キャットフード店の準備7
いつも読んでいただきありがとうございます。今後とも本作をよろしくお願いします!
ご飯も食べ終わって、軽く運動もした後、再びログイン。今からは錬金ギルドに行って団子の準備でもするかあ。
「ちわ~」
軽く挨拶しながら、扉をくぐる。だんだん適当な挨拶になっているのは良くないことかもしれないが……。
「へーい」
というローズの適当な返事を聞くと、俺だけ妙に堅苦しい挨拶をするのも憚られてしまうのだ。
「錬金室、使うな~」
「はいはい~」
なんというか、自宅にいるような安心感を覚えながら、俺は錬金室へと入っていく。
…
……
………
「で、なにをしよう?」
商業ギルドに行くのはアップデート後……つまり必然的に明日になる。今日は回復薬の量産という名のアルバイトでもしてようかな?
あ、でもその前に。瓶ドウに入れる餌を大量生産して置かないと。腐ることは無いだろうし、大量に作っておいても損はないだろう。
卵を買い足した上で、手持ちに残っているウィードデンプンを消費し尽くすつもりで餌を作る。よーし、これで暫くはもつだろう。ああ~、キャットフード用のウィードデンプンを後で買い足さなきゃだね。
というか、商業ギルドへの登録とか、露店を開くのにかかる料金とかっていくら位なんだろう? 現代日本なら……1万円~5万円の間に収まるだろうか? 数万ゴールド位なら、今の俺でも払えないことは無いが……お金は持っておくに越したことは無いかな。現在、色々買ってちょっと金欠だし。
という訳で、残りの午後は単純作業のみである。こんなんだから、生産職が「不遇職」って言われるんじゃあないのか? いや、でも、レベル上げの為にスライムやらホーンラビットやらを狩り続ける必要がある戦闘職もそれはそれで大変だと思う。
プレイヤーが満足するゲームにするためには、「長い時間をゲームに費やした人の方が有利になる」という法則を崩してしまってはいけない。そうなれば、自然とレベル上げのような周回要素を組み込む必要が出てくる。もちろん、俺が作るようなノベルゲームやホラーゲームには周回要素は存在しないから、そのあたりの苦労や葛藤は未経験。素人の俺には分からない様々な苦労があるのであろう。
◆
次の日の朝。ログイン後、すぐに商業ギルドとやらに行くつもりだ。つもりなんだが……
「商業ギルド本部って……どこ?」
錬金ギルドや剣士ギルドなどはゲームを購入した際に貰ったパンフレットに場所が記されていたが、商業ギルドがどこにあるのか記載がない。あれま~。誰かに聞こうかな。
「という訳で、ローズさん。商業ギルドへの行き方を教えてくれ」
「いいわよ~。そこの道をまっすぐ行ったら右手に見えてくるわ。分かりやすいでしょ?」
「ちなみに、歩いてどれくらい?」
「10分はかからないと思うわ。8分くらいかしら?」
「ふむ。分かった、ありがとう!」
「いえいえ~」
…
……
………
「ここが、商業ギルド……」
大きくて立派な建物に目を丸くする。何と表現すればよかろうか? 建物の雰囲気は……そうだな、国会議事堂のような雰囲気と言えば伝わりやすいだろうか? 商業ギルド本部なだけあって、財政などを管理しているのであろう。
「ゲーム内における財政って何なんだよ!」というツッコミはしない方向でお願いします。
恐る恐る入ると、慌てて作られたのであろう見た目の看板に
「
←住人 / 旅人→
」
と書かれていた。
俺のせいですんません……。いや、ひまわりさんも自分の武器を売りたいって言ってたし、アルカディアも露店を開きたいって言ってたし、俺だけの為に旅人用のスペースが設けられたわけではない……と思いたい。
「こんにちは。商業ギルド本部へようこそ。ご利用は初めてですね。どういったご用件でしょうか?」
「こんにちは、旅人で錬金術師やってる者ですが、露店を開きたいと考えていまして。それの相談に」
「かしこまりました。こちらへどうぞ」
「はい」
受付に行くと、エルフみたいな見た目の女性が対応してくれた。彼女の誘導に従って個室へ。
「まずは、ゲートシティ……というかこの世界で露店等の商業活動を行うにあたっての諸注意をさせて頂きます。といっても、シンプルなルールしかないですが」
1)基本的にはどのような品物を売るも自由だが、明らかに過激な物の販売は禁止とする。(例:R18指定が付きそうな像/絵画/小説など)
2)完全に市場主義を原則としている。だから寡占や独占を行う事も認められる。ただし、そのような事態があったら、ギルド側が同様の製品を安値で販売する等の措置を取る場合がある。
3)一度登録した条件(毎日ここで露店を開く/毎週月曜日ここで露店を開く/などなど)は明示的に「契約解除」しない限りは永久的に契約されたままとなる。ただし、旅人がこの世界に半年以上来ていない場合は自動的に「契約解除」扱いされる。
「以上3点が重要なルールです。その他細かい規則は今から送信するメッセージに添付される書類を読んで下さい」
「はい。わかりました」
「はい、送信しました。後で読んでおいてくださいね。次に露店を開く場合の注意点ですが……」
その後も暫くと諸注意を受けたが、大したことは言っていなかった。商業ギルドへの登録を済ませた上で、具体的にいつから露店を開くのかという話になる。
「えーっと。今すぐ決めないといけませんか?」
「いえ、いつでも大丈夫ですよ。早い者勝ちですので、出来る限り早い目に場所を抑えるべきでしょうが……。まあ、取り合いになる程、露店を開きたい人が居るとは考えられません」
「そうですか。それでは、もう少し考えさせてもらっても?」
「分かりました。料金プランなどについて、こちらのパンフレットを参考にして下さいね」
「ありがとうございます。それでは、失礼します」
ちょっと、フラウに相談しようかな!




