キャットフード店の準備5
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ひまわりさんに瓶ドウを発注した後、俺は買い物をするべく、町の北に来ていた。調理器具店「ウッドスプーン&フォーク」に顔を出す。
「いらっしゃい~。えっと、あなたは前にも来てくれた旅人さんよね。久しぶりーー。発熱石の追加注文?」
「あーー、今日来たのは大きめのボウルが欲しかったからなんだが……。そうだな、発熱石も追加購入しておこうかな。それから、大きめの鍋も欲しいと思ってます」
「ほう、大きめのボウルと鍋ですか。もしかしなくても露店でも開く感じですよね? 確か、明日から旅人さんの露店出店が可能になるとかなんとか」
「そうですね。だから、俺も露店で食べ物を……といっても人間が食べるものではなく、召喚獣用にキャットフードの店を開こうと考えています」
「へえーー。また変わった事を考えるねえーー。ともかく事情は分かったわ。それじゃあ……これなんてどうかしら」
「おお! 良いですね良いですね!」
「ウチで取り扱っている商品の中で一番大きいサイズの物となっています。15,000ゴールドとなっておりますので少々値が張りますが、その分、丈夫ですよ」
「なるほど、なるほど。確かに<特殊効果>に『[料理器具―改]料理中の耐久値の減少率が0.01倍になる。代わりにモンスター相手に武器として使う際の耐久値の減少率が1,000,000倍になる。』っていうのが付いていますね。後は……」
…
……
………
「合計で4万ゴールドとなります」
「はい、送金しました」
「確かに受け取りました。また来てくださいね~」
「はーい」
「ところで……。錬金術師でも、屋外で調理が出来るのですか?」
「へ? 俺の予定では、錬金ギルドの所定のスペースで調理しておいて、完成した品を並べるつもりだったんだが……」
「ああ、そういうことね。納得した。ごめんなさいね、呼び止めちゃって」
「いえいえ。ちなみに、屋外では普通調理が出来ないものなのですか?」
「ええ。『家事』スキルは屋内における調理しかサポートしてないわ。『料理人』スキルは屋外出店も出来るようだけど」
「へー? なるほど?」
マイ錬金台を買って、道端で調理するってことは出来ないって事なのだろうか……。でも、俺は匂いを使って集客したい訳では無い。だから、その場で焼いていなくてもちゃんと売れるはずだ。たぶん。
◆
ふう、じゃあ錬金ギルドに戻りますか。にしても、今日はログインしてからずっと炎天下を歩いている気がする……はやく屋内に入りたい~。こういう性格だから、戦闘職なんて俺には向いていないんだよね!
歩いて錬金ギルドに戻るのも面倒……転移魔法とか無いの~なんてね。セーフティーエリア内ではどう足掻いても死に戻ることは出来ない。大人しく帰りましょうかね。
と思ったその時、俺は素晴らしい案を思いついた。一度ログアウトしてまたログインすれば中央広場に戻れるのでは? ここから錬金ギルドまでの距離よりは、中央広場からの距離の方が短いと思われる。
一回ログアウトするかな? うーん、どうしよう?
ところで今何時だろう? 11時45分。およよ? もうこんな時間……だと?!
今から錬金ギルドに行ったとしても、また15分後にログアウトすることになるのかあ。それなら今すぐ、ログアウトしちゃおうかな。
◆
昼飯を作っていると、香がログアウトしてきた。丁度いいタイミングだ。テーブルを拭いて貰おうかな。
「うん、分かった~」
と口では言いつつも、香はスマホを眺めている。
全然分かってないじゃん!
「おーい、もしもし~」
「なに~?」
「テーブル拭いてくれるのか? したくないのか~」
「はーい」
「駄目だこいつ。マジで聞いてない……。集中しているときに、適当な返事をする癖、治したほうがいいと思うんだよなあ……」
多少呆れつつも、俺は家事を進める。
…
……
………
「お兄ちゃん、さっき私に何か言ってたけど、なんだったの?」
「テーブル拭いてって言ってたんだが……。聞いてなかったよな、お前」
「え? ごめん。全然聞いてなかった。今からやります。ほんとごめん」
「別にいいけど……俺だから許すけど、他の人にもそんな態度取ったりしてないだろうな?」
「してないわよ。どんな私でも愛してくれるあなたの前でしか、こんな態度取らないわよ」モジモジ
あ、出た。香のユニークスキル『いい雰囲気にしてごまかす』。もうごまかされんぞ。
「おいコラ。いい雰囲気にするのは別に構わんが、悪い癖はちゃんと自覚して治すべきだぞ」
「ちぇ。この作戦も、最近効かなくなってきたなあ……。また他の作戦考えとこうっと」
「へいへい。ところで、真剣な顔してスマホ見てたのは何だったんだ」
「自分たちのブログについたコメントとか評価とかを見てたの」
「ああーなるほど。え、そのブログ、結構な読者いるのか?」
「ええ。これで、いつでもキャットフードの情報、流せるわよ。お兄ちゃん、頑張って!大金持ちになるチャンスだよ!」
「ああ、実は結構準備を始めていてだな。順調に事が運べば、明日にでもキャットフード店を開くと思うんだ」
「!! 了解。フラウちゃんに言ってもいいよね?」
「ああ、情報操作に関しては二人に任せる」
主人公は今、地道に努力している段階ですので、ワクワクする展開とは言い難いですが、今後とも温かい目で見守ってください!




