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キャットフード店、オープン!

いつも本作を読んでいただきありがとうございます。

今後ともよろしくお願いします!

 キャットフード店を始める前日。失念している事柄が無いか、改めてチェックを行っているところだ。


「各種キャットフードの準備良し。場所の確保も良し。うーん、もう完璧なのでは? 今日はのんびり過ごすか~」


 そんな訳で、北にある市場をぶらつくことにした。



 あちこちで「へいらっしゃ~い」とか「まいど~!」とか威勢のいい声が飛び交っている。俺が開く露店はもう少し閑静な場所に設置する予定なので、ここまで騒がしくなることは無いだろうが、やはり楽しみだなあ。


 市場には色々な形態の店がある。調理器具店「ウッドスプーン&フォーク」のように、建物の中で売っている形態もあれば、串焼き屋のように簡易の屋台という形態もある。さらに言うと、道端に茣蓙を敷いているだけの店もある。

 俺の店はどんな外見にしようかなあ……。


 あれ?


「あ! やば!何も考えてなかった……!!」


 外見は後回しにしていたから、完全に失念していた!せめて机だけでも買っておかないと。どこで買おうか……。

 と思って周りを見渡すと、偶然にも木の机や椅子も売られている店を発見した。これはまあ、何と言うか……渡りに船だな!

 

 3m四方のスペースを借りているから、それに見合った机を買う。立ちっぱなしで店番をするのは疲れるし、椅子も買わないと。


 木で作った家具は思ったよりも高く、合計10万ゴールド位の出費になったが、良い買い物だったと思う。あとは……。


「キャットフード店って見て分かるようにしたいのだが、どうしようかな?」


 そうなのだ。机の上に見本となるキャットフードを置いただけの店ってものすごく地味に見えるだろう。こんなことは容易に想像できる。


 何かいい方法はない物か……?ひまわりさんに頼んで猫の彫刻でも作ってもらおうか?いや、それは流石に厳しいか。そもそも、鉄製の猫って可愛く見えるか?


 花瓶に花でも活けて飾るって言うのはどうかな?いや、それだとキャットフード感がゼロだ。まずいな、どうしよう……?どうしよう……?



 いったん、頭を落ち着かせようと思った俺は、錬金ギルドに行くことにした。あそこは、実家のような安心感があるからな。何かいい案が浮かぶかもしれない。



 30分が経過した。どこぞの彫刻のように、顎を右手の拳で支え、右ひじを左足の太ももで支えるポーズを取りながらあれやこれやと考えるのだが、一向にアイデアがわかない。困った……。本当に困った。



 おや、リオカからメッセージが届いたぞ?なんだろう?


明日から始まる露店だけど、一日目は私達も手伝いたいの。いいかな?

とのことだ。もちろん問題ない。ついでに、露店の見た目の相談をしてみよう。


それなら、タマちゃんに看板娘ならぬ看板猫になってもらいましょう! フラウちゃんには確認を取ったわ。初日でお兄ちゃんのお店は広く知られることになると思うから、次回以降はタマが居なくても大丈夫だと思うわ。完璧ね


 おお!それは助かる。実際にタマが美味しそうにキャットフードを食べているのを見ると、「買いたい!」と思う人もいるであろう。それに、実際に召喚術師が隣にいてくれたら、俺には分からない質問が飛んで来た時に助けてもらえる。フラウらが手伝ってくれるとはこの上なく嬉しい誤算だ。本当に感謝だ。


 あ、それなら椅子を買い足しておかないと。さっきの店に行かなくては。



 次の日。ログイン後、すぐに所定の場所へ。机を設置して椅子を並べる。見本の団子をお皿に入れて展示して置く。そういえば、この世界ではこうして食べ物を野ざらしにして置いても腐らないどころか、埃すらつかない。発酵食品が作れない点では嬉しくない設定だが、今回ばかりはこの世界観に感謝だな。


 しばらくすると、リオカもやってきて、俺の隣にちょこんと座る。フラウはすぐに来るそうだ。


「人が来るといいけど」


「来るに決まってるでしょ? もうすぐ、フラウちゃんが盟友を引き連れてやって来るはずよ」


「盟友?」


「モフモフ同盟! というか、私達のブログの読者ね」


「なるほど」


……

………


 フラウが多くの人を引き連れてやってきた。え、マジで何人いるの?は?


「いやあ、召喚獣用の回復アイテムの噂が私の予想以上に広まったみたいで……。猫キャットを召喚獣にしてるプレイヤーが一気に押し寄せてきました」


「お、おう。確かにこれは手伝いが居てくれた方が助かるよ。二人は本当に良かったのか、俺の商売につき合わせちゃって?」


「前に言ったように、私も貢献したいですから。それに、いち早くキャットフードを頂いた恩もありますからね」


「私はお兄ちゃんに家事のほとんどをやってもらってる恩があるからね!」

 わが妹よ。それは胸を張って言う事じゃないぞ。役割分担してどちらか一方が負担を負いすぎないようにする事が理想的だと思うのだ、俺は。


「ともかく、来てくださった皆様の為にも、どんどん売っていかないと!それじゃあ、キャットフード店、開店します!」


「「……このお店の名前は?」」


「決めてないぞ」


「「……」」


「そんなに呆れられることか? ともかく、お客様を待たせるわけにはいかない。はい、どのタイプにされますか? 塩0.3%の物を30個ですね。かしこまりました。お代は300ゴールドです。はい、ちょうどいただきました。こちら商品となっております。毎度ありがとうございました~」


~一方そのころ、リオカとフラウの会話~


「セイさん、接客上手いね。もしかしなくても、アルバイトの経験が豊富?」


「うんん、お兄ちゃんはアルバイトなんてしたことないわ」


「そうなの?」


「うん。けど、接客の定型句はノベルゲームのシナリオを書くときに勉強してたと思う」


「へーー。ハイスペックお兄ちゃんなのね」


~一方そのころ、お客の会話~


「ここで買えるのが、猫キャットの好物って言う『キャットフード』なのよね?」


「ええ。ほら実際あそこに、タマちゃんがいるでしょ」


「本当だーー! フラウさんにすごい懐いているわねーーー! 動画で見るよりも何倍も可愛い~!」


「なんであんなに懐くんだろう……? 私のロゼッタはあんなに甘えてこないのに……。やっぱり、好感度システムがあるのかしら?」


「絶対ではないだろうけど、おそらくそうだと思うわ」



 フラウ達がアップするゲーム実況動画が、意外な憶測を生んでいることを、セイは知らないのだった。



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