているので」とか返している。どう、格好良くない? そうでもない?
ともかく、営業は順調。この調子なら、直に俺もお金持ちの部類に入れるであろう。
などと考えていたその時、アナウンスが流れた。
<西の門番「水竜」が攻略されました。これにより、西の町が解放されます>
はて、門番が攻略とはどういう事だろう?おそらく、ボスが倒されたって意味だと思うのだが……?
続いてアナウンスが流れる。
<この事を祝し、「水竜」の攻略者に『パイオニア』の称号を授けます>
称号……。確か、偉業を成し遂げたプレイヤーに与えられる物。称号を貰ったからといって、その人がレベルアップする訳ではないし、ましてや優遇されるなんてことも無い。ただただ「名誉」なだけだ。
それでも、戦闘職の皆様からしたら羨ましいであろう。特に今回の場合、『パイオニア』の称号は「最強」を意味する。現時点で最強のパーティーとして歴史に名を刻んだという事だ。
ここで終わりかと思ったら、まだアナウンスは終わっていなかったようだ。
<この機会に、武術大会を開催することになりました。今週末に開催予定です。この武術大会はパーティーの強さを競うイベントとなっております。ふるってご参加ください。詳細はステータス画面の左下『お知らせ』から確認してください>
へーー。イベントかあ!!それは盛り上がりそうだな。生産職の俺は参加できないけどな!
待てよ……。本当に俺は参加できないのだろうか? いや、戦っても負けるだけだし、選手としての参加は出来ない。けれども、これは商売のチャンスなのではなかろうか?! 例えば、当日はキャットフードがたくさん売れるだろう。当日に味が濃い物を売れば参加者/観戦客に食べてもらえるだろう。
イベント会場に露店を出す事って出来るかな?
武術大会の詳細を確認する。え?! PVP形式なの? マジか! 結構グロテスクにならない? ギブアップを可能にするなどの措置は取られるのか。ふむふむ。
その他にも、事細かく注意事項が載せられていた。なにせプレイヤー同士が直接対決することになる。いがみ合いが発生しかねない。だから、厳重なルールを設けることでイベントを楽しい物にしたいのであろう。
そして、我々生産職向けの情報は……ちゃんと記載があるぞ。
<
生産職向けには、特別なミニイベントが開催されます。当日、イベントを行う会場は円形闘技場であり、その一番外周は無人販売所が設置されることになります。そこに、各プレイヤーが商品を出店し、売り上げを競います。
>
へーー? なるほど。なぜ露店ではなく「無人販売所」なのかは不明だが、一応生産職の為のイベントもあるんだね。
売り上げ額の算出方法や一人当たり何種類まで出店可能かなどの細かい情報も載っているが、今は気にしなくていいかな?よし、俺も頑張ろうではないか!!
それから、イベント当日はキャットフードを無人販売所で売るという旨をリオカとフラウに言わなくては。彼女たちを通じて連絡を回してもらうのが手っ取り早いからね。二人には感謝だ。
◆
ところで、ひまわりさんはチャクラムを出店するのかな? もしかすると、生産職向けのイベントがあることを知らないかもしれない。一応、一報しておこうかな。
「
鍛冶職人のひまわりさん
こんにちは。
確認と報告の為に連絡させて頂きました。
もうご存じかもしれないですが、次の週末にあるイベントの一環として生産職向けにミニイベントがあるようです。無人販売所を開いてその売り上げで競うという内容のようです。せっかくの機会ですので、ひまわりさんも作品を出展してみてはいかがでしょうか?
僕はキャットフードを出品する事を考えています。一部の人にしか売れない商品とは言え、それなりの人気を誇っている自慢の商品です。
ぜひ、切磋琢磨してお互い良い成績を収められたらと思っています。
セイ
」
ちょっと砕けた口調だが、別にいいかな? 送信っと。
◆
次の日。キャットフード店はお休みだ。さて、イベントに向けて準備を始めなくては!!
キャットフードをいつもより多く作りました。
以上。準備終わり。……残りの時間、何して過ごそう?
串焼きでも食うか。
…
……
………
「おいーーす。串焼き二本!」
「あいよ~! 200ゴールドな……はいどうも。それでこれが商品だ」
「ありがとう! うーん! 美味い!」
「ありがとよ! この調子で次のイベントでも一番人気の商品になってやるぜ!」
「あ、住人でも参加できるんだ……」
「そりゃあ、そうだろう。というか、むしろ、旅人でも出店できるという所が驚きなんだが……」
「確かに! ちなみに、俺もキャットフードを出品するんだぜ。勝ち負けはともかく、俺のもいっぱい売れたらいいな!」
「まじか! そういえば、お前のキャットフードもなかなかに人気らしいじゃないか。しかも、客の8割くらいは女性。羨ましいなあ……おい!」
「まあね……でも、俺には女性をナンパ出来るような度胸が無いから結局ってかんじだぞ。むしろ悲しくなってくる」
「そうなのか? でも、前に一緒に働いていた女の子、可愛かったじゃねーか。彼女さんじゃねえの?」
「残念ながら、妹とその友達だ」
「……いつかお前にもいい出会いがあるさ」
住人(NPC)にそんなことを言われると思ってなかったよ。




