キャットフード店の準備3
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チャクラムのことを教えた鍛冶職人の子から、お礼にチャクラムをもらったものの、俺には宝の持ち腐れだった。そのことを伝えると、代わりの物を作ると言われたのだが、それだと申し訳なさ過ぎる。
という訳で、代わりと言っては何だが、オーダーメイドの武器(?)を作ってもらう事にした。
「材料費の二倍払うってことでどうでしょう?」
「いやいや、元はというと私がアドバイス料として払いたいと考えているのですから、タダで大丈夫ですよ」
「いやいや」
「いやいや、どうか遠慮なさらずに」
うーん、こうなっては埒が明かないな。
「じゃあ、材料費は払うので、それでオーダーメイドしてもらう。ってことでどうでしょう」
「いやいや、ほんとにタダでもいいのに……。まあ、そうおっしゃるなら……。で、何が欲しいのですか?」
「ああ、実は……」
◆
ひまわりさんが鍛冶を行うのは鍛冶ギルドの「鍛冶室」という個室。俺が「錬金室」で作業する感じだね。微調整は使用者の立ち合いの元行いたいとのことだったので、作業を見させてもらうことになった。
「あれ、鍛冶室に二人が入ったらその分料金が倍になります?」
受付にいた年配のおじさんが俺の方をちらっと見てから
「鍛冶職人でない人がご一緒しても、追加料金は発生しませんよ」
と返事する。
なるほど。ということは錬金室にリオカを連れてきても、追加料金は発生しないのだろう。いいことを知った。
◆
ひまわりさんは鉄の塊を取り出し、薄く薄く叩き伸ばしていく。金属の展性・延性だな!!と最初は思っていました。
「あれ、叩いても体積は減らないはずだよな? 明らかに体積が減ってない?」
「あれ、叩いたところが盛り上がった? へ?」
どう考えても本物の「鍛冶」とはかけ離れている。いや、本物の鍛冶を見たことがある訳ではないけど。それでも、さっきからひまわりさんが行っている作業は物理法則を明らかに超越している。あれを鍛冶と呼んでいいのか? いや、駄目でしょう?!
……まあ、削り落とした部位が消えてしまうのだって質量保存の法則に反した現象だ。一部において、物理法則がめちゃくちゃなのは仕方がないよな。
…
……
………
15分後
「出来ました! こんな感じでどうでしょう?」
「すごい……AWTの鍛冶って簡単すぎないか?」
リアルで鍛冶をしている人に怒られそうだぞ。
「まあ、あまり難しすぎては誰も鍛冶職人にならないからでしょう。ただでさえ生産職は敬遠されがちなのですから」
「それもそうだな。あ、可能ならここをもう少し細く出来ないですか?」
「お任せあれ。これくらいでどうでしょう?」
「完璧です! ありがとうございます!! えっと、材料費はいくらになるんでしょう?」
「純度が悪いインゴットを使いましたので、かなり安いですよ。発熱石……つまり燃料とインゴットと鍛冶部屋利用料金を合わせて1500ゴールドくらいです」
「了解。じゃあ、送金しますね。はい」
「毎度あり。またのお越しをお待ちしています」
「どうもありがとうございます。あ、ちなみに、市販する場合、どうやって値段を付けている感じですか?もしかすると、知り合いがチャクラムを欲しがるかもしれないので、売るとしたら何ゴールド位になるのか目安を教えて頂けるとありがたいです」
「あはは、実際に売るかどうか決めてませんが……。そうですね、材料費×1.5って所ですかね。バフ付きの武器ならそれに応じて高くするって感じですね」
「なーるほどです」
「チャクラムの場合、高額のインゴットを使用しますので、材料費2000ゴールドでその1.5倍で3000ゴールドってとこかと」
「了解です。興味を持った人が居れば伝えておきます」
「ありがとうございます~」
◆
ふふふ。俺専用の武器だ。これを最大限利用するには前準備が必要だ。錬金室に行って準備しようではないか。
小麦粉……の代わりにウィードデンプン。水。これらをポットに入れてコネコネ。そこに、生卵を投入する。混ぜ混ぜコネコネ。耳たぶくらいの柔らかさにする。……出来た!団子完成だ。もちろん、こんなレシピで作ってもおいしくないだろう。これは俺が食べるものではない。
早速、団子と武器を持って川に行く。いつもはきれいな水が流れる用水路に水瓶を沈めるが、今日はもう少し下流域にある水量が多い所に行く。
お、良い感じの場所があるじゃん。深過ぎず浅過ぎず。流れも速過ぎず遅過ぎず。ここらでいいか。
壺のような見た目をしたその「武器」に団子を放り込んで、水に沈める。さあ、魚が沢山獲れるかな?
そう、俺が作ったのは対モンスター用ではなく、小魚を捕まえる事に特化した罠である。通称「瓶ドウ」。魚は瓶の中に入れたエサを求めて瓶に入る。奥に行くにつれ徐々に狭くなるその入り口は、入る物を拒まず、去ろうとするものを引き留める。言わば一方通行なのだ。
さあ、魚達~。ほおら、美味しい餌だよ~。
俺は詐欺師が浮かべるような不気味な笑みを浮かべながら川辺で待つのだった。




