一方そのころ~フラウ編2~
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リオカと私は死に戻ってしまった。痛覚がかなり軽減されているので棘が刺さっても痛くはないのだが……至近距離で大量の棘を飛ばされるのはトラウマになりそう……。ひええ、怖かった。しばらくウニは食べたくないわ……。
「とりあえず、帰ってこれたわね」
「あはは……まあ、帰路が一瞬だったことを喜びましょうか」
しばらく戦闘に行けないという制限が付くのはもったいないけど、こればっかりは仕方がない。デスペナが明けるまで、素材を売ったりのんびりしたりしましょうか。
「あら? メッセージが届いたわ。セイさんからね」
「お兄ちゃんから? 何て書いてある?」
「『リオカの兄のセイです。いつもリオカがお世話になっています。魚肉で作った肉団子を大量に用意しました。是非、タマちゃんに食べさせてあげてください。どこかで受け渡しをしたいので、時間がある時に連絡ください。よろしくお願いします』だって。うーん、私が年下なんだし、ここまで丁寧じゃなくてもいいと思うんだけど。お兄さんはいつもこんな感じ?」
「そんなことないわよ。私とやり取りする時は普通にタメ口だよ。だけどさ、お兄ちゃんから、『どこかで会いたいから、時間がある時に連絡ちょうだい』ってメッセージが送られてきたらどう思う?」
「……なんかナンパみたいになるわね」
「だから、丁寧な文面にしたのではないかと」
「うん、納得」
納得はしたけど、ここまで丁寧じゃなくてもいいんじゃあ……?おかげでどう返事を書いたらいいか分からないよお……。
「なんて返事すればいいかしら?」
「『今暇なんで、今から取りに行きます。場所は錬金ギルド本部でいいですか』とかでいいんじゃあない。面倒ならフレンドコールしたら?」
「あ、なるほど」
正直、目上の人にメールを打つのって苦手なのよね……。でも、就職したら上司にメールを送る事だってあるでしょうし、今のうちに慣れとく方がいいかしら?
結局、フレンドコールした。メールの文面作成についてはまたいつか勉強するって事で!
◆
錬金ギルド前で待ち合わせとなった。出た所のベンチでぼーっと座って待っているそうだ。
「待たせるわけにもいかないし、急ぎましょっか」
「いいって、いいって。お兄ちゃん、一人でも平気なタイプだから」
「そういう問題かしら……?」
「色々考えをめぐらすのが好きな人なの。だから、今だってベンチで座ってあれこれ考えているわよ、たぶん。早く行こうが遅く行こうがお兄ちゃんは気にしないって訳」
「……まあ、なんにせよ早足で向かいましょう」
◆
錬金ギルド本部前にたどり着いた。えっと……。
「あの人であってるわよね?」
「ええ、あってるわよ。お兄ちゃん~!!」
「む、むぐ。むぐむぐ。はふ。おう、結構早かったな。もしかして急かしてしまった?」
セイさんはなにか食べていたようで、頬張っていた物を飲み込んでから妹に声をかける。うん?「セイさんは生産職!」わーお、だじゃれになってる。本当にどうでもいいことを発見してしまった。
「うんん、大丈夫。丁度死に戻ったところだったから」
「そうか。ならまあ、ナイスタイミングって訳か。あ、どうも。フラウもお久しぶり」
「こんにちは、セイさん。私達の為にわざわざすみません。焼魚、すごく助かってます」
「それは良かった。ちなみに、現在どれくらいの人が魚の事を知っているんだ?」
「まだ、私達だけです。魚を大量に入手できるルートが確立し次第、一気に広めようかと」
「了解。あれ、遠回しに急かされた?」
「ご、ごめんなさい。そんなつもりでは……!」
「ああ、ごめんごめん。大丈夫。むしろ急かしてくれた方がやることが出来て楽しいってもんよ。あ、それで魚団子の件なんだけど」
「はい」
「6種類あるから、どれが一番良かったか後で教えてくれると助かる」
「ろ、6種類?」
「うん、『塩多め』『塩普通』『塩少な目』『塩多め(ヒールウィード入り)』『塩普通(ヒールウィード入り)』『塩少な目(ヒールウィード入り)』の6種類だ。ちなみに、さっき俺が食べてたのは『塩多め(ヒールウィード入り)』だ。ヒールウィードのおかげか臭みが消えていて美味しいんだ」
「え? え? ええ?」
整理しよう。まず、セイさんはキャットフードを作るにあたって6種類のレシピを試してみたと。几帳面なんだなって事が良く分かる。それはいいとして、続きのセリフがちょっと衝撃なんだけど。
『塩多め(ヒールウィード入り)』を食べてた? 美味しかった? きゃ、キャットフードとして作ったんですよねぇ? 実は大雑把な人なのかもしれないと思った。
「へえ、美味しいんだ。私も食べてみる~」
ちょ、リオカ?まじ?本気で言ってる?
「ほらよ」
「はむはむはむ。うん、悪くない。醤油とかあったらいいかもだね」
「そうだな。フラウもどう?」
「え、えっと。はい。いただきます」
こ、断りづらい。私も食べるかあ。はむ。
「あら、意外とおいしい……ですね」
「だろ? それはともかく、今から6種類渡すけど、どれがどれだか分かるようにしておいてね」
「え、あ、はい。フォルダー作りますので少々待ってください」
こうして私は6種類のフィッシュ団子を受け取った。どうなることやら。




