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再び北でお買い物

いつも読んでいただきありがとうございます。

今後とも本作をよろしくお願いします!

 町の北には様々な雑貨が売ってある商店街がある。そこで買い物をしているのは主に「住人」であり、「旅人」はあまり見かけない。


 まあ、現時点では家を買ったりできる程お金を稼いでいる旅人(プレイヤー)はいないから雑貨を必要としている旅人はそんなにいないのだろう。


 そんなことを考察しながら、小さな青果店にやってきた。前にここを通った時から気になっていたのでこの機会に中を見てみたい。


「へい、らっしゃい!」


 と話しかけられたので軽く会釈する。お目当ての物はあるかな?


「お、にんじんあるじゃん!」

 つい口に出してそう言うと、店の主人が反応した。


「そりゃあ、あるだろう! この国では明確な四季が無いから、一年中なんでも実るからなあ! 前の世界では考えられないけどな!」


「ああ、なるほど。この世界ならではの利点だな!」


「だな!」


「あれ、そうなると、マンゴーのような南国の食べ物は手に入らない?」


「そうだな……見たこと無いな。でも代わりに……じゃん!」


「なんだ、これ?」


「トレントの実だ! いわゆるドロップアイテムというやつだな」


「ああ! なるほど。モンスターも食料になるのか!」


「そうそう。すごく甘くて、子供達には人気のおやつだな」


「へえ! 買ってみようかな!」


「おう、まいど!」


 結局、にんじん10本の他に、トレントの実を10個買った。これで100×10+1000×10=11000ゴールドの出費だ。ひえ~。トレントの実、高い!


「仕方ねえよ。トレント自体が結構強くてなかなか倒せないモンスターだからな。戦闘職の皆さんにしっかり頑張ってもらわないとな!」


「なーるほど。今後に期待ってところか」



 フレンドチャット(フレンドに送ることが出来るテキストメッセージ)で香に「人参の入手に成功・時間がある時に、連絡求む」と送信して、この件はいったん終了だ。俺は俺のすべきことをするとしよう。



「ただいま~」


「おかえり~。ていうか、錬金ギルドはあなたの家ではないでしょうに」


「ははは、ついつい。それにしても難しいよ、酒造りって。錬金しても錬金しても成功しない。ローズも試してみたのか?」


「私もあれから色々やってみたのよ。果物とか野菜とかを発酵させようと思って。でも、全くダメだったわ。トレントの実っていうかなりお高い果物も全部ゴミになってしまったわ……」


「ああ、トレントの実か。さっき青果店で買ったよ。実験に使おうかと思ってたけど、ひとまず保留にするか」


「そうしたほうがいいわ~。お金がゴミへと変貌していく様は結構ストレスね……」


「ははは……。言い得て妙だな。そうすると、もうすることが無いんだよなあ……何しよう?」


「とりあえず、錬金スキルの熟練度アップのためにも延々と錬金を続けてはどう? HP回復薬(大)の材料になるという意味でもHP回復薬の在庫が不足していてね、回復薬を作るアルバイトを絶賛募集中なの」


「へえ! そりゃまたびっくり。ゲーム内でアルバイトかあ」


「嫌ならいいけど。町をぶらつくよりは為になる事かと思うわよ」


「それもそうか。確か、熟練度が上昇したら錬金の成功確率も上がるんだよな?」


「そうそう。戦闘職のみんながスライム倒してレベル上げするかの如く、あなたはHP回復薬を作り続けるって訳ね」


「ははは、まあレベル上げは重要だからな。やるよ」


「おお! それは助かるわ。それじゃあ、はい!」


<ローズからヒールウィード200Lが届きました。10万ゴールドで買い取りますか?>


「うわー。200Lって結構な量だぞ……。というか10万ゴールドって、俺の所持金ぎりぎりじゃん」


「そうね、結構な量よ。まあ、途中で嫌になったらやめても全然大丈夫だけど、その時は余ったヒールウィードは返してね。その分はちゃんと返金するから」


「了解。じゃあ、これで回復薬作ってそれを売ればいいってことだよね」


「Yes」


「それじゃあ、錬金室行ってきます~」


「はいはい~。頑張ってねー」



 後から聞いたが、この「アルバイト」は錬金ギルドに一定以上貢献した時に、受注できるようになるらしい。今までの生活態度……いや錬金態度?が評価されたようで、受注できるようになったようだ。



 残っている午後の時間は延々と回復薬を作り続けた。


 始めは、色々考えながら行っていた。「酒の材料になりそうなものは……」とか「いっそのことエチレンにリン酸触媒で水を付加させてエタノールにしてやろうか」などなど。


 1時間が経つと、考える事がなくなってきた。


 2時間経って以降は、何も考えず錬金に集中していた。ただひたすらに。心を無にして。延々と延々と。

 今まで、「戦闘職って大変だよな~。延々とレベルアップしないといけないんだろ~。まじでお疲れ様~」って思ってたけど、他人ごとではないんだなあと思った。


 錬金に慣れてきたということと、熟練度の上昇に伴う確率の変動のおかげで、かなり効率的にHP回復薬を作ることが出来るようになった。HP回復薬一本150ゴールド×1600本=240000ゴールド手に入れた。熟練度も17になった。かなりの成長だ。


「お疲れ様……1600本も作り上げたのね……。本当にお疲れ様……」


 ローズはかなり驚いてくれた。この顔を見ることが出来たのが、今日一番の収穫だったかもしれないな。




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