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独占か公開か

いつも読んでいただきありがとうございます。


今後ともよろしくお願いします!

 HP微回復薬/HP回復薬の上位互換のレシピを発見したが、これを公開するべきだろうか?それとも秘匿するべきだろうか?俺には判断しかねるので、ここは先輩の知恵をお借りする事としよう。


「ローズさーん。どうもです~」


「はいはいーー、錬金室の利用は4時間だったから、4000ゴールドね」


「オッケー。あ、それでだな、今日はこんな物が出来たんだ」


「ほう、鑑定させてもらうわね。ほほー、HP回復薬の上位互換が出来たのね。これは面白いじゃない。という事は、オリジナルレシピを発見したことになるわね」


「ああ! でだな、このレシピ、どうしたらいいと思う?」


「えっと、それはつまりレシピを公開するか秘匿するかって事?」


「Yes」


「そうねえ。まずは独占した場合の話をするね。実は市販のHP回復薬はそれを仕事とする住民(NPC)の錬金術が作っているの。その人たちが、あなたが発見したレシピにたどり着くまではこの世でこの薬を作ることが出来るのはあなただけという事になる。多少高く売っても買取人はいるでしょうね」


「ふむふむ」


「この場合のデメリットとしては、販売は全て自分で行う必要が出てくるわ。プレーヤーと交渉しないといけないわね」


「あれ、ギルドでは買ってくれないのか?」


「ギルドを介して販売したければレシピの公開が義務付けられているわ。これは、ギルド製品は常に適正価格での販売をポリシーにしているからよ」


「なるほど。ギルドを介すなら、暴利をむさぼることは出来ないって訳か」


「そういうこと」


「じゃあ、レシピを公開するメリットはギルドで買い取ってもらえるという事になるわけだな?」


「それ以外にもあるわよ。あなたが公開したレシピを使って他のプレイヤーが利益を得た場合、その利益の約0.1%があなたに還元されるの。まあ、向こうの世界で言うところの特許制度みたいな感じね。ここで言う『プレイヤー』は住民(NPC)も含めるわ。あ、特許制度と同様に早い物勝ちだから注意してね」


「ふむ、すなわち市販のHP回復薬を供給している生産職の住人(NPC)がHP回復薬(大)を作るたびに俺に利益が入るのか。それはすごいな! あれ、でもそうなると、ゲームを始めるのが遅くなった錬金術師はものすごく不利になるのでは?」


「それは他の役職でも同じよ。まあおそらく、運営としては『隠しレシピは無数にあるから遅れて始めたプレイヤーでも十分楽しめる』と考えているのではないかしら」


「なるほどな。俺の場合は知り合いのプレイヤーが多いという訳ではないし、レシピを公開したほうがいいかな?」


「私はそう思うわ。まあ、どうするかはあなた次第だけどね」


「えーと。そうだなあ」


 独占したとしても、俺には販売ルートを持たない。せいぜい香に売るって感じになるかな?

 そーいや、紅は大きなクランに所属しているんだっけ? 彼に頼めば売り込みもしてくれそうだな。

 たーだなあーー。彼に何かを委託するのはちょっと気が引けるんだよなあ。いやね、決して信頼していないということは無いぞ。リアルの友達だし。でも、なんとなくこう……変に持ち上げられそうでかえって怖いと言いますか……


 彼にHP回復薬(大)の販売を頼んだ未来を想像してみよう。

~~

~~~

「かくかくしかじかなんだ! 販売の仲介してくれや」


「自らが選び取ったその奇才を活かし、世に貢献するとはさすがわが友だ。我に任せるがよい」


 ……数日後


「彼が、アルカディアが誇る錬金術師『トゥルー(まこと)トレブル(3の意)』だ。彼のつくりし素晴らしきこの薬はこの世界に新たな旋風を巻き起こすだろう!」


「ど、どうも」


「なにを恥ずかしがっている、トゥルーよ。堂々とするのだ!」

~~~

~~


 うん、決めた。レシピは公開しよう。

 今後の方針としては「既存レシピの上位互換は売る。先駆的な技術は少しづつ公開」という感じでどうだろうか?先駆的な技術をこっそりと香や七瀬に教えたら、喜んでもらえそうだし。香は戦闘職として楽しんでいるからな、先駆的な物は非常に助かるであろう。


 まあ、戦闘力は、俺とはこれっぽちも関係ないけどな!



「よし、レシピは売るよ。どうやったらいい?」


「えーとねえ。ステータス画面から錬金スキルを選んで……」


 彼女が支持する通りに操作し、オリジナルレシピの公開が完了した。これが少しでも俺の懐事情を良くしてくれたらいいのだけどなあ。


「そこそこ儲けられると思うわよ。早速私も見てみましょうかしら……へー! 塩かあ。調味料としか考えていなかったけど、錬金の材料にもなるのね。というか、なにこれ。材料にHP回復薬×4が必要なの?それはそれは……結構な材料費になっちゃいそうね。それにしても、錬金の結果出来た物をさらに錬金で使うというのは普通はしない発想ね……。グッジョブよ!」


「どうもありがとう! これからも頑張るよ。ああ、他にもいくつかレシピを公開したいのだけれどいいか?」


「まじ? なにを見つけたの?」


「えっと、これ。生理食塩水と乾燥無効薬と乾燥回復薬だ。どれも塩を使ったレシピだ」


「ほほう。なるほど。え、異常状態に『乾燥』なんてあるのね。これは大発見よ」


「そうなのか?」


「ええ!実は現時点で見つかっている異常状態は毒と麻痺だけなの。これはこれは……面白い物を見つけたわね」


「どうも。それじゃあ、両方公開するね」


「ええ。早速見てみるわね」



誤字報告を下さり、本当に助かっています。

本当にありがとうございます。

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